242.魔眼
第12章完結まで連続投稿します!
追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!
「…やっと効いてきたね... …闇魔法…【ネロデュジェイ】の中に遅延で仕掛けたのさ。闇魔法【グラビティホールド】をね」
足元の石畳が軋み、シンティアの動きがわずかに鈍るのがわかった。
【グラビティホールド】。
重力を操り、対象の身体を見えない鎖のように縛る闇魔法だ。
俺はその効果が遅れて発動するよう、最初の一撃に仕込んでいた。
そうだ。俺たちはまだ終わっちゃいない。
この戦争を止めるために——まだ、立ち続けるんだ!
「うおおおおおおおおおおおお!!!!」
ズガガガガガガガガガ!!!
ズババババ!!!
闇の重力に縛られたシンティアの動きに完全についていける。
俺の斬撃が光の軌跡を描き、何度も命中する。
「くぅ! 多重魔法障壁もまだ展開できない!」
魔族の多重魔法障壁は、一度破壊されると再展開まで五分かかる。
つまり今の彼は、完全に無防備な状態だ。
「…仕方がない...」
シンティアが短く呟き、瞳を閉じた。
その瞬間、全身から魔力の流れが一瞬消える。
「!? もらった!!」
俺はその隙を逃さず、魔導霊気刀を振り下ろす。
斬撃が閃光となり、シンティアへ一直線に走った——
ガシッ!!!
「な…なに…!?」
シンティアは剣を素手で受け止めていた。
指先から雷が走り、剣身が軋む。
その目が、静かに俺を見据える。
「…私をここまで追い詰めるとは…」
ゆっくりと、彼の瞼が開いた。
そこに浮かんだのは、赤く輝く八芒星。
「この【魔眼】を使わせたのはお前が初めてだ!!」
「ま…魔眼だと!?」
雷光の中で、その声が妙に遠く響く。
「【魔眼】…100万人に1人...魔族の中で持つものが現れるという…まさかシンティアが魔眼を持っていたなんて!」
ザイヤくんが息を呑んだ。
「そうだ。そしてまだ使いこなせないがこの魔眼の能力は…」
バシュウ!
「え…!?」
次の瞬間、俺の身体から光が消えた。
魔導霊気のオーラも、アビスセイムの闇も。
すべて、霧のように掻き消えた。
「相手の強化魔法を無効化する」
ズドン!!!
「ぐぁ!!!」
雷速の蹴りが俺の腹を打ち抜く。
体が宙を舞い、背中から地面に叩きつけられた。
ズドーン!!
「ぐっ…力が…出ない…」
手が震える。
魔力の流れが完全に遮断された。
「一瞬とはいえ私を超えるとは素晴らしい潜在能力だ。だがここまでのようだな」
シンティアの声が冷たく響く。
彼の輪郭が雷光に包まれて滲む。
それでも俺は——
俺はまだ、負けたくなかった。
刀の柄を掴み、膝をつきながら構える。
「もう力は残っていないだろう...なのにまだやるというのか...」
「...諦めの悪さは...染み付いているからね!」
心臓が焦げるように痛い。
けれど、それでも立ち向かう。
仲間と何度もピンチを乗り越えてきた。
最後まで諦めなかったから、今の俺がいる。
「...そうか...ぐっ!!」
突然、シンティアが膝をついた。
その肩が激しく震えている。
「...力が抜ける...身体が軋む...魔眼の魔力消費と身体の負担はとんでもないな...」
八芒星の輝きが消え、彼の瞳が元の色に戻る。
たった数秒の発動でこの消耗——。
そのリスクは、計り知れない。
だから彼は、最後まで温存していたんだ。
ガシッ!
「く!?」
背後で風が唸る。
シンティアの無防備な背中を、誰かが捉えた。
「面白かった!」
「続きが気になる、読みたい!」
と思ったら
下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。
面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!
ブックマークもいただけると本当にうれしいです。
何卒よろしくお願いいたします。




