280.青髪縦ロール令嬢の場合(1)
追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!
バースとの課外授業を終え、一旦俺はバルトン王国の冒険者育成学校に帰ってきた。
バースは優秀だし、テストも心配なさそうだ。
見た目どおり成績のいいレスター、そして見た目に反して頭の切れるエイブ、この二人も問題なし。
だから、当面は放置していいだろう。
その後、俺は【テレポート】で、自分の屋敷へと戻ることにした。
石畳の廊下を歩くと、外からは学生たちの声が風に混じって聞こえてくる。
屋敷の一番広いリビングでは、レネー、ニャウンシェ、アンブル、シルヴィア、イザベラの五人が勉強の真っ最中だった。
陽光が机の上の紙を照らし、羽ペンの音とページをめくる音が静かに響く。
そして、その前に立つのは──。
「そこはこう解くのじゃ!」
「その魔法構築はこの公式を当てはめることでできますわ!」
声の主は、小族の姿をした俺の主【エリス・グランベル】と、公爵家の令嬢にして聖女の【リーズ・アクィルス】。
二人とも、俺が学生時代に勉強を教わった座学のエキスパートだ。
だからこそ、俺が教えるよりも効率がいい。説明もわかりやすく、何より説得力がある。
「そこ! 寝るでないわ!!」
エリスの声が響く。
机に突っ伏しかけていたイザベラが、びくっと身体を震わせた。
眠り姫の異名は伊達じゃない。ペンを握ったまま寝ようとするその姿、逆に才能を感じる。
そして──。
「次こそは満点ですわよ!!」
青髪の縦ロールを揺らし、答案用紙を自信満々に突き出すのは【シルヴィア・シャーリー】。
「…15点ですわ…」
リーズが小さく告げた瞬間、部屋の空気が凍った。
惨敗!!!
……まあ、0点から15点になったのは進歩だ。そういうことにしておこう。
「ムキー!! なぜですの!?!?」
シルヴィアが机をバンッと叩く。
その勢いでインク壺がぐらりと揺れ、ニャウンシェが慌てて尻尾で押さえた。
「もしかしたらここ誤解して覚えているかもしれませんわ…。こことかケアルスミスみたいですし…」
リーズが淡々と指摘する。
どうやらシルヴィアは、覚えたつもりで細部を間違えているらしい。
自信満々で見直しをしないタイプだ。
「勉強めんどいにゃー!」
「暴れたいのだー!!」
「…腹減った…」
ニャウンシェ、アンブル、レネー。三人三様に集中力が切れてきたようだ。
リビングの空気がどんどんカオスになる。
「この問題を解いたら休憩にしましょう」
ココさんが優しい声で提案する。
彼女は教えるというより、みんなのサポート役だ。落ち着いた雰囲気が癒やしになっている。
そういえば──ずっと気になっていたことがある。
「ニャウンシェは語尾に【にゃー】って言うのに、ココさんは言わないんですね」
コツン!
「あて!?」
軽い衝撃が頭に走る。ココさんのゲンコツだった。
「猫族だからといって、【にゃー】と言うものではありませんよ。むしろ珍しく、可愛く見せようとして同じ猫族の女性に嫌われる傾向があります」
なるほど。いわゆる猫族界の【ぶりっ子】ってやつか。
「にゃーにゃー言うと可愛く見えるにゃー!」
ニャウンシェが自信満々に言う。
確かに……可愛く見える。
そして──。
悪くない!!!!!!!!!!!!!!!!!!
実に萌えである!!!!!!!
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
と思ったら
下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。
面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!
ブックマークもいただけると本当にうれしいです。
何卒よろしくお願いいたします。




