181.ウェルVSユガレイ
追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!
うーん。
どのくらい眠ったのだろうか。
チュン、チュン。
外から小さな鳥の鳴き声が聞こえる。朝の光が薄く差し込み、部屋の中を柔らかく照らしていた。石造りの壁に反射する光が、まるで水面のようにゆらめいている。
つまり——夕飯を食べ損ねたまま、朝を迎えてしまったらしい。
腹が鳴る。そろそろ起きるとしよう。
……と思ったその瞬間。
ズドン!!!
「ぐえ!?!?」
腹に衝撃。何かが全力で突っ込んできた。
寝ぼけ眼をこすりながら起き上がると——。
ニコッ。
少年が無邪気に笑っていた。
「ユガレイくん!?」
昨日、「また明日ね」と言ったのを、ちゃんと覚えていたらしい。
その目は期待で輝き、【早く遊ぼう!】と訴えかけている。
まったく、朝から元気だな……。
まあ、体力も回復したし、少しぐらい付き合ってやるか。
ということで俺とユガレイくんは、アーサーさんがよく訓練に使うという城の訓練場へとやってきた。
重厚な石壁と木製の訓練器具がずらりと並ぶその光景は、まるで戦場の準備所のようだ。
「さぁ! 来い!」
昨日の不甲斐ない姿はもう見せない。
子ども好きのオッサン、全力で相手してやる!
そう意気込んだ矢先——。
ズギュン!!!
ユガレイが昨日と同じように、いやそれ以上のスピードで地を蹴ってきた。
「よっと!!」
紙一重で回避。
ふっ、昨日のようにはいかない。伊達に魔族や強敵たちと渡り合ってきたわけじゃない。
だがユガレイは、すぐさま体勢を立て直して——。
ズギュン!!!
再び突進!
「うわぁ!?」
ズガン!!
咄嗟に腕で受け止める。
衝撃が走り、腕が痺れる。
「うお!? すごい力だ!」
昨日のように壁までは吹っ飛ばされなかったが、子どもの力とは思えない。
ユガレイはにこりと笑うと、再び地を蹴った。
ズギュン!!!!!
「うおわ!? ちょ、ちょっとタンマ!?」
スピードが上がってる!?
避けきれねぇ……!
ノーマル状態じゃ無理だ。
ならば——!
「魔導気!!!」
ズガン!!!
魔導気をまとい、突進を受け止める。今度は押し負けない。
まさか子どもと遊ぶのに魔導気を使うとはな……。
ユガレイはまた笑った。無邪気で、でもどこか挑むような笑み。
そして——。
ズギュン!!!!!
さらに速度が上がる。
え!? まだ速くなるの!?
ズガガガガガガガガ!!!!!
「うおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」
石畳がひび割れ、風圧で砂埃が舞う。
まるで子どもの遊びではない。完全に戦闘だ。
魔導気で強化して、ようやく互角。
いったい……この子、何者なんだ!?
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