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41.火炎獣剛剣

第2部完結まで連続投稿します!

追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!

「言うならばあなたの倒したオークロードは 危険度A+2(プラスツー)でしょうか?」


 魔物の危険度を表す指標には、G、F、E、D、C、B、A、そしてS~がある。


 そのAランク以降はさらに細かく分けられており、無印(+0)、+1、+2という段階が存在する。無印が一番危険度が低く、+2が最も危険度が高い。


 冒険者ギルドが創設された当初、最高位はAランクであった。しかし、Aランクの枠組みでは測れないほどの強大な魔物が現れ始めたため、Sランクが新たに定められた。


 つまり、同じ“無印”であっても、AランクとSランクの差は他のランク間の比ではない。埋めがたい隔たりが存在するのだ。


「期待の新人でA級冒険者になったとはいえ、危険度Sランクの魔物に勝てるはずないのです!」


 冒険者ランクもまた、魔物の危険度に合わせるように細分化され、A級やS級の中でも+1、+2という区分が生まれた。


 ココさんはA級冒険者の無印。ゲルドさん、クラーラさんもまた元A級の無印冒険者だ。


 新制度ゆえに勲章や公式な証はなく、達成したクエストの難度で判断される。最近まではAランク以上の依頼が存在せず、いま出ているAランクの依頼はすべて無印だ。


 俺もまた無印のAランク依頼ばかりこなしているため、形式上は無印と見なされるだろう。だがゲルドさん曰く、俺は恐らくA+2に相当するという。


 だからこそ、グリーンドラゴンやオークロードと互角に渡り合えたのか…。


 そして、目の前にいるのは危険度Sランク。


 今まで戦った闇魔法【マナメイク】によって造られたSランク魔物の劣化版とは比べものにならない、本物の怪物。


「…こんなに強いのか…」


 あと少しで手が届くと思っていたS級冒険者。だがその壁は、想像を遥かに超えるほど高かった。


「だが…あきらめないぞ!」


 ここで退いたら、この化け物を誰が討つのか。もし俺が引けば、村人たちが蹂躙されるのは明白だ。


 そんな未来、許せるものか!


 ――ん? そういえば、さきほどアザトースが…。


「俺を駆け出しと言ったが、俺のことをどこまで知っているんだ!?」


 オークロードを討ったことは知られているとしても、俺がギルドに加入して間もないことまで把握している口ぶりだ。


「ほーっほっほっほ! あなたのことは調べさせてもらいました!」


 ……やはり、俺はラプラスに目を付けられている。


 エリスお嬢様を狙う闇ギルドを追わねばならないというのに、厄介な敵まで背負い込むことになるとは。


「劣化版とはいえSランクの魔物を倒したのですから当然調べましたとも!!ですが、まだまだ恐れるに足らず!!!」


 その時、ヒュドラの頭の一つから毒ガスが吐き出された。


「シャアアアアアアアア…ぶぁぁぁぁ!!」


 狙いは俺だ!


「うわぁ!」


 俺は濃厚な毒霧をまともに浴びてしまった。


「ウェル!!!!」


 テンちゃんが悲鳴に似た声で叫ぶ。


「ほーっほっほっほ! 毒ガスをまともに喰らいましたね!? ヒュドラの毒はそこいらの魔物とは比べものにならぬ強力さ!!まともに受ければひとたまりもないでしょう!!」


 やがて毒霧が薄れ、視界が晴れていく。


「ほっほっほ! 完全に溶けてなくなってしまいましたね!!!!」


 俺の姿はどこにもなかった。


「ウェル…そんな…」


 その光景に、テンちゃんは絶望したように膝をつく。ウェルは毒に侵され、溶けて消えた――そう見えたのだ。


「さぁ! 次はあなたたちです!!」


 と、アザトースは高笑いする。だが――。


ヒュバ!


「効かないね!!」


 俺は無傷のまま現れた。


グサッ!


「ぐは! な! なんですと!?」


 アザトースの背後に瞬間移動した俺は、剣で背中から腹を貫いていた。


 ――少し前。


「ん?」


 脳裏に浮かぶ文字。


【ラーニング習得:毒ガス】


 どうやらこの村全体に、微量の毒が漂っていたらしい。


「この村の病の原因を取り込んだみたいだな。もし魔物由来の毒なら、俺には効かない。無効化するには十分だろう」


 村に二日も滞在すれば、俺たちも病に倒れていたはずだ。恐るべき毒だ。


 そこで俺は考えた――毒を喰らったフリをし、不意打ちを仕掛ける。さらに空間魔法【テレポート】を用いれば効果は倍増する。


 そして今、俺は実行した。


「おぉおおおおおのぉぉおぉぉおおおおおれぇぇえええええぇぇえええええ!!!!!!!!」


 余裕を失ったアザトースが絶叫する。俺は剣を引き抜き、刃を振りかざした。


「これで終わりだ!!!!」


スバッ!!!!


 閃光の一閃。アザトースの首が宙を舞った。


「ああああああああぁぁぁこの私がなんたる不始末をぉぉおおおおお!!!!」


 首だけになってなお、喋り続けるアザトース。


「ヒュドラ!!!! 最後の命令です!!!この周辺を破壊尽くしなさい!!!!」


 ――な、なんだと!?


「シャアアアアアアアア!!!!」


 くそ、アザトースさえ討てばヒュドラは沈静化すると思っていたのに!


 ドチャッ。


 アザトースの首が地に落ち、動かなくなる。おそらく完全に死んだのだろう。だが最期に、最悪の置き土産を残していきやがった。


 その瞬間から、ヒュドラは先ほど以上に狂乱し暴れ始める。


 俺は空へと舞い上がり、距離を取った。


「シャアアアアアアアア!!!!」


「好き勝手暴れおって…。光魔法【シールド】!!」


 エリスお嬢様が無詠唱で放った光の盾が、ヒュドラの暴れる首のひとつを包み込む。一瞬で破壊されるが、その動きを鈍らせるには十分だ。


「ウェル! 今じゃ!!」


 俺はヒュドラの頭上から急降下し、勢いを剣に込める。


「ラーニング三つ同時発動!!!【ファイヤブレス】【剛剣】【獣豪腕】 合成――【火炎獣剛剣】!!!!」


 燃え盛る刃が唸りを上げる。グリーンドラゴンの【ファイヤブレス】、ギルドマスター・ゲルドの【剛剣】、そしてオークロードの怪力を組み合わせた一撃――炎の巨獣が剣に宿る。


ズガーン!!!!!!!!!!


「シャアアアアアアアア!!!!」


 ヒュドラの首の一本が吹き飛ぶ。しかし、傷は浅い。


「はぁ…はぁ…」


 確かにダメージは蓄積している。だが、俺の方も限界が近い。三つのラーニングを同時に発動させるため、膨大な魔力を消費しているのだ――。

「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


と思ったら


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