218.聖女と魔族
第12章完結まで連続投稿します!
追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!
ここは、とある街の人通りの少ない路地裏。
遠くからは酒場の笑い声が微かに聞こえ、どこか哀愁を帯びた笛の音が夜風に流れてくる。
「こ…ここは…どこなのでしょうか…?」
ランダム転送魔法陣によって飛ばされたリーズは、目の前に広がる薄暗い通りを見渡した。
周囲は高い石壁に囲まれ、狭い通路には人影ひとつ見当たらない。
「あぁ!! 人族のいる街です! 角と翼を隠さなきゃ!」
その時、リーズの背後から甲高い声が響いた。
振り向くと、青く長い髪を片目に垂らし、黒を基調としたゴスロリ衣装を身に纏う女性が立っていた。
どう見ても気の弱そうな魔族だった。
彼女は慌てて両手をかざし、魔法で背中の翼を消し去ると、フードを深く被った。
「あ…あなたは六魔将軍の魔族ですね!?」
リーズは警戒心を露わにして身構える。
「ま…待ってください~! 戦意はないです~!」
両手をぶんぶんと振りながら後ずさるその様子は、どう見ても戦意など欠片もない。
強大な魔力を感じる相手のはずなのに、あまりの気弱さにリーズは拍子抜けした。
「…あなたの目的はなんですの? ウェルをどうするつもりですの?」
慎重に問いかけると、相手は深呼吸をしてから口を開いた。
「わ…私は六魔将軍の序列5位。氷姫の【ヒオラ】。戦争を止める為にウェルくんの力が必要なのです!」
「…戦争を止めることに関しては賛成ですわ。でも、ウェルを利用して人族を大量殺戮させるのは許しませんことよ!」
リーズの声には、凛とした強さが宿っていた。
ヒオラは、必死に首を振る。
「…私は共存派の魔族です。ウェルくんには抑止力になっていただき、人族と和平条約を結びたいのです」
「共存派…というのは…?」
ヒオラは、魔族の中に存在する【共存派】の理念を丁寧に説明した。
それは、ザイヤがウェルたちに語った内容とほぼ同じ――
長き戦いを終わらせ、人と魔が手を取り合う未来を目指す者たちの考えだった。
「…なるほど…とにかく仲間と合流するまで協力致しませんこと? ウェルが仲間になるかどうかの議論はその後ですわ!」
リーズの提案に、ヒオラはぱっと顔を明るくした。
「ありがたいです! まずはそれでお願いします! シンティアからは何かあった時、魔王城へ帰還するよう言われておりますので、恐らく全員、魔王城に向かうかと!」
和やかな空気が流れかけた、その時だった。
「ああああああああ!!!!!」
「な、なんですの!?!?」
突然ヒオラが叫びながら駆け出し、近くの古びた書店へと飛び込んでいった。
リーズが慌てて後を追うと、店内の一角でヒオラが目を輝かせていた。
「こ、こんなところに男と男の愛の新刊が!」
ヒオラは両手で一冊の本を抱え、震える声で言った。
表紙には、見たこともない耽美な絵が描かれている。
「なんですの。この本は…!?」
「説明よりも実際読んでみます? 私の自作で良ければ…」
そして――リーズは人生で初めてBL本というものを手に取ることとなった。
数分後、彼女の頬は真っ赤に染まっていた。
「と…殿方同士で…こんな…こんな愛もあるのですね! 素晴らしいですわ!」
「ああああああああ!!!! わかって頂けるなんて光栄です! これからは同志と呼ばせてください!!」
「もちろんですわ!!」
ガシッ
二人は感極まって手を握り合った。
静かな書店の中、まるで運命の邂逅のように二人の心が通じ合う。
――この瞬間、リーズの性知識は新たな扉を開いた。
しかも、かなり偏った方向で。
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