24.危険度Sランク! オークロード
第一部完結まで連続投稿します!
追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!
突然、現れたオークロード。
「ぐおおおお!!!」
咆哮が森を震わせ、枝葉が裂け、倒木が飛ぶ。
その声だけで冒険者たちは次々と吹き飛ばされた。
「うわああああああああぁぁぁ!!!!」
森の空気はざわめき、木々の影がぐにゃりと歪むほどの衝撃波が押し寄せる。
「まさかこんな大物と会っちまうとはな!」
強気な物言いのゲルドだが、額には冷や汗が伝う。
元A級冒険者の彼とクラーラでも、危険度Sランクのオークロードを前に勝てる見込みはない。
しかし、ここで引けば住民たちの命が危うくなる。
1秒でも時間を稼ぐ――その覚悟だけで立っているのだ。
「いいだろう。
これがギルドマスターの最後の務めだ!!!」
覚悟を決め、ゲルドは剣を握り締める。
その間にクラーラは先手を打った。
「闇魔法【ブライン】!」
瞬間、森の奥の空間が暗闇に包まれ、オークロードの動きを封じる隙を作ろうとする。
「荒ぶる炎…」
クラーラが再び詠唱を始めた。
その声は木々の間に鋭く反響し、地面の落ち葉を震わせる。
だが、オークロードは容赦しない。
「ぐおおおお!!!!!!」
巨大な斧が宙を切り、衝撃波が地面を叩き付ける。
当たらなくても、衝撃だけで冒険者たちは吹き飛ばされる。
「くっ!! あああああああ!!」
クラーラは背後に回ろうとしたが、吹き飛ばされ、ドガッ!と木に激突。
森の土と葉が散乱し、枝が彼女の肩に刺さる。
その隙を突き、ゲルドはオークロードの懐に飛び込み、剣を構える。
「剛剣なる…滅陣!!」
ジェネラルオークを一撃で斬り裂く大技――その威力をオークロードに叩きつける。
しかし、ズガーン!!!!
「ぐあ?」
ほとんどかすり傷すら入らない硬度。
ゲルドの剣は、まるで鉄の壁に弾かれたように跳ね返った。
「く!? なんて硬ぇ皮膚してるんだ!?」
オークロードの力強い蹴りがゲルドを襲う。
「ぐはぁ!!」
勢いよく吹き飛ばされ、木に激突、倒木を連鎖的に破壊しながら飛んでいく。
森の木々が次々と倒れる音が響き、土埃と葉が舞う。
ゲルドもクラーラも頭から血を流し、うつむくしかなかった。
「ま、マジかよ…現役引退しているとはいえA級冒険者を一撃で!」
「ば、化け物だ…」
その姿を見たB級、C級冒険者たちは戦意を喪失していく。
「ぐおおおお!!!」
オークロードは戦意を喪失する冒険者たちを見て雄叫びを上げた。
その咆哮は周囲のオークたちを鼓舞し、次々と冒険者たちに襲いかかる。
「ぎゃああああああああああ!!」
「ち、ちくしょぉぉおおおおお!!」
「い、一旦引くぞ!! 抑えきれねぇ!!」
殺される冒険者、負傷する冒険者、逃げる冒険者――森は混沌に包まれる。
「……ペッ! いい蹴りじゃねぇかデカブツ!」
意識を取り戻したゲルド。
口から血を飛ばしながらも、強気な声を出す。
しかし実際は肋骨は複数損傷、内臓もいくつか危険な状態だ。
「最後ぐらい冒険者として死んでやろうじゃねぇか…!」
奥の手を発動。
「身体強化!! 二段階!!!」
魔力を体内に集中させ、身体能力を飛躍的に上げる――しかし寿命を縮め、命を削るリスクを伴う禁忌の手段だ。
「ぬおおおおお!!!」
ゲルドの周囲に緑のオーラが渦巻き、森の空気まで震わせる。
だが、オークロードは容赦しない。
「ぐおおおお!!!」
走り出し、巨大な斧で襲いかかる。
「炎魔法【フォトブリーバ】!!!」
ズドーン!!!!
上級炎魔法が炸裂し、大爆発が森を焦がす。
炎が樹木を焼き、熱波が冒険者たちの肌を焦がした。
「クラーラか!?」
この魔法を放ったのはクラーラだ。
彼女の魔力の中でも最も威力の高い魔法。
詠唱の合間を縫って、オークロードの隙を生み出す。
オークロードの体に大ダメージが残るが、まだ立ち上がる。
「これで終いだ!!!」
本命はゲルドの剣。
命を削り、渾身の力で斬りかかる。
「超!! 剛剣なる!! 滅陣!!」
ズバーン!!!!
剣がオークロードを斬りつけ、森全体に衝撃が走る。
致命傷を負わせるほどの深い傷が入るが、真っ二つにはならなかった。
「はぁ…はぁ…」
ゲルドは息を荒げ、剣を握る手も限界だ。
身体強化魔法の反動とオークロードの猛攻で、体は悲鳴を上げている。
だが、倒れるわけにはいかない。
背中には後輩と街の命がかかっている。
「俺の背中には可愛い後輩たちと街の命がかかってるんだ!!」
命を削りながら、まだ倒しきれていないオークロードにトドメを狙う。
「ゲルドさん! もういいっす!
あとは俺たちがやりますから!!」
「それ以上動いたら死んじまいやす!!」
ゲルドの言葉に冒険者たちは心を打たれ、気遣いの視線を送る。
「お前ら…」
思わず胸が熱くなる。
そのとき、前方から煙のようなものが漂う。
絶望的な光景――ゲルドの一撃を受けても倒れず、傷が再生するオークロード。
煙は肉が再生する際に立ち上るものだった。
「ば、バカな…」
ゲルドは膝をつき、座り込む。
身体強化魔法の負荷と猛攻で、動くことすらままならない。
「ゲルドさん!!!! くっ!?」
クラーラも立ち上がろうとするが、力尽きて再び倒れ込む。
ギルドマスター・ゲルド、そしてクラーラも戦闘不能。
他の冒険者たちもオークロードには勝てない――まさに絶体絶命の状況。
「ふっ…殺すなら殺せ…。
元より死ぬ覚悟だ…」
ゲルドは己の死に場所を決めた。
「ゲルドさあああああん!!!!」
冒険者たちは、戦いながらもその名を叫ぶ。だがオークロードは耳を貸さず、巨大な斧を振り上げ、ゲルドの名を叫ぶ。
オークロードはその叫びに全く耳を貸さずに大きな斧を振り上げてゲルドの頭上から振り下ろす。
「あばよ。お前ら。1人でも多く生き残ってくれ」
ギュン!!!!
ガキーン!!!!!!!
何かがオークロードの斧に向かって空から突撃してきた。すると斧の振り下ろす軌道がズレてゲルドを避けた。
「すみません! お待たせしましたー!」
そこにいたのは期待の新人冒険者。
ウェル・ベルクだった。
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