411.再戦
追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!
じゅるるる!!
リチャードの身体がびくりと跳ねる。
肉の裂ける音とともに、背中を突き破って黒い触手がうねり出た。
触手は生き物のように蠢き、リチャードの四肢を絡め取る。
「ぐああああ!? …ぐ…制御できない!?」
触手はそのまま、彼の身体を飲み込むように這い回った。
リチャードの瞳が黒く濁り、皮膚の下で何かが暴れ回っている。
「俺の固有魔法だぞ! セカンドユニークだぞ! こんな…こんなはずでは…!!」
その声は、もはや自分のものではなかった。
リチャードの身体から発せられる声の奥に、別の意思が重なって響く。
完全に――シュラムが主導権を握ったのだ。
「それにしても異世界転生者とは…面白い話を聞いた。だが所詮はチンピラ。宝の持ち腐れの小物だな。闇ギルドのマスターの器には程遠い!」
黒い靄が彼の足元から渦を巻き上げる。
地面がぬかるんだように沈み、リチャードの体はずぶずぶと闇に引きずり込まれていった。
ズブブブブ…。
暗黒の中から血走った瞳だけが最後まで浮かび上がる。
「貴様は用無しだ…俺の中で永遠に眠れ!!」
「ちくしょーーーーーーー!!!!!」
ズブブブブ…。
叫びは闇に呑まれ、リチャードの肉体は完全に消えた。
残ったのは、シュラムの姿だけだった。
「くくく…では再戦といこうか…ウェル・ベルク!!!」
リチャードとシュラム――二つの存在が完全に入れ替わった。
その気配は、空気ごと震わせるほどの重圧。
魔力の奔流が地を焼き、岩壁をひび割れさせる。
シュラムはもはや固有魔法に頼らずとも強者。
むしろ、今の彼はかつてよりも厄介で、狂気を孕んだ怪物だった。
「何度でも…倒してやる!!」
俺は剣を握りしめ、蒼白の炎を纏わせる。
地面に刻まれた魔法陣が光を放ち、戦場が再び轟音に包まれた。
危険度SSランクを遥かに超えた戦闘。
それでも、負けるわけにはいかない――。
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いっぽう、ダンジョンコアの足元では――。
「グオオオオオオオ!!!」
地鳴りのような咆哮。
炎と硝煙の渦の中、テンテン、サヤ、リーズ、ココ、アルテナ、ガルが次々と魔物を斬り倒していた。
「倒しても倒してもキリがないアル!」
「このままでは消耗戦ですわ!」
汗に濡れた彼女たちの頬を照らす。
だがその表情には焦燥が浮かんでいた。
脱出直後で、体力も魔力も完全に戻っていない。
呼吸が乱れ、剣を振るたびに足が沈む。
「魔物が多すぎて抑えきれないでござる!」
「くっ…何匹か街に…!」
たった六人では、多方向から押し寄せる魔物の波をすべて防ぎきれない。
…
…
「取りこぼしですかな?」
低く響く声。
次の瞬間――ズドンズドン!!!
「グオオオオ!?!?」
衝撃波が空気を裂き、魔物が宙を舞う。
ズドーン!!
現れたのは、執事服に身を包んだ男だった。
「あ…あなたは…ハルバートさん!」
拳で魔物を粉砕したその人物は、セシリア専属執事――ハルバート。
老練な瞳に宿る闘気が、戦場の空気を一変させる。
「お嬢様の命令により助太刀に参りました」
彼の背後には、セシリアの紋章を掲げた旗を持つ騎士たちの姿もあった。
セシリア自身は他の冒険者に預け、安全を確保したうえで彼らを送り出したのだ。
「それに私だけではありませんよ?」
新たな援軍の登場が、絶望的な戦場に再び希望の光を差し込ませた――。
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