284.青髪縦ロール令嬢の場合(5)
追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!
テスト本番当日。
学校中が張り詰めたような静けさに包まれていた。
教室の窓から差し込む朝の光が、机に並ぶ答案用紙を白く照らす。
「テスト始め!!」
一斉に紙の擦れる音が響く。
カリカリカリカリ——静寂を破るのは、ペン先が走る小さな音だけだ。
いつもは賑やかで、どこか騒がしいGクラス。
だがこの時間だけは全員が真剣勝負の顔になっている。
窓際の光が揺れ、緊張で固くなった空気を包み込んだ。
全員、やるだけのことはやった。
学年トップを目指すと宣言したときは、クラス中が驚いていた。
それでも次の日には皆が机に向かい、文句一つ言わず勉強を始めてくれた。
そして今、教室の上には魔力で動く小型の監視カメラがいくつも浮かんでいる。
不正防止用の魔導機械——光の輪をゆっくりと回転させながら、生徒たちの手元を見張っていた。
しっかりしてるよなぁ。
俺は腕を組み、静かに生徒たちの様子を見守った。
時間がゆっくりと過ぎていく。
外の太陽が少しずつ傾き始めたころ、チャイムが鳴り響いた。
キーンコーンカーンコーン。
その音と同時に、生徒たちが一斉に手を止める。
「うおおおおぉ!!! やっと終わったぜええ!!」
最初に叫んだのはエイブだった。
何気に成績が良いくせに、誰よりもテンションが高い。
「ふにゃー! 疲れたにゃー!」
「すぐに帰って寝るのだー!」
ニャウンシェとアンブルも両手を上げて伸びをする。
苦手な勉強をここまで頑張ったんだ。ほんとによくやった。
「…もう…眠い…」
イザベラは目をこすりながら欠伸を噛み殺す。
今日はずっと起きてテストに挑めただけでも上出来だ。
俺は彼女に昼間用の濃いサングラスをかけさせておいた。
以前助けた貴族【ファニー】から買い取ったものだ。
どうやらかなり効果があったらしい。しばらくは眠気に負けずにいられた。
「もう…文字は見たくありませんわ…」
机に突っ伏すシルヴィア。
だがその手には、努力の跡が残っている。震える指先にペンだこができていた。
「やるだけのことはやった…あとは結果を待つだけだな!」
俺は満足げに笑った。
その言葉に、Gクラスの全員がどこか誇らしげに頷いた。
——そして、翌日。
体育館の前には全学年の生徒が集まっていた。
天井の高い空間に魔法灯が灯り、冷たい石の床が緊張を反射させている。
張り詰めた空気の中で、Gクラスの面々は一つに固まって立っていた。
「ドキドキするにゃー!」
「今回はがんばったから自信があるのだ!」
「僕もクラスのためと思いいつもより勉強した」
「俺も気合い入れたぜ!」
それぞれの声が響く。
顔には緊張と期待が入り混じった色。
誰もが、昨日までの自分を超えようとしていた。
シルヴィアは黙って胸の前で手を組む。
彼女の肩がかすかに震えている。
やるだけのことはやった——でも、結果を見るのが怖いのだろう。
「あらあら…またこんなところで会うなんて奇遇ですわね?」
冷たい声が背後から聞こえた。
振り向けば、先日シルヴィアに絡んできた令嬢たちが立っていた。
整った笑顔の奥に、薄い嘲りが浮かんでいる。
大方、テスト結果を見たあとでシルヴィアを笑い者にするつもりだろう。
相変わらず嫌なタイミングで現れる連中だ。
「聞きましたわよー? Gクラスは今回学年トップを狙うんですってね?」
「Gクラスにも優秀な方がいるようですが、1番足を引っ張るバカがいては無謀ですわ!」
彼女たちは顔を見合わせ、わざとらしく笑った。
その声が周囲に響き、他クラスの生徒たちの視線が集まる。
エイブが今にも噛みつきそうな顔で前に出ようとしたが、
シルヴィアが静かに片手を上げて制した。
「…笑いたければ笑えばいいですわ…わたくしにできることは全てやりました。どんな結果でも後悔は…ありませんわ…」
その声音には震えがなかった。
覚悟のこもった静かな決意。
その姿に、令嬢たちの笑みが一瞬だけ止まった。
「ふん! 強がるならバカでもできますわ!」
吐き捨てるように言い、彼女たちは前へと視線を向ける。
体育館の壇上では教師がマイクを握りしめ、ざわめく生徒たちを見渡していた。
空気が一気に引き締まる。
「では2年の成績順位を発表する!」
その瞬間、広い体育館に緊張が走った。
静寂が落ち、心臓の音だけがやけに大きく響く。
誰もが息を飲み、次の言葉を待った。
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