21.オークの大群
第一部完結まで連続投稿します!
追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!
オーク――危険度Cランクの魔物。
駆け出し冒険者には十分手強い相手だが、熟練者なら倒すのはそう難しくない。
しかし、今回の相手は1体だけではない。
大群だ。
数百単位で迫り来るオークたちに、街の外の森は暗い海のように揺れていた。
「Cランク以上の冒険者は全員俺についてこい!
それ以下は住民の避難を最優先だ!」
ギルドマスター、ゲルドの声が響く。
声の張りは広場にまで届き、木造の建物が微かに震えた。
「オークの数はどのくらいだ!?」
「数えられません! 推定100~500体です!」
うわ……リザード1000体よりも手ごわい相手かもしれない。
ゲルドは冒険者たちの士気を鼓舞する。
「相手はオークとはいえ、500に匹敵する大群だ!
間違いなく危険度Sランク任務となる。
命を落とす者も出るだろう。
だが! 我々には冒険者の誇りがある!
この街が滅びても、住民だけは生き延びさせろ!
死ぬなとは言わん。全力で暴れてこい!!!」
うおおおおおおおおおおおぉぉぉぉ!!!!
ゲルドの言葉に、血の気の騒ぐ男たちが咆哮をあげる。
「そして、もう誰も疑う者はいないだろう!
このギルドの最強冒険者、ウェル・ベルク!!
期待しているぞ!」
確かに俺はギルド最強だ。
ギルドマスターを倒し、ラーニングで魔法や魔力を習得した。
だが、この大群を前にしてどうなるかは分からない。
「やるだけやってみます!」
俺に言えることは、それだけだった。
「それにしても、ビリーたちは何をやっているんだ?」
「別のクエストで今はいないらしいぞ」
剣士ビリー、魔導士カーリン、拳闘士ユルゲン――
B級冒険者のエースたちは今ここにいない。
残念だが、仕方がない。俺たちで何とかするしかない。
街の外に広がる森。
普段は魔物の少ない静かな緑の海が、今日はオークで黒く埋め尽くされている。
「こんな光景、初めて見たな」
俺は空から森を見下ろす。
オークの群れが押し寄せ、木々を揺らすさまは、まさに悪夢のようだ。
よし、始めよう。
俺はリーダーの器ではないが、先陣を切って指揮を取ることはできる。
「俺に続けーー!!!」
俺と肩に乗ったエリスお嬢様は、空からオークの大群に突入した。
剣を二刀流で振り、オークの首や脚を切り刻む。
ズバババババーーンンン!!!!
「ウェルがどれほど強くても、俺たちが先輩だ!
後輩に遅れを取るな!!」
「獲物は早い者勝ちだ!!!」
B級、C級冒険者も次々に森へなだれ込む。
「まったく、暑苦しい奴らじゃ」
エリスお嬢様は高揚を理解できないようだ。
まぁ、男だからこそ分かるのかもしれない。
「もっと飛ばすよ、エリスお嬢様!
『ラーニング』二つ同時発動。
『剛剣』『フレイムバースト』
合成!【炎の剛剣】!!!!」
ズドーン!!!!
森の中心で爆発が起き、黒煙と炎が木々を焦がす。
オークの群れが一瞬で黒焦げとなり、地面に倒れ込む。
魔法と剣術を同時に繰り出す俺――
2週間前にはできなかった技だ。
冒険者たちは口を開けてその光景を見つめている。
「こんなに強いのか…」
「ま、負けねぇーぞー!!」
B級、C級冒険者も負けじと戦う。
剣を振り、魔法を放つ。
「ふははははは!!!!!
現役引退したが、まだまだ若いもんには負けんぞ!!!!!」
元A級冒険者でギルドマスターのゲルドが巨大な剣でオークを斬り倒す。
500体にも及ぶオークの群れも、ギルドの冒険者の前では無力だ。
ここが、この街のギルド【ルミネスゲート】。
初めて関わったギルドだが、これほど頼もしい集団は初めてだ。
しかし、多勢に無勢。
疲労と魔力の消耗は確実に迫っている。
「はぁはぁ……」
俺も最初から大技を連発したため、魔力はみるみる減っていく。
しかし、俺にはこれがある――
「闇魔法【マナドレイン】!」
オークから魔力を吸収し、3体が魔力切れで倒れる。
「よし! まだまだ行くぞ!
『ラーニング』二つ同時発動。
『迅剣』『サンダーボルト』
合成【雷の迅剣】!!!!」
ズドーン!!!!
森の中心に落雷が轟き、10体ほどのオークが倒れた。
「気をつけるのじゃ!
マナドレインで魔力は回復しても疲労は回復しないぞ!」
エリスお嬢様の助言が耳に届く。
その通りだ。
だからこそ、グリーンドラゴン討伐後に俺は倒れたのだ。
しかし、その後も修行を重ね、魔力のコントロールは格段に向上。
剣術と魔法を同時に操れるようになったのだ。
もっと強くなる――
エリスお嬢様を守るために。
もう、あの時のように失いたくはない。
「ぎゃあああああああああ!!」
他の冒険者たちも疲労と負傷で悲鳴を上げる。
「くそ! まだいやがるのかよ!?」
確かに、このままでは押される一方だ。
ん? あれは……
オーク大群の奥に、ひときわ巨大で黒く禍々しい影がある。
「なんだあれ!?」
色も姿も通常のオークとは異なる。
凄まじい威圧感が漂う。
「文献でしか見たことないが……ジェネラルオークじゃな。
他にもハイオークもおるぞ」
ノーマルオークだけではなかったのか!
しかも、エリスお嬢様、博識すぎる。
オークはCランク、ハイオークはBランク、ジェネラルオークはAランク――
これは相当厄介だ。
……ん? あそこに誰かいるぞ?
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