171.奥義【魔壊空滅閃】
第10章完結まで連続投稿します!
追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!
「魔族の魔法じゃろう。これほど広範囲の魔法ということは、恐らく超級魔法じゃな」
エリスの声には緊張が滲んでいた。
空はすでに闇に覆われ、森全体が息を潜めている。木々の葉がざわめき、光を失った世界で仲間たちは身構えていた。
超級魔法。
それは常人の理解を超えた力を持つ魔法だ。
エリス曰く、魔法には段階がある。弱い順に初級魔法、中級魔法、上級魔法、そして最上級に位置するのが超級魔法。
さらにその上には【神級魔法】という伝説的な存在があると言われているが、実際に見た者は誰もいない。ゆえに、現実的には超級魔法が最上位の魔法として扱われていた。
「サヤさんが先に行って魔族と対峙しているようですが大丈夫でしょうか?」
サヤと同じ竜族のブランが、不安げに闇を見つめながら問う。
「大丈夫アル! サヤはウェルの次に強いアル!」
「そうですわ! 問題ありませんわ!」
テンテンとリーズの声には確信があった。
二人にとってサヤは絶対的な信頼を寄せる仲間。どんな強敵にも決して負けない――そう信じて疑わなかった。
そしてその頃、闇に包まれた中心では、サヤとマルディの決戦が続いていた。
「何をしようというのだ? また飛ぶ斬撃でも放つのか? ムダだ!! 俺の超級闇魔法【エクリプスピリオド】はそれすらも呑み込み消滅させる!!」
漆黒の球体が蠢く中、サヤは静かに刀を納めた。
彼女の立つ足元には黒い靄が渦巻き、呼吸をするたびに肺が焼けるような圧がかかる。
対してマルディは空中に浮かび、余裕の笑みを浮かべていた。
この暗黒の空間を支配しているのは自分だ――そう確信している表情だった。
「全ての【竜気】を解放し、刀に流す」
サヤは静かに目を閉じた。
一瞬、彼女の身体から【気】が完全に消える。
次の瞬間、全身から眩い竜気が溢れ出した。
「滅魔流【魔封斬閃】を凌駕する奥義をその身で味わうでござる!!」
その声とともに、大気が震えた。
竜気が風を裂き、森全体を貫くように広がっていく。
サヤは息を吸い、全ての竜気を刀へと流し込んだ。
「滅魔流奥義【魔壊空滅閃】!!!」
ズバン!!!!!
天地が裂けた。
漆黒の闇を包む球体【エクリプスピリオド】が、一瞬にして真っ二つに切り裂かれる。
黒い靄が風に散り、暗闇が光を取り戻していく。
「ば、ばかな…」
マルディの目が見開かれる。
それだけでは終わらなかった。
斬撃は彼の多重魔法障壁すら両断し、マルディ自身を縦に真っ二つにした。
「こ…この俺が…こんな小娘…に…」
ドサッ。
マルディの身体が地上に落ち、闇が霧のように消え去る。
風が吹き抜け、森に静寂が戻った。
――魔壊空滅閃。
それは滅魔流の中でも、魔そのものを斬るために生み出された究極の奥義。
超級魔法はもちろん、ウェルですら砕けなかった多重障壁を、切り裂く飛ぶ斬撃。
「滅魔流の真髄は【魔】を斬ることでござる」
サヤは静かに刀を鞘へと納める。
チン。
澄んだ金属音が闇の名残を断ち切るように響く。
「拙者はまだまだ強くなるでござる!」
その目には、闇に屈しない確かな光が宿っていた。
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