207.六魔将軍(グルークゼクス)勢揃い
第12章完結まで連続投稿します!
追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!
「こ、これはどういうことだ!?」
アーサーさんの案内でたどり着いた【オーブウロス王国】。
だがそこにあるはずの城壁も市場も、人の気配も――すべてが消え失せ、焼け焦げた大地だけが広がっていた。
「アーサーさん。本当にここが【オーブウロス王国】なんですか?」
俺の問いかけにアーサーさんはすぐに頷いた。
「あぁ…間違いない…壊れているがここには門があった痕跡がある」
指先で地面のひび割れた跡を指し示す。門柱の基礎が焼け残り、かつての城門の位置をかすかに伝えていた。アーサーさんの顔に浮かぶのは、怒りと呆然の混じった表情だ。
「国が滅んだ…いや、滅ぼされたのか…? …魔族か…!!」
国を一瞬で消し去る――その所業が可能なのは、知る限り魔族だけだ。アーサーさんの声は震え、胸の中で何かが軋むように響いた。
その時だった――。
ゾッ!!
凄まじい魔力を感じた。
地鳴りのような感覚が体を包み、背筋が凍る。
もし、無能なおっさんだったころに、この圧力を受けたら立っていられなかったであろう。
「上ですわ!」
リーズが指を差す。その視線の先、空には五つの人影が浮かんでいた。翼のある者、無い者、いずれも異様な気配を放っている――間違いなく魔族だ。
「あれがウェルってガキか! 俺が一番最初に仕留めてやるぜ!」
「おで、知ってる、仲間の仇、討ちたい、と言ってる、ヴァン、仲間想い」
「素晴らしい愛です! 今日も一日創作が進まります!! ご馳走様です!」
次々と魔族たちが喋りだす。口調は違えど、要するに――俺を狙っている、らしい。
「まぁ、待って待って。会議じゃ僕がウェルくんの相手をするって言ったでしょ? 僕にまかせて」
黒の髪を揺らす小柄な少年が、空から静かに降りてきた。彼の名はザイヤ。ヴァンを連れ去った張本人であり、六魔将軍の序列2位だ。落ちてくる影の周囲に、明らかに異質な魔力の波紋が広がっている。
続いて、五人は順に着陸した。いずれも一癖も二癖もありそうな外貌だが、なにより放たれる魔力の密度が、ヴァンのそれとは比較にならない。中でも一体――群れの中で最も強い気配を放つ存在がいた。
「相手をするのはまだだ。まずは話し合いと言っただろう」
その声は低く、空間を震わせる。五人の中でも最も魔力の高い者が、談判を持ちかけるのだという。
「話し合い?」
俺たちの戸惑いが間を埋める。戦争で家を奪い、国を滅ぼす側が、今さら話し合いを持ちかけるというのか。
「お前らか!! この国を滅ぼしたのは!!」
アーサーさんの怒声が切り裂く。理屈はさておき、目の前にいる連中を疑うのは当然だった。だが、向こうは冷静に首を振る。
「その国に関しては僕らは何も知らないよ。そして、僕らは六魔将軍。ヴァン以外でウェルくんを迎えにきたんだ」
六魔将軍――全そしてヴァン以外で5人来たってことは…全員勢揃いということか!
そして、あの一番魔力を持っている魔族。恐らくあれが序列1位か。
「俺を迎えにってどういうことだ!?」
圧倒的な魔力よりも、俺を迎えに来たという言葉が胸に刺さる。なぜ俺を? 何を目的に? 疑問が束になって湧き上がる。
「そのままの意味さ。君さえ良ければ僕ら魔族の仲間にならないか?」
唐突な勧誘に場が凍る。空気が一瞬で硬くなり、耳鳴りのような静けさが訪れた。俺の隣でユガレイくんが小さく抗議の顔をする。アーサーさんの拳に力が入る。
「ふざけるな!! お前たちは散々俺たちの仲間を!! 家族を!! 殺しているだろう!! ウェルくんがそんなやつらの仲間になるはずがない!!」
怒りが先に出たのは当然だ。血で汚れた過去と、喪失の痛みは簡単には消えない。だが向こうの表情は変わらず、勧誘の口調にも乱れはない。
話し合いは、ここでどう転ぶのか。
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