405.安寧の未来は厄災の始まり
追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!
パァー!!
イザベラの周囲を覆っていた魔物の魔力が、渦を巻くように彼女の身体の中へ吸い込まれていった。
闇に溶け込んでいた光が彼女の瞳に戻り、肌は血色を取り戻し、冷たく青ざめていた頬も生気を帯びていく。
「よし!!」
俺はその回復の様子に胸を撫で下ろし、力を抜いて手を休めた。
「……ウェル…先生…?」
イザベラはぱちりと目を開け、意識を取り戻す。
「よ…よかった~」
俺は座り込み、脱力感に包まれる。
「やったアル!」
テンちゃんをはじめ全員が笑顔で喜ぶ。
「お身体のご様子はいかがでしょうか?」
リーズは丁寧にイザベラの体調を気遣う。
「リーズさん…嘘のように調子がいい…と思う…?」
疑問形ではあるが、顔色や動きから明らかに回復が実感できる。
「凄い回復力でござるな! ヴァンパイアの力でござるか?」
ヴァンパイアの魔力には、他の魔物にはない圧倒的な再生能力が備わっている。
傷も短時間で癒え、血の循環も安定する。
「恐らくイザベラの中でヴァンパイアの魔力が完全に一つに統合されたのでしょう」
アルテナさんが静かに解説する。
隣でサヤも頷き、彼女なりの理解を示す。
「妾も感じておったぞ。ずっとヴァンパイアを拒絶しておったからのう。しっかりと受け入れたようじゃな!」
続いてエリスお嬢様がアルテナの言葉に補足する。
「拒絶していた力を受け入れたということは、本来の力を存分に使えるようになった…とも言えますね」
ココさんは、危険度SSランクのヴァンパイアを倒した時よりも、今のイザベラの力はさらに強いかもしれないと推測する。
その圧倒的な魔力は、戦場を一変させるほどだ。
「もしかしてウェルより強いアルか?」
テンちゃんが無邪気にぶっ込んでくる。
「……かもしれない」
イザベラはニヤリと笑いながら冗談めかす。
「い、いやまだまだ俺だって!!」
内心では「やばいかも」と思いつつ、笑顔を作る。
それに気づいた仲間たちも、思わず笑い声を上げた。
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ここはダンジョンの地上、ラビリンス。
その中でもひときわ大きな屋敷――公爵家当主、セシリア・オルレアンの邸宅が目を引く。
屋根の先端に朝日が当たり、金色の輝きを放っていた。
タッタッタッ
セシリアは目を覚ますとすぐに執事ハルバートがいる部屋へ走り出す。
ガチャッ!
「爺や! 未来が…変わりました…」
固有魔法【プレモニシオン】でラビリンスの厄災を予知していたが、その流れに変化が生じたようだ。
「おはようございます。セシリアお嬢様。喜ばしいことなのに…浮かない顔をしていらっしゃいますね…」
ハルバートは、朝の光と共に駆け寄るお嬢様の様子に気づく。
「…未来が変わりました…ですが…前よりも胸騒ぎがしますわ」
ラビリンスの厄災はまだ終わっていない。
いや、むしろ今、まさに始まろうとしていた。
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