395.イザベラの真意(2)
追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!
雲の間を渡る風が静かに吹き抜けた。
イザベラの前に、声の主――ブラッドの姿はまだ見えない。
「警戒せずともよい。私はヴラドとは違う。知り合いなだけで関係ないのだ。」
「父を……知っているのね…!」
ヴラド。その名を耳にした瞬間、イザベラの胸が強く脈打つ。
「それよりも人間に戻りたくないのか?」
「!?」
人間に戻りたくないのか。
その言葉が、心の奥深くを突いた。
イザベラの手から放たれかけていた魔力の光が、ゆっくりと消える。
「……何を言っているの…? 私を人間にすることなんて…そもそも信用できないわ…!」
声は震えていた。
父の血を引く存在――それが自分を苦しめ続けてきた現実。
甘い誘いなど、何度も裏切りと共に聞いてきた。
しかも、ヴァンパイアと人間の混血を“人間に戻す”など、常識ではあり得ない。
「【S4】は…いや、私たちヴァンパイアは、超科学都市【ラディソス】と繋がっているのだ」
「ヴァンパイアとラディソスが!?」
その名を聞いた瞬間、イザベラは目を見開いた。
ラディソス――世界で最も発展した超科学都市。
高層ビルが立ち並び、昼夜を問わず光を絶やさない文明の象徴。
人々が平和と進歩を信じるその都市が、魔物と繋がっていたとは。
「ラディソスは【クローン】技術を使って新たな実験をしている。お前のヴァンパイアの細胞を人間の細胞と分離すれば人間に戻れるかもしれないぞ」
「クローン……? はじめて聞いたわ…でもラディソスならできるの…かも」
ラディソスの名には不思議な説得力があった。
その科学技術は王国を支え、人々の暮らしを変えてきた。
イザベラも学園時代、幾度もその名を聞いてきたのだ。
「そうだ。魔物は全て悪ではない。ラディソスはそんな我々を受け入れてくれるのだ!」
ブラッドの声は自信に満ちていた。
ラディソスは実力さえあれば、種族も生まれも問わない都市。
だが、まさかヴァンパイアまでもが受け入れられているとは。
イザベラの胸の中で、わずかな希望と不安がせめぎ合う。
「……私はどうしたらいい……?」
迷いの末に、イザベラはブラッドの言葉を受け入れた。
今の自分では、人間にもヴァンパイアにもなれない。
ならば、わずかでも可能性に賭けるしかない。
「そのまま西へ数キロ移動すれば【ラビリンス】という都市がある。その都市のダンジョン【アルゴプリズン】に入れば最下層まで案内しよう」
「……分かった……」
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そして、イザベラは西の地【ラビリンス】に辿り着いた。
重厚な鉄門をくぐると、地下深くへと続く石の階段が口を開けていた。
闇に沈むその先は、まるで世界の底そのもの。
テレパシーで導かれるまま、イザベラは【アルゴプリズン】へと足を踏み入れる。
そして、隠された転送魔法陣で最奥に――。
「ひっひっひ……君が人間とヴァンパイアのハーフかね?」
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