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174.自分らしく

第10章完結まで連続投稿します!

追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!

 …僕はダメな人間なんだ…。

 …僕は必要のない人間なんだ…。

 …もう疲れた…。

 …僕はいなくなりたい…。


「ファニー!!!」


 …誰…?


「このやろ!!! よくも俺の多重魔法障壁を!!!」


 …誰かが…ジャックと戦っている…?


「だが残念だったな!! お前の負けだ!!!」


 ヴォン――。


 地鳴りのような魔力の唸りと共に、ジャックの手元に眩い紫黒の魔法陣が広がった。


「【遅延魔法】って知っているか? 予め詠唱を完了させることで好きなタイミングで発動させる高等スキルだ!!」


 遅延魔法。

 魔法は強力であればあるほど詠唱が長くなる。

 無詠唱で放つこともできるが、その場合は威力が大幅に落ちる。

 超級魔法ともなれば、詠唱を省略するのはほぼ不可能。


 その欠点を補うために生まれたのが、この【遅延魔法】という技術だった。

 詠唱を完了させた状態で魔力を「保存」し、好きな瞬間に放てる――いわば時限式の魔法。


「今度こそ消え去れ!! ゼロ距離!!! 超級闇魔法圧縮【シュヴァルツインフェルノキャノン】!!」


 ドゴォォォン!!!


 轟音と共に、闇の奔流が爆ぜた。

 黒い炎が光を呑み込み、一本の巨大なレーザーとなって一直線に俺を貫く。

 熱風と焦げた匂いが空間を満たした。


 超級闇魔法圧縮【シュヴァルツインフェルノキャノン】。

 それは、通常の超級闇魔法【シュヴァルツインフェルノ】を極限まで圧縮した魔法。

 攻撃範囲を犠牲にして密度と威力を跳ね上げた、まさに一点破壊の極み。


「ひっひっひ!!今度こそ消えてなくなれーーーーー!!!!」


 ジャックの狂気じみた笑い声が、爆風の中に溶けていく。


 しかし――。


「そうは行くか!!!」


 ガシッ!!


 俺はその黒炎をまともに受けながら、ジャックの胸ぐらを掴んだ。

 皮膚が焦げる匂いと、魔力が衝突する音。

 熱と闇の中で、視界の端が赤く染まる。


「なんだと!?化け物か!?」


 ジャックが目を見開いた。

 恐らく、今のが奴の最大魔法。

 だがあいにく、さっき上級闇魔法【アビスキャノン】を自身にエンチャントしてある。

 さらに魔導霊気で強化済みだ――超級魔法でも防御できる。


「うぉぉおおおおお!!!目を覚ませ!!!」


 ガン!!!


 俺はジャック――いや、ファニーの額に頭突きを叩き込んだ。


「…ウェル…?」


 ファニーの瞳が揺れた。

 その奥に、かすかな理性の光が戻る。


「ば、ばかな!! くそ!! 引っ込んでろ出来損ないが!!! お前は生きたところで何ができるって言うんだ!!」


 ファニーとジャックの意識が交錯する。

 肉体の主導権を奪い合うように、声が二重に響いた。

 魔力の奔流がぶつかり合い、周囲の空気が歪む。


「父親のように立派にならなくてもいい!!! 領主らしくならなくてもいい!!! 自分らしく自分の足で歩けばいいんだ!!!」


 俺は全力で叫んだ。

 焦げた床に立ち、吹き荒れる闇風の中で、ただ一心に彼へ届くように。


「綺麗事だ!! 聞くんじゃねぇファニー!! 俺の言うことさえ聞いていればいいんだ!!!」


 ジャックの声がファニーの口から絞り出される。

 だが俺は一歩も退かなかった。


「自分にしかできない生き方で村の皆を守るんだ!! ファニー!!! それが君にできることだ!!」


 闇と光の魔力がせめぎ合う。

 吹き上がる魔力の嵐の中で、ファニーの身体が震えた。


「…僕に…できること…?」


「生きろ!!! ファニー!!!」

「面白かった!」


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