359.滅魔流【鋼魔炎滅閃】
追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!
「やったアル!」
危険度SSランクの魔物に確かなダメージを与え、テンちゃんは拳を握って喜んだ。
だが、その喜びは一瞬だった。
ビュンビュン!!
怒り狂ったエンペラートレントが、無数のツタを振り回す。
攻撃を放った直後のテンちゃんは反応が遅れた。
「!? やばいアル!!」
ツタが嵐のように襲いかかる。避けきれない――そう思った瞬間。
ズガガガガガガ!!
テンちゃんの前に、精霊【ディルガラ】によって防ぐことができた。
ツタがぶつかるたび、火花のような光を散らして弾かれる。
「油断はよろしくなくてよ?」
リーズの防御に特化した精霊のおかげでテンちゃんは無傷だ。
「た、助かったアル!」
テンちゃんは胸を撫でおろした。
どうやら仙気をすべて攻撃に変換したため、術後は完全に無防備になるらしい。
再び仙気を練り直す必要がある。
ズババババ!!!
その隙を埋めるように、サヤが風を裂いて動いた。
鋭い斬撃でツタを切り裂きながら、エンペラートレントの背後へと回り込む。
「拙者も負けていられないでござるな…竜気…解放!!」
ズアアアアア!!!
サヤの体から気が噴き上がり、周囲の温度が一気に上がる。
「滅魔流【鋼魔炎滅閃】!!!」
ズバーーーーン!!!!!
ゴオオオオオオオオ!!!
空気が裂けるような爆音。
炎をまとった斬撃が、エンペラートレントの胴体を五倍以上の高さでえぐり取った。
黒煙が立ちこめ、木の表皮が焼け焦げる。
滅魔流【鋼魔炎滅閃】――斬撃に特化した【鋼魔斬閃】の強化版で、上級炎魔法【インシネレート】を重ねた剣技。
燃え上がる炎の軌跡が、闇の中で蛇のように揺らめいていた。
「キシャアアアアア!!!」
エンペラートレントが咆哮を上げる。
だが、倒れる気配はない。むしろ怒りに満ち、さらに暴走を始めた。
「こうもデカいと真っ二つは無理でござるな」
サヤが息を整えながら、刀を構え直す。
切断はできても、あまりにも巨大すぎて致命傷までは与えられなかった。
ズババババ!!!
一方その頃、俺は頭上で暴れるツタをすべて切り伏せていた。
空気が焦げ、焦げた樹液が雨のように降り注ぐ。
「レナ召喚!!」
俺は魔力を集中し、光の陣を展開した。
パァァ!
「チーッス!! 美少女精霊レナちゃん参上~! これはまたでっかい樹だね~!」
「レナ! 融合だ!」
「わかってるって~!」
レナが光の粒子に変わり、俺の体へと吸い込まれる。
全身が輝き、力が一気に膨れ上がった。
パァァ!!
「【魔導霊気】!!!」
切り落としたはずのツタが、再生を始める。
焦げた木の幹が蠢き、再び俺を狙って伸びてくる。
ジュゥゥ!!
「おわ!? 猛毒か!」
アークヒュドラの毒を超える強さ――だが、俺には効かない。
バババババ!!
ツタをかわしながら、俺はラーニングを発動した。
「ラーニング2つ同時発動!【インシネレート】【圧縮】!!」
両手に魔力を集中させ、上級炎魔法【インシネレート】を極限まで圧縮。
赤熱する光球が両掌の中で震え、空気が焦げる。
「ゼロ距離!【煉獄砲】!!!」
ズドーーーーン!!!!!
閃光と衝撃が同時に爆ぜた。
爆炎がエンペラートレントの頭部を包み込み、緑の葉は一瞬で燃え尽きる。
天井まで届く火柱が立ち、岩盤が震えた。
「キシャアアアアア!!!」
巨木の悲鳴がダンジョン内に響く。
頭部の緑は完全に焼け落ち、禿げたように黒焦げになっていた。
「あと一息だ!!」
熱気の中、俺は叫んだ。
焦げた煙の向こうで、確かに――エンペラートレントの動きが鈍っていた。
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
と思ったら
下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。
面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!
ブックマークもいただけると本当にうれしいです。
何卒よろしくお願いいたします。




