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361.元闇ギルドのマスター

追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!

次回更新は8月になります!

 熱気が立ち込める密林の奥、、先ほどまでエンペラートレントが根を張っていた戦場。

 巨大な幹は折れ、黒煙を上げながらゆっくりと倒れていく。


「トドメだ!!!」


 俺の声が木霊する。

 ガタガタと崩れかけているエンペラートレントの巨体が、最後の抵抗を見せようと蠢いていた。だが、もう終わりだ。


「ラーニング2つ同時発動!!」


 俺はその巨体の中心を狙って構えた。

 周囲の空気が震える。魔力が凝縮し、腕が重くなるほどの圧力がかかる。


「【獄炎の一閃】!!!」


スバーーーーン!!!!


ゴオオオオオオオオ!!!


 上級炎魔法【インシネレート】を纏った【魔導霊気刀】を振り抜くと、紅蓮と漆黒が絡み合った斬撃が一直線に走った。

 滅魔流【魔翔一閃】に、さらに超級闇魔法【シュバルツインフェルノ】を合成させた一撃——その軌跡は、空を裂くような閃光だった。


「キシャアアアアア!!」


 エンペラートレントの巨体が悲鳴を上げる。赤と黒の炎が交錯し、樹皮が爆ぜ、樹液が蒸発していく。

 やがて、巨木の魔物は音を立てて裂け、真っ二つになった。


ズドーン。


「やったアル!」


「やりましたわ!」


「さすがウェル殿でござる!」


「さすが妾のペットじゃ!」


 テンちゃん、リーズ、サヤ、そしてエリスお嬢様が歓声を上げた。

 ……最後のひと言がすべてを台無しにするのは、もはや恒例行事だ。


パァァ…。


「おつかれ~!」


 光の粒子と共に、レナがふわりと現れた。彼女の手の動きに呼応して、俺の体を包んでいた【魔導霊気】が解かれていく。


「かなり魔力を使ったでしょう。【アイテムボックス】からマジックポーションを取り出して回復してください」


 ココさんの穏やかな声が響く。心配してくれているのが伝わってくる。


 しかし——。


ゴオオオオオオオオ!!!!


「暑い!!!」


 燃え広がる炎が、まるで生き物のようにジャングル全体を包み込んでいた。

 そりゃそうだ。ほとんどの木がトレントだったんだ。炎属性の攻撃で倒せば、火の海にもなる。


「先にこの階を脱出しよう! 暑くてかなわん!」


 蒸し焼きになる前に、全員で階段を探すことになった。

 背中には炎の熱、足元には崩れる根の感触。焦燥が胸を締めつける。


 そんな俺たちの様子を、木陰からひとりの男が見ていた。


「…おいおい…聞いてねぇぞ…! とんでもなく強えじゃねえか!」


 リチャードは汗をぬぐいながら、木々の間で息を潜めていた。


「トレントで体力が消耗している隙に食ってやろうと思ったら…まさかエンペラートレントまで倒してしまうとは…一度立て直しだな…!」


 そう呟いて撤退しようとした、その時。


「キシャアアアアア!!!!」


 甲高い咆哮が、炎を突き抜けて響いた。


「!? なんだ!?」


 俺たちは一斉に警戒体勢を取る。

 空気が一瞬で変わる。何か、ただならぬものが近づいている。


 バキバキ…!

 ガガガガガ!!!


 燃え盛る木々をなぎ払いながら、巨大な影が姿を現す。


「!! 来たでござる!」


 サヤの声が緊張を帯びた。


 バキバキ!


「キシャアアアアア!!」


 現れたのは、六本の足を持つ異形の魔物。

 人型の胴体に、昆虫のような外皮。赤黒く光るその体は、炎の反射で鈍く輝いていた。


「なんじゃこやつは!? 妾の知識にはないぞ!」


 エリスお嬢様ですら知らない。

 未知の存在——その頭部に、異様な“人の顔”が埋め込まれていた。


「…!! あの顔は!?」


 視線が交錯する。俺の喉が、嫌な音を立てて鳴った。

 忘れようにも忘れられない。あの顔だけは。


 闇ギルド【ナハト】のギルドマスター——俺とエリスお嬢様の宿敵。


「シュラム!?!?」


 その名を叫ぶ俺の声が、炎よりも鋭く響いた。

「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


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