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295.優秀な学級委員の場合(6)

追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!

 1か月前。


 レスターは鎖ノ国出身の竜族【サヤ】から剣術を教わろうと屋敷に来たのだが、サヤが教えられるのは刀の扱い。

 レスターが普段使っているのはロングソードであり、西洋式の剣技に慣れている。

 刀はその延長線上にはなく、全く異なる感覚が必要だった。


 だがレスターには、かつて刀を使った経験がある。

 その経験を思い出し、ロングソードから刀に持ち替えて、ベネットに挑む作戦を決めたのだ。


「刀はどうするでござるか?」


 とはいえ、レスター自身は刀を持っていない。

 ブルガンリルム王国では、刀は流通していない。

 西洋剣ばかりで、街の鍛冶屋を回っても見つからない。


 鎖ノ国まで赴くか。

 距離の問題というよりも、そもそも場所が定かではない。


 そこで俺は決断した。


「俺が作るよ!」


 土魔法【ミスリルメイク】を使い、手持ちのミスリルから刀を精製すればいい。

 ミスリルバットを作った時と同じだ。


「ウェル殿はいつも鎖ノ国にはない刀を作るから楽しみでござる!」


 鎖ノ国の刀――【刀】――は、基本的に鉄や特殊金属で作られる。

 そこに、鎖ノ国独自の魔物【(アヤカシ)】の素材を組み込むことで、妖刀としての性質を持たせる。


 だからこそ、ミスリル製の刀は本来存在しない。

 しかし、レスターの作る刀は、鎖ノ国文化とブルガンリルム文化の奇跡的な融合となるのだ。


 もちろん、ミスリルの性能だけに頼っても意味はない。

 戦いの本質は操作技術にあり、素材はあくまで補助だ。

 模擬クエストに参加する貴族の生徒も、高価なミスリルソードを使っているので、ミスリル刀であればフェアな条件と言える。


「土魔法【ミスリルメイク】!」


 レスターの手元で、ミスリルが光を帯び、形を変えて刀となる。

 何度も試作を作り、近くの魔物が出る森で試し斬りを行った。

 だが、どの試作品もレスターの手には馴染まないようだ。


「…昔使っていた刀のほうが扱い易いですね…」


 幼い頃の刀の感触を思い出すが、記憶は朧げだ。


「もしかしたら【太刀】のほうが扱い易いのではござらぬか?」


「そ、そうかもしれません!」


 【太刀】は日本刀の中でも長尺で、刃幅も太めの刀を指す。

 この世界では、妖退治を名目に作られた【刃が長く太めの刀】を太刀と呼ぶ。

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