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184/620

184.ユガレイの過去

追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!

「ギャアアアアアアアアス!!!」


 もう一体の魔物が、銀髪の子どもに向かって突っ込んだ。

 地面が砕け、砂が跳ね、轟音が響く。

 だが、その刹那――。


「隙を見せたな!」


 ズバン!!!


 閃光のような一閃が走った。

 アーサーの大剣が空気を裂き、次の瞬間には魔物の首が宙を舞っていた。


「よし!」


 血飛沫が夕陽に照らされて赤く光る。

 アーサーは魔物が完全に動かなくなったのを確認すると、【アイテムボックス】に鎧と剣を収納した。


 ぴょこん。


 唐突に、銀髪の子どもがアーサーの頭に飛びついた。


「おま!? ちょ、待て!!」


 柔らかい感触とともに、首に腕を絡めて離さない。

 その小さな身体からは驚くほどの力を感じた。

 アーサーは苦笑しながらも、どうにも外せない。


「わかった! 後で遊んでやるから一旦離れろ!」


 そう言っても、銀髪の子どもはぎゅっと抱きついたまま離れない。

 その無邪気な仕草に、戦場の緊張感が少しだけ和らぐ。


「どうしたものか…急いでいるんだが…とはいえ子どもをこんなところに置き去りにする訳にもいかんしな」


 焦燥と責任感が胸の中でせめぎ合う。

 なぜこんな危険地帯に子どもが? なぜあれほどの身体能力を?

 疑問が頭を巡るが、考えている時間はない。


「…こんだけ強いなら戦場に連れてっても自分の身ぐらい守れるか…」


 部下の命が一刻を争う。

 この子を安全な場所に預ける時間などない。

 アーサーは理性よりも直感を信じた。


「よし! ついて来い! ボウズ!」


 その声に反応するように、銀髪の子どもは再びアーサーの胸に飛び込んだ。

 そして、彼の肩によじ登り、嬉しそうにする。


 アーサーは馬に飛び乗り、戦場へ向けて駆け出した。

 砂煙が後ろに流れ、風が二人の髪をはためかせる。


「これから戦場に向かうから俺について行くなら覚悟するんだぞ! ところで名前はなんて言うんだ?」


 銀髪の子どもは首を傾げた。

 言葉は発しないが、その表情から【わからない】と伝わってくる。


「喋れねぇのか…ん? 首輪になんか書いてあるぞ?」


 首元に光る金属の輪。

 アーサーが覗き込むと、そこには古びた文字で【ユガレイ】と刻まれていた。


「…ユガレイ…これがボウズの名前か?」


 そう呟くと、子ども――ユガレイはまた小さく首を傾げる。

 まるで【そうなのかもしれない】とでも言いたげだった。


「まぁいいや! お前のことはユガレイと呼ぶ!」


 アーサーがそう言うと、ユガレイは。


 コクッ。


 と、小さく頷き、笑顔を見せた。

 その笑顔は戦場の空気を一瞬だけやわらげた。


 やがて、遠くから爆音と叫び声が聞こえてくる。


「うおおおおお!!!」


ドガーン!!!


 炎と煙が立ち昇り、戦場の空気が肌を刺すように熱い。

 アーサーの部下たちの叫びと魔力の爆発音が入り混じり、耳が痛いほどの轟音となって響く。


「死ねぇぇぇえ!!! 人族!!!」


 魔族たちの怒号。

 その姿は炎の中で影のように揺れ、狂気と悲哀をまとっていた。

「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


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