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30.追放されてよかった

第一部完結まで連続投稿します!

ありがとうございました!


追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!


第2章は新パーティー結成編です!

 オークの大群が森を蹂躙してから数日が経過した。


 俺を追放した冒険者、ビリーは奇跡的に一命を取り留め、しばらくはベッドに縛られる日々を過ごすことになった。傷は深く、体中には包帯が巻かれ、医療用の薬草や軟膏の香りが病室に充満している。


 ビリーは父親と再会し、自身の過ちを深く反省して、人生をやり直すことを固く誓った。


 一方、その場を取り計らったゲルドとクラーラは、夜の静けさに包まれた自室へ戻った。


「手間かけさせたな」


「構いません。手間や面倒は、あなたのおかげで日常茶飯事です」


 クラーラの淡々とした一言に、ゲルドは豪快に笑ったかと思えば、ベッドに身を横たえ、頭を抱えてしょんぼりした様子を見せる。部屋の奥にはランタンの柔らかな光が揺らめき、窓から差し込む月光が薄く二人を照らしていた。


 どうやら、ビリーの父親を説得したのはクラーラの才覚によるものらしい。


「それにしても、よく説得できたな! さすが俺の補佐だ!」


「あなたみたいな面倒な人と一緒にいると、自然と口八丁になるんですよ」


「ハッハッハ! て、手厳しい…」


 クラーラの二発目のイヤミに、ゲルドは頭が上がらない。彼は体をベッドに預け、まだ疲労の色を濃く残していた。


「ビリーの前では強がっていますが、あなたが一番重症なんですから、じっとしていてくださいね。ついこの前までは、いつ死んでもおかしくない危険な状態だったんですから」


 ゲルドがビリーの前で見せた強気な姿は、内心の責任感から来るものだった。


「お前の攻撃では死なんから責任を感じるな!」


「ハッハッハ! 俺より未来の若者の方が大事だよ。なんだかんだビリーは優秀だ。将来化けるかもしれないぞ!」


 ギルドマスターとして、人を見抜く目は確かだ。過去に汚い手も使ってきたビリーだが、努力と精神の成長は認められていた。


「それはそれとして…。ケガが治ったらキリキリ働いてもらいますからね。溜まった書類とともにお待ちしております」


「……もっと休んでいたい…」


 完治することを内心拒むゲルド。事務作業より冒険に向く性分は、血筋も関係しているのだろう。




 一方、俺はというと――。




「それで? また数日寝ていて妾に何か言うことはあるか?」


 目を覚ますや否や、エリスお嬢様の鋭い視線と説教が待っていた。病室のカーテンの隙間から朝日が差し込み、埃交じりの光が床に落ちている。


「…えーっと…?」


 言葉が出てこない俺に、エリスはさらに畳みかける。


「あれほど忠告したのにまた疲労で倒れるとは…。しかも、自分を追放した冒険者のために…。そんなんでは命がいくつあっても足りんぞ!」


 返す言葉もない。


「…いや…俺が止めなければ街を含めて全員ヤバかったですし…」


 結局、オークロードを倒せるのもビリーを元に戻せるのも俺しかいなかったからなぁ。


「結果オーライじゃろう!」


 はいそうです!! でも…。


「心配かけてごめんなさい、エリスお嬢様。でも俺にしかできないのならやらなきゃって思ったんです」


「ま、生きているならそれで良しとしておこうかのう。どうせこれからもお人好しが発動して人助けしまくるのじゃからな!」


 ぐぅの音も出ない俺。さすがエリスお嬢様。発言の端々に、俺をこれからも見守る意思が感じられる。


「…結果オーライ…か…。それを言うなら、俺はパーティーを追放されて良かったと思っていますよ」


 もし追放されていなければ、エリスに出会うことも、今の力を手に入れることもなかっただろう。ビリーを助けたことで、彼の過ちを認めることもできたのだ。


 若者たちが新たな道を歩き始める光景は、観察者として面白いものだ。


「エリスお嬢様…俺…もっと強くなりたいです」


 もっと強くなりたい。今度こそ危険度Sランクの魔物を単独で討伐できるように。


「強くしてやるのじゃ。ウェルが死なないようにな」


 エリスの言葉に、胸が熱くなる。彼女は俺のことを心配してくれている。


「さーて、今日と明日で休養を取ったら地獄の特訓をさせてやるから覚悟しておくのじゃ!」


「……は…はい…」


 地獄の特訓。想像するだけで背筋がぞくりとする。




 ――ここは、闇に閉ざされた【ダンジョン】の奥深く。


「ああああああああぁぁぁ!!! なんてことでしょううううううう!!!!あんな子供に私のオークロードが倒されるなんてええぇぇえええ!!!!!!」


 楽園の使徒【ラプラス】の一人。その黒いフードとローブは、顔も体格も完全に隠し、漆黒の闇に溶け込むようだった。


「お前のオークの大群といい、アイツのリザードの大群といい、我々の邪魔をするその子供は何者なんだ?」


 そしてもう一人。黒髪で若く、華奢な体つきだが、圧倒的な威厳を放つ男が続ける。


「あの子供の名前はウェル・ベルクと言います。ルミネスゲートというそこそこ強い冒険者ギルドのA級冒険者ですピエール様! しかも超優秀で飛び級でA級になったとか」


 ピエール――黒衣の使徒に仕えるその男が、ウェル・ベルクの情報を報告する。


「ウェル・ベルクか…。まぁ、オークロードごときに手こずるなら俺の足元にも及ばんが…」


 ピエールの瞳は冷たく、危険度Sランクのオークロードを遥かに凌駕する力を誇示していた。


「…今のうちにその芽をつんでおくか…」


 ウェルはまだ脅威には程遠い。しかし、A級冒険者にしてSランクの魔物を倒した実績が、ピエールに警戒心を抱かせるのだ。




 数週間後――。


「冒険者ギルドはここアルか!?」


 チャイナ服の美少女が、ウェルの所属するギルド【ルミネスゲート】の扉を勢いよく叩いた。

「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


と思ったら


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