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336.殺人鬼と宗教集団

追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!

「【四肢切り】はラビリンスの町に潜んで、何人もの冒険者を殺害し、金品を奪い、人を食べる人族でござる。

 二年前に拙者が討伐し、牢獄送りにしたのでござるが、1週間前に脱走しダンジョンで【四肢切り】と同じ殺害方法で死体が現れるようになったでござる」


 乾いた声でそう言ったのはリョウマさんだった。

 風に揺れる提灯の明かりが、その険しい横顔を照らしている。


「人を食べるんですか!?」


 俺は青ざめた顔で声を上げる。

 血の気が引いたその頬を、ダンジョンの冷気がさらに白く染めていった。


 シリアルキラーってだけでも十分やばいのに、人を喰うとか、もう完全に正気じゃない。

 まるで地獄から来たサイコパスだ。


「固有魔法【カニバリー】。人を食べることでステータスを上げるリチャードの固有魔法だ。食べる部位はどこでもよく、目的は自身が強くなるためだろう」


 リョウマさんが淡々と説明する声が、静寂の中に響いた。

 ステータス――力、速さ、魔力。それらを人の肉で高めるなんて、悪夢以外の何ものでもない。


「それにしても四肢を切るのはなぜでござるか?」


 サヤが小さく眉をひそめ、リョウマさんに尋ねた。

 確かに、ただ強くなるのが目的なら、そんな手間のかかる殺し方は必要ないはずだ。


「やつは殺しを楽しんでいる猟奇殺人鬼でござる。四肢を切るのはそのためでござる」


 その声には怒りというより、諦めに近い響きがあった。

 楽しむための殺人。……吐き気がするな。


「そして、牢獄にいた時の事情聴取によると、胴体を残すのは【ラプラス様に捧げるため】と言っていたでござるなぁ」


「ラプラスだって!?」


 その名を聞いた瞬間、心臓が跳ねた。

 まさか、こんなところで【ラプラス】の名を聞くとは……。


「リョウマ、ラプラスの話は極秘ですよ。ウェルくんたちはラプラスのことを…って知っているのですか!?」


 アルテナさんが目を見開いた。

 ラプラスは極秘。ブルガンリルム王国でもそうだったが、ここラビリンスでも同じらしい。



 俺たちはこれまでの経緯を説明することにした。



 ラプラスとは何度も戦ってきた。

 夢の世界へ誘い、楽園を与えると偽りながら、実際は大量虐殺を繰り返す狂信的な宗教集団。

 その「神」と呼ばれる存在であるラプラスは魔物で、文明を滅ぼす力を持っている災害かもしれない。


 ラプラスには【ラプラスの悪魔】と呼ばれる凶悪な魔物がいる。

 そしてその第一級使徒、【ピエール】と俺たちは戦った。

 だが、奴はまだ生きていた。

 あのナハトのギルドマスター――シュラムを連れ去ったのだ。


 あれ以来、ラプラスの動きは途絶えている。

 どこで何をしているのか、誰にもわからない。


 ただひとつ、ピエールが残した言葉だけが、胸の奥に焼き付いている。


 “アリストクラキーを狙い、ナハトが行っていた令嬢殺しを行う”


 そんなこと……させるものか。

 俺は拳を強く握りしめた。

「面白かった!」


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