196.六魔将軍(グルークゼクス)VS ウェル
追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!
「…犬族が超級魔法を使うとは…しかも無詠唱で…」
ヴァンは目を見開いた。冷たい風がその緑髪を乱す。犬族の子どもが、ここまでの魔力量を持つなど常識ではありえない。
「…何者だ…まさか…人族が作った【ホムンクルス】か!?」
【ホムンクルス】!? なんだそりゃ!?
「…一応、犬族だ!…【瞬速の猟犬】…ウェル・ベルク!」
俺は剣を構え、足元に魔力を集中させた。
「ウェル・ベルク…聞かない名だ。ホムンクルスでないのにこの実力…。犬族ではありえないのだが…」
やべ、名乗っちゃった。ここは二千年前の時代。冒険者ギルドなんて存在しない。二つ名も通じないだろう。
というかホムンクルスってなんだ!?
「ならなぜ邪魔をする!? しかもそれだけの力を持っていながら!! 人族の非道を許すのか!?」
「人族の非道?」
「人族は俺たち一族を何人も殺している! しかも子どもたちを連れ去り奴隷にしているんだ!!」
テンちゃんやサヤの話によると、奴隷の件は事実らしい。だが——
「だからといって皆殺しにすることはないだろう!!」
皆殺しは行き過ぎだ。怒りに飲まれたその瞳には、もう理性が残っていない。
「そうでもしないと人族は、また俺たちを攻撃する! 六魔将軍の立場があるから独断で行動は許されないが、もう我慢ならん!!」
こいつ……命令を無視してここへ来たのか。まるで暴走寸前の狂風だ。
「くそ! 話し合いにならない…!」
言葉を投げても届かない。
「風魔法【ストームチェイン】!」
ヴァンの詠唱と同時に、俺の周囲に風でできた鎖が出現した。
「な、なんだ!?」
避けても、斬っても、鎖はまるで意思を持つかのように絡みつく。
風の圧力が、俺の身体を縛り上げた。
「上級風魔法【ストームチェイン】。殺傷力はないが捕縛に適した魔法だ。お前の力なら自力で引きちぎるだろうが、その前に片をつけてやる!」
「な、やば!」
「超級風魔法【ギガ・タービュレンス】!!」
天が裂けた。空一面の雲が吸い込まれるように渦を巻き、巨大な竜巻が天頂から落ちてくる。
大地が震え、王城の塔が一瞬で粉砕された。
「レナ!!」
「はいは~い! 待ってたわよ~!」
俺は叫び、眩い光が身体を包み込む。
カッ!!
「【魔導霊気】!!」
魔導霊気の波動が爆発し、空気が震えた。
周囲の瓦礫が浮かび上がるほどの魔力圧。
「ふん!!」
バリッ!!
風の鎖が一瞬で弾け飛ぶ。
「闇魔法【デスレート】!!!」
指先に黒い光線を凝縮し、一気に撃ち放つ。
ズドーン!!!
黒い閃光が竜巻の中心を貫き、超級風魔法【ギガ・タービュレンス】を相殺した。
暴風が止まり、静寂が訪れる。
「…まだ力を隠し持っていたのか…。全力で相手をしないと埒が明かないな」
ヴァンがゆっくりと右手を掲げる。
空気が震え、地面が鳴る。これが六魔将軍の本気——。
だが、俺も退く気はない。
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