391.現実と幻術
追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!
俺は目を覚ますと、見覚えのある天井が視界に入った。
…そうだ…。
この薄汚れた天井は、家賃25000円の激安アパートのものだ。
つまり、ここは俺の部屋。
「…俺は…何を……なんか…凄く長い夢を見ていたような…」
川端誠一。37歳。ブラック企業で平社員として働く、要領の悪い男だ。
出世もなく、この歳まで平社員。
「また後輩や先輩たちに仕事を押し付けられて、サービス残業してたんだったな…それで玄関で寝てしまったのか…」
いつもの光景だ。ベッドにたどり着く前に疲れ果て、玄関で倒れるように眠る毎日。
「さっきまで異世界転生して…凄い大冒険していたような…しかも女の子に囲まれて…はは…ラノベの読みすぎだな」
ラノベと現実が混ざるなんて、ありえない。現実は無慈悲だ。
「…よくよく考えたらチートスキルなしに異世界転生って…それこそ残酷だな…」
現実でも夢でも無能扱い。まさに俺らしい“異世界転生”だった。
「……やべぇ!! 会社に行かなきゃ!!」
慌てて支度をする。スーツを着ていたので、そのまま家を出るだけだ。
いつもの満員電車。
上司に怒られ、後輩にバカにされる。
自分の居場所がない世界で、今日も1日を終える。
「…部屋に着いても…誰もいない…」
帰宅すると、虚しさが込み上げ、俺は涙を零した。
「…どうしたんだ俺…あんなに楽しかったのに…」
夢の内容が徐々に鮮明に思い出される。
「…エリスお嬢様…ココさん…テンちゃん…リーズ…サヤ…ブラン…」
はっきりと、俺の仲間たちの顔が浮かんだ。
「…夢だと分かっても…みんなに…会いたい…!」
感情が抑えられず、俺は泣きじゃくりながら玄関で倒れ込む。
部屋の隅に沈む影のような俺の背中。
「君は実に面白いね」
「!?」
誰かの声が聞こえた瞬間、白い光が部屋を覆った。
気がつくと自分は白一色の空間に立っていた。
「な…なんだ…!? また…夢を見ているのか…!?」
現実にはありえない光景だ。あぁ…また夢なのか…と思った瞬間、
「夢じゃないよ…これは現実さ」
「!? 誰だ!?」
また誰かの声が聞こえる。声はするが、姿は見えない。
「君をこの世界に連れてきたのは正解だったな。実に面白い話を作ってくれる」
「この世界に連れてきた…? ということは、俺が異世界転生したのはあんたの仕業ってことか!?」
白一色の空間には、霧のような光が漂い、どこまでも続く無限の空間のように感じられる。
足元は雲のように柔らかく、踏み込むたびに沈む感覚があった。
どこから声が響くのかも分からない。
だが確かに、現実ではない。夢でもない、目の前の光景は圧倒的に現実的に“異世界”だった。
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