208.バラバラにされた
第12章完結まで連続投稿します!
追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!
「うーん…僕は君に聞いているんじゃないんだけどなぁ」
アーサーさんの抗議に、ザイヤが眉をひそめる。
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いっぽう、ウェルたちがいる【オーブウロス王国】の地下深く。
ひんやりと湿った空気の中、無数の機械とガラス管が並ぶラボがあった。そこに、細身の老人――ラルスがいた。
「ひっひっひ! 何やら地上がうるさいねぇ…。おやおや! 六魔将軍ではないか!」
地上を透視できる装置に向かって、不気味な笑いを漏らす。
「さらにさらに! あれはなかなか良さそうな素材ではないか! 次のホムンクルスの人体実験にふさわしい!! それ以外は邪魔だから立ち去ってもらおう」
ラルスは指先でスイッチを押すと、天井から魔法陣を形成する装置が稼働した。
「ランダム転送魔法陣発動ぅ。どこに飛ばされるか分からないよぉ。ひっひっひ!」
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パァァァ!!
俺たちの足元に、巨大な魔法陣が唐突に現れた。赤黒い光線が大地を走り、風が巻き起こる。
「な、なんだ!?」
「う、動けないアル!」
「いったい何事でござるか!」
全員が身動きできず、混乱の声をあげる。
「お前らの仕業か!!!」
アーサーさんは咄嗟に魔族を疑った。
「違う!! 僕らじゃない!!」
パリッ!!!
ギュン!!
魔法陣の光に飲まれ、ウェルたちも魔族たちも一瞬で消え去った。空間がねじれるようにして、世界のあちこちへ転送されてしまったのだ。
「く!? みんな! どこだ!!」
アーサーだけが、転送の影響を免れていた。
地下ラボではラルスが装置の前でニヤリと笑う。
「ひっひっひ! こいつの肉体は素晴らしい! ちょうど丈夫な人族の素材が欲しかったのだ。さぁ、実験サンプルよ。私のラボに案内してやろう」
アーサー以外の仲間は、世界のあちこちへ散らばってしまった。
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気がつくと、俺は見知らぬ密林の中にいた。湿った土と腐葉土の匂い、頭上に覆い被さる緑の天蓋、鳥や獣の鳴き声が混ざるジャングルのような環境だ。
「…ん…こ…ここは?」
背筋に冷たい汗が流れる。目の前には――ザイヤが立っていた。森の暗がりの中でも圧倒的な存在感を放つ。
「やぁ! 気がついたみたいだね」
「ザイヤ!!」
咄嗟に剣を構える。警戒を解くわけにはいかない。
「まぁ、待って。話し合いから始めないかい?」
「俺を仲間にするんだろ? 確かに思うところはあるけどお断りだ!」
魔族の歴史、人族の歴史。この二つに食い違いがあると感じている。
だからといって魔族の仲間になる理由にはならない。
魔族だって人族を殺しているんだから。
「そうだね…仲間にする前に君の力を試したい」
ザイヤの瞳が赤く光き、周囲の空気が震える。木々がざわめき、葉が舞い上がり、地面の苔が裂ける。魔力の波動が全身を圧迫する。
やはり、戦わなければならない――そう直感した瞬間だった。
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