144.聖女と剣士
第9章完結まで連続投稿します!
追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!
「キリがないですね」
ココとリーズが黒装束に包まれたナハトの雑兵たちと戦っていた。
リーズは、天使の羽で宙に舞う美しい弓矢を装備した光の精霊【ディアーナ】と、足がなく宙に浮きながら大きな盾を持つ光の防御精霊【ディルガラ】を召喚し、ココをサポートしていた。
「ほーっほっほっほっほ! 小娘2人がアタシたちに敵うわけなーーいですわーー!!!」
高々と笑う厚化粧の女性。闇ギルド【ナハト】No.20、雑兵のリーダー【バラライカ】である。
No.20は雑兵扱いとされているが、まとめ役として確固たる存在感を放っていた。
「さっさと死んじゃいなさーーい! ピチピチのお肌が気に食わないですわーー!!」
勝手な理由を押し付けるバラライカに、ココは剣を構える。
「アレにちょっと苛立ってきましたので先に潰しましょうか」
「このアタシの美しさに挑むのかしら? マルゲリータがいなければアタシが一番美しいですわーー!!」
マルゲリータとは、かつてギルドバトルに乱入した闇ギルド【ナハト】の1人、No.12の赤髪で派手な化粧をした女性である。
無数の炎の槍を作り出して攻撃する固有魔法【フレイムランス】を操り、無詠唱で最大100本もの炎の槍を出せるため、非常に厄介であった。
しかし、ヒゲと胸毛の濃い冒険者ギルド【ワイルドダディー】の1人【ムサ・クルシ】の胸毛を伸ばして操り拘束する固有魔法【モジャー】によって、無念の敗北を喫した過去がある。
「美しさは自分から誇示するものではありませんわ。そんなことでは殿方に逃げられて婚期を逃しますことよ?」
リーズの言葉がバラライカの心を貫く。
「ぐはーーーーーーー!!!!!!!!」
完全に図星で精神的大ダメージ。
結婚願望は強いが、彼氏いない歴=年齢28歳である。
「誰が行き遅れの年増女だとーー!?!?!?」
「そこまで言ってませんわ!!!」
このやり取りに感情が揺さぶられたバラライカは、やや怒りに震えた声で命令する。
「生意気な小娘どもを殺せーー!!!」
ノーナンバーズの黒装束たちが一斉にリーズに向かってダガーを投げる。
ズガガガガガガガガ!!!
「リーズ!」
全てがリーズに直撃した。しかし、
「わたくしは大丈夫ですわ!」
無傷だった。
「な、なんですの!? それは!!」
リーズの服装が変わっていた。白く光る鎧に身を包んでいる。
「精霊と融合する技法ですわ」
ウェルが扱う【魔導霊気】はギャル精霊レナと融合することで使用可能となる技だが、精霊と融合すること自体が難易度の高い技である。
絶え間ない鍛錬の末、リーズは精霊との融合に成功した。
「わたくしは光の防御精霊【ディルガラ】と融合して防御力を格段に上げましたわ。だから、この程度の攻撃なんともありませんわ!」
防御に特化した【ディルガラ】との融合により、リーズは強力な攻撃でも耐えられるようになっていた。毒の攻撃も無効化される。
「むきーーーーーー!!!」
バラライカは悔しそうに顔を歪める。
「よそ見していてくれたおかげでこちらに集中できました」
そして、今度はココの身体が黒い鎧に包まれた。
「次から次へと!! なんですのそれはーーー!?!?」
「私の一族に伝わる法術【影武装】です」
ココは帝国に猫族の街を滅ぼされた生き残りである。
当時2歳で、物心がついたときには両親の顔を知らず、子どもだけで集団行動をしていた。
そこで、1人の少年に法術を教わったが、なかなか習得できなかった。
ちなみに法術は昔、一族の神の信仰によって扱えているものとされていた名残でそう呼ばれているが、猫族特有の影を操る固有魔法である。
「私はどうやら精密に影を操るより、大雑把に使った方が向いていたようですね」
当時のことを思い返し、法術が自分の戦闘スタイルに合うように試行錯誤していた。
全身に影をまとうことで、ココは大幅にパワーアップすることに成功した。
「魔力の消費が激しいので短期で決着をつけなければなりません」
シュン!
スバ!
「がぁ! いつの間にアタシの後ろにーー?!?!」
まるで瞬間移動したかのように、バラライカの後ろに現れたココ。
「法術影武装【瞬影殺】。当時は【影移動】ができずに法術の鍛錬を諦めていたが、【影武装】によって精密に影を操れるようになったようです」
【瞬影殺】は【影移動】の上位互換。
【影移動】は自分の影に潜り込み、指定した物質の影から現れる移動法だ。
対する【瞬影殺】はその過程を省略し、影から影へノーモーションで瞬間移動する。
ドサッ!
バラライカは倒れた。しかし指揮官が倒れてもノーナンバーズは止まらない。
「一気にいくぞ! 迅剣【瞬影の太刀】!!!」
法術影武装【瞬影殺】と迅剣を組み合わせ、瞬間移動と滑らかな剣技で次々とノーナンバーズを倒すココ。
「わたくしも負けていられませんわ! ディアーナ!! ココさんを援護しますわよ!」
【ディアーナ】から光属性の弓矢が放たれる。
「【ホーリーアロー】!!!」
スガーーーーン!!!
リーズも次々とノーナンバーズを倒していく。
「ウェルくんたちは必ず勝つ!」
「だからここは絶対に通しませんわ!」
ウェルなら必ずナハトを壊滅させる――そう信じて戦うココとリーズであった。
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いっぽう、その頃。
こちらは鎖ノ国の侍【黒國 沙耶】と闇ギルド ナハトのNo.2【ウォーカー】。
サヤはウォーカーの前に倒れていた。
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