360.妖刀流絶技【双千斬】
追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!
黒雲が垂れ込める夜ぽつりと佇む洋館は、月の光を拒むように不気味な影を落としていた。
その館の中、崩れかけた壁や、割れたステンドグラスの隙間から吹き込む風が、低く唸り声を上げる。
「手出し無用願いたい。拙者1人で片付けるから仲間の埋葬を頼むでござる」
リョウマは、月明かりを背に立っていた。刀を抜き放ち、その刃先には炎のような気迫が宿っている。
目の前に立つのは、漆黒のマントを羽織ったヴァンパイア。瞳は血のように赤く、冷たい笑みを浮かべていた。
「見くびられたなものだな。名を聞こうか人間よ」
「…【不知火 龍馬】」
「私は【ブラッド】…楽しませてくれるのであろうな?」
静寂。次の瞬間、床板が爆ぜる。
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一時間後。
館は半壊していた。壁には無数の刀傷、天井には焦げ跡。血の雨が飛び散り、床を赤く染めている。
ズガガガガガガ!!!!
ズバン!!
「ぐはぁ!!」
ブラッドの腕が宙を舞い、血飛沫が螺旋を描いた。
「ヴァンパイアはしぶといでござるな。何度斬っても【再生】して切りがないでござる」
リョウマは既に【龍化】していた。龍気が全身から立ち上り、床を焦がしていく。
対するブラッドの体は再生を繰り返し、裂けた肉が蠢くように元へ戻っていく。
「ぐっ…人間とはいえ…【龍族】だったとは…」
危険度SSランクの魔物ブラッド。だがリョウマはSS+1級の冒険者。
実力差は明白。それでも決着がつかないのは、ヴァンパイアの再生能力のせいだった。
「ヴァンパイアの倒し方は基本的には【光属性】で攻撃。そうしないと【再生】してしまうでござる。拙者は光属性の技も武器も持っていないでござるから効率が悪いでござるな」
瓦礫を踏みしめながら、リョウマはゆっくりと歩く。
彼の足音に、ブラッドは思わず後ずさりした。
「しかし、【再生】には魔力を大量に消費するから限界があると聞く。何度も斬って仲間の痛みを味わってもらうでござる!」
「まだだ!!」
ブラッドの流れる血が蠢き、糸のように細く伸びていく。
ガガガガガ!!
血の糸は鋭い刃と化し、空間を裂く。壁も天井も、まるで紙のように切り裂かれていった。
「随分と面白い技でござるな」
「逃がさんぞ!!」
腕から迸る血は瞬く間に形を変え、赤い槍となってリョウマへ襲いかかる。
「死ね!!」
ズガガガガガガ!!!
リョウマは体を捻り、血の槍をいなす。しかしそれらは軌道を変えて追撃してきた。
「あえて再生せずに血を武器にするでござるか。さきほどよりマシでござるが…」
リョウマは静かに立ち止まった。
「喰い斬れ【双龍】」
ドクン、と刀が脈動した。刃に宿る双龍が、咆哮を上げるように輝く。
「妖刀流絶技【双千斬】」
ズバーーーン!!!!
ズガガガガガガ!!!!
空気が断ち割られる音。瞬く間に館全体が細切れになり、壁も床も、空間そのものが震えた。
ガラガラガラ…!
「ば…ばかな…!?」
ブラッドの身体も同じく細切れとなり、肉片がゆっくりと崩れ落ちる。
ドチャ!!
「さぁ…再生せよ…地獄を続けるでござる!」
リョウマの声が、血煙に響く。
崩れた館の中で、かすかに蠢く肉片が、悲鳴のような音を立てていた。
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