23.ギルドマスター
第一部完結まで連続投稿します!
追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!
数分前。
「うおおおおおおおおおおおお!!!」
先陣を切って暴れまくるのは、元A級冒険者で現在ギルドマスターのゲルドだ。
血に濡れた剣が太陽光を反射し、森の木々の影を赤く染める。
指揮を取らず、ただ前へ前へと突き進む姿は圧倒的な存在感を放っていた。
「ちょ! ゲルドさん!
オーク倒すのも大事ですが指揮を!!!」
注意するのは、元A級冒険者でギルドマスター補佐の女性、クラーラ。
青髪のショートカットに、スレンダーな体躯、知的な印象のメガネが映える。
森の薄暗い光の中でも、その存在感は鮮やかに目立つ。
「ふははははは!!!!!
この状況で指揮など何の役に立つ!!
それより俺が多く倒せば犠牲が最小限になるであろう!!
オーク(多く)だけにな!!!!」
【オーク】と【多く】を掛けた言葉遊びか。
指揮を取ろうが取らなかろうが、多勢に無勢は変わらない。
ならば、目の前の敵を次々と倒したほうが被害は少ない――そんな思考だろう。
「オヤジギャグか!!
とかいって…本当は暴れたいだけでしょ?」
クラーラが冷静に突くと、ゲルドは片手を挙げて応える。
「聞こえなーーい♪」
そしてまたオークをなぎ倒す。
「子供か!!!」
森の中に轟く声と剣の衝突音。木々は震え、土煙が舞う。
「おいクラーラ! そっちへ行ったぞ!」
オークの一体がクラーラに襲いかかる。
巨体を揺らしながら棍棒を振り下ろすオークに対し、クラーラは軽やかに身をかわす。
「荒ぶる炎、灰燼と化す精霊の加護を…」
詠唱を始めた彼女の声は、森のざわめきの中でも鋭く響いた。
「汝に与える炎の息吹…」
ババババ!!!!
詠唱しながらも攻撃をかわすクラーラ。
目の前のオークが炎の奔流に飲み込まれていく。
「目前のすべてを焼き尽くせ!
炎魔法 ゼロ距離【フラムルジア】!!」
オークの溝落ちに手を添え、炎魔法を解き放つ。
完全詠唱の中級魔法をゼロ距離で撃つ――動きながらの発動は並みの魔導士にはできない芸当だ。
「ぐおおおお!!!」
オークの上半身が焼かれ、肉と鎧が焼け焦げて地面に落ちる。
「ふっははは!! さすがだ!
詠唱しながら動けるなんてなかなかいないからな」
基本、魔導士は詠唱中無防備だ。
魔力を集中するため背後からの攻撃は致命的。
だからパーティーで守られながら詠唱するのが基本だが、クラーラは稀有な存在だ。
「私もまだまだ負けられませんよ」
森の奥から、ハイオーク10体とジェネラルオーク3体の群れが迫る。
森の茂みを踏み荒らし、地面を振動させながら進むその姿に、空気が震えた。
「おいおい! オークだけじゃねぇのかよ!」
ジェネラルオークはA級冒険者1人でやっと倒せる相手。
それが3体も同時に来るという絶望的状況だ。
だが後方から、B級冒険者やC級冒険者が駆けつける。
「ギルマス!! 俺たちにも戦わせろやー!!」
「一人だけ獲物を横取りしているんじゃねぇ!」
血気盛んながら頼もしい面々だ。
「よく来た野郎ども!
だったらハイオークどもは任せるぞ!」
ゲルドとクラーラはジェネラルオークに集中することを決めた。
「久しぶりに身体強化魔法を使ってやるぜ!」
ゲルドは魔力を体中に集中させ、筋肉を隆起させる。
振動する大地と共に、その雄叫びが森に響き渡る。
「ぐおおおお!!!」
ジェネラルオークの大斧が振り下ろされ、剣と衝突する音が森を震わせた。
「ぐっ!! さっすが! なんて怪力だ!!」
剣を滑らせて斧を受け流す。
戦闘スキルがなければ押し切られていたところだ。
「剛剣なる…滅陣!!」
ズドーン!!!!
魔力を込めた剣がジェネラルオークを真っ二つに断つ。
斬撃の衝撃で周囲の樹木が震え、土煙が舞い上がる。
「闇魔法【ブライン】!」
クラーラは他のジェネラルオークに状態異常【暗闇】をかけ、視界を奪う。
わずか3秒の隙を生かしてゲルドが残りのジェネラルオークを次々と討つ。
「ぐおおおお!!!」
大斧を振り回す最後のジェネラルオークも、ズバーン!!!!で真っ二つに。
「ふははははは!!!!!
俺を無視して無事なわけねぇだろ!」
ゲルドの一撃でジェネラルオーク討伐完了。
「助かりましたゲルドさん」
「相手はジェネラルオークだ! 仕方がないさ!」
だが、その奥深くから――
ズシーン…ズシーン…
巨大生物の足音が木々を震わせ、倒れた木の枝が散乱する。
その影から現れたのは、ジェネラルオークすら凌駕する存在――オークの王、オークロード。
「ぐおおおお!!!!!!」
雄叫びと共に、森の冒険者たちは吹き飛ばされる。
「うあああ!!!!」
「くっ! な、なんでこんなところにオークロードがいるだよおおお!!」
危険度Sランク――森全体が戦場となり、冒険者たちの運命を揺さぶる。
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