153.ウェル死す!?
第10章完結まで連続投稿します!
追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!
闇ギルド【ナハト】を討伐してから、三ヶ月の月日が流れた。
その平穏の影で、再び“闇”が静かに蠢き始めていた。
場所は帝国の北、黒雲が低く垂れこめる荒野の果て――。
古びた砦のような石造りの建物が、風に軋みながら不気味な影を落としている。
ここは闇ギルド【ダマーカミ】の本拠地だった。
「ぐへへへ! 待ち遠しいぞい」
薄暗い広間に響く下卑た笑い声。
松明が揺らめくたびに、その男の顔はまるで化け物のように照らし出される。
ギルドマスター【モンドアー】。
分厚い顎、脂ぎった額、そして嗜虐の光を帯びた目。
醜い風貌だった。
ドンッ。
奥の扉が開き、冷たい風とともに一人の少女が姿を現した。
闇の中でもその銀色の髪は月光のように輝いている。
「待たせたようだな」
現れたのは【ブラン】。
かつてナハトのNo.4として名を馳せた、竜族の忍び。
感情の読めない瞳で、モンドアーを見据えていた。
「待った待った待ちくたびれたぞい! さぁ! 早くその棺桶を開けるぞい! 入っておるのだろう? 【瞬速の猟犬】…ウェル・ベルクの死体が!!」
ブランの背後には黒い棺桶が一つ。
重厚な鎖で厳重に封印され、その表面には血のような紋章が刻まれていた。
「これで私の任務は達成ですね?」
「うむ!うむ!良いぞ良いぞ!! ウェルたちに取り入れて隙を見つけて殺すという契約! 誠に良い仕事であった! さすが【鎖ノ国】の忍びだ!」
モンドアーは手を叩きながら、唾を飛ばして笑った。
「これで我がギルドの名がとどろくぞい! あのナハトを潰した冒険者の首を取ったのだからな!!」
闇ギルドの世界には、殺し、奪い、蹂躙すること地位が上がる。
その頂点に君臨するのが――【三大闇ギルド】。
「三大闇ギルド【ノワ】の傘下に入れればワシら安泰ぞい!」
モンドアーはどうやらナハトの後釜を狙っているようだ。
「それではさっそく棺桶の中を拝見しようかぞい?」
モンドアーは楽しげに歩み寄り、棺の蓋に手をかけた。
その指は興奮のあまり震えている。
「さぁ! 美少年の健やかに眠る美しい寝顔の!! ごたいめーーん!!」
気味の悪い笑いが響いた瞬間、
重い蓋がギィィ…と開かれる。
中に横たわっていたのは、犬耳を持つ少年。
まだ十三歳ほどのあどけない顔立ち。
ウェル・ベルク。
「うひょーー!! たしかに!! ウェル・ベルクだぞい!! 良くぞ殺して持ってきてくれたぞい!」
モンドアーは顔を紅潮させ、息を荒げて叫んだ。
その様子はもはや狂気じみている。
「報酬を払ってやるのだぞい」
「…報酬はいりません…」
ブランの声は静かだった。
だがその瞳の奥には、決意が宿っている。
「むむむむむ!?!? なぜぞい!?!?」
モンドアーが首を傾げた、その瞬間――。
「………なぜなら俺は生きているからな!!」
棺の中から聞こえた声が、広間を震わせた。
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