179.銀髪で黒い猫耳で緑と青のオッドアイの子ども
追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!
鎧と大剣で武装した、かなりガタイの良いナイスガイなおっちゃんは、ギザールさんに何やら話しかけたあと、こちらへ視線を向けた。
「見かけねぇ顔だな! しかも人族以外にもいるじゃねえか!」
低く通る声。豪快な笑み。
どうやらこの国では、人族以外の存在が珍しいらしい。
スカラオゴ王国――それは人族によって築かれた、厳格な秩序の国なのかもしれない。
「こちらの方々は魔族との戦闘中に協力していただいた恩人たちです。それに、相手に名前を聞くなら先に名乗るのが礼儀ですよ隊長」
ギザールさんがやや呆れたように言う。
「おっとすまねぇ! 俺の名はアーサー・マーティリー。この国で魔導騎士団総隊長をやっている者だ!」
アーサー・マーティリー。
――魔導騎士団総隊長。つまりギザールさんたちを束ねるトップ。
その鎧は重厚な銀鉄製で、胸には王国の紋章が刻まれている。
肩から背にかけて伸びる外套が、金糸の縁取りで淡く光を反射し、ただ立っているだけで圧を感じる。
近くを通る兵士たちが一様に敬礼しているあたり、その地位と信頼の高さは疑いようもない。
「アーサー隊長はこの国でこの名を知らない者はいないほど有名な【魔法剣士】です。いずれこの国を背負って立つ偉大な方です」
ギザールさんが誇らしげに言葉を添えた。
【魔法剣士】――魔力と剣技の両立者。
俺も【ラーニング】の力で似たようなスタイルを取っている。
戦闘スタイル的に親近感覚えるな。
そして俺の中身は三十六歳。
……おっちゃん同士、ちょっとわかり合える気がした。
「俺はウェル・ベルク」
「リン・テンテンアル!」
「リーズ・アクィルスですわ」
「ココ・カトゥスです」
「エリスじゃ」
「黒國沙耶でござる」
「美少女精霊レナちゃんよ~」
「…ブラン」
次々と仲間たちが名乗りを上げていく。
個性の強さが会話のテンポすら彩っていくようだった。
エリスお嬢様があえてフルネームを名乗らなかったのは、貴族としての素性を隠すためだろう。
アリストクラキーの件が頭をよぎる。
「犬族に、猫族、小族に精霊と来たもんか…多種多様な組み合わせだな!」
アーサーさんの目が丸くなる。
確かに、俺のパーティーは種族バラバラ。
人族に限らず、さまざまな種が肩を並べている。
ちなみに、アーサーさんはまだ気づいていないようだが――
サヤとブランは【竜族】だ。
ヒョコッ。
そのとき、アーサーさんの足元から小さな影が顔を出した。
【銀髪で黒い猫耳、緑と青のオッドアイを持つ子供】。
年の頃は四歳ほど。
服は上等な素材だが、膝には泥がついていて、どうやら外で遊んでいたらしい。
光に反射して、銀の髪が淡く揺れる。
「じっー」
その子はまっすぐに俺を見上げてきた。
猫耳がピクリと動き、左右のオッドアイがまるで心を覗くように光を宿す。
「じっー」
……何も喋らない。
ただ、俺の顔をまじまじと見つめている。
なんなんだこの子どもは!?
しかし、このとき俺たちはまだ知らなかった。
この出会いこそが、すべての運命を動かす始まりになるということを。
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