141.シン国の武道家VS鎖ノ国の忍び
第9章完結まで連続投稿します!
追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!
テンテンの目の前にいるのはくノ一。
鎖ノ国の忍びでナハトのNo.4、ブラン。
「子ども…私をそう呼んで死んだ人を何人も知っている。愚かな人族よ、竜族の忍びを甘く見ぬことだ」
「サヤとの修行中に聞いたことがあるネ! 竜族の忍者アルな!」
子どもの声なのに大人びている。鎖ノ国では強者だけが生き残る世界で、年齢は関係ない。
だがテンテンも【シン】国で似たような境遇を生き抜いてきた。
物心ついた頃から貧しい暮らしで、母も父も知らず、知るのは育ての親であるおじいちゃんだけ。
おじいちゃんは過酷な修行を通して、テンテンに【気】と【八極気功拳】を教え、独り立ちできる力を授けていた。
「鎖ノ国の忍びを知っているのか…。そういえば【竜気】をまとう者がいたな」
「おしゃべりはここまでにするネ。とっとと倒して親玉もぶっ飛ばしてやるアル!」
テンテンが構える。
「…すぐに終わらせる…か…」
しゅん
「!?」
ブランは一瞬でテンテンの背後に回り、クナイを後頭部に突き刺そうとする。
バッ!
「(このアタシが簡単に後ろを取られるなんて!)」
しかしテンテンは寸分の狂いもなくかわす。武道家としての研ぎ澄まされた感覚が、一瞬の油断も許さなかった。
後ろを取られたことを察知していたテンテンは、即座に体勢を切り替え攻撃に入る。
「八極気功拳! …!? いない!?」
すぐ後ろにいたはずのブランは、忽然と姿を消していた。
ドゴ!
「が!?」
テンテンは腹に蹴りを受けるが、間一髪で【気】をまとい衝撃を緩和していた。
ズザザザザザーー!!!
「…なかなかやるアルな」
「…【気】で防御したのか」
ブランの足技はテンテンの【気】によって受け止められたのだ。
「私の【縮地】は侍とは比にならない。速さを極めた暗殺に特化した【縮地】だ。人族風情が敵うはずもない」
しゅん
ブランは再び目の前で消えた。
「その程度の動きで私を捉えることはできない。今度こそこれで終わりだ」
ブランがクナイを構える。
「もう慣れたネ」
ズガン!
「ぐ!?」
「八極気功拳! 【鉄山靠】」
テンテンはクナイをかわし、ブランの足を引っ掛け、背中へ体当たりを叩き込む。
バッ!
倒れそうになるブランだが、華麗な身のこなしで体勢を立て直す。
「…マグレだ」
しゅん!
ブランは再びテンテンに攻撃を仕掛ける。
ドガ!
「がは!?」
ズザザザザザーー!!!
しかしテンテンは見切り、カウンターで蹴りを返す。
「…なぜだ…?」
偶然ではないと顔に出すブラン。
「お前の【気】の動きを察知して次の動きを先読みしているアル! 例え瞬間移動でも対応できるネ!」
テンテンは、かつてギルドバトルで二刀流魔法剣士【キーファ】が使った固有魔法【チェンジ】による瞬間移動戦法を応用していた。
「…器用な使い方をするな…では【竜気】の力技ならどうだ?」
ブランは手裏剣を取り出し、【竜気】を込める。
シュバ!!
「!?」
高速で飛んできた手裏剣三本をテンテンはぎりぎりでかわす。
ズガーーーン!!!!!!!!!!
手裏剣は壁に激突し、大砲のように粉々に砕け散る。
「刺さったら痛いじゃなくて粉砕するアルね…」
しゅん
「隙ができたな」
ブランはその隙を突こうとする。
「甘いネ!!」
テンテンは瞬時に回避し、二人の間で激しい体術が交錯する。
ズカン!!
「が!?」
身体能力はブランの方が上だ。
「お前は私を子どもと言ったな。だがその子どもに力も速さも劣っている。これが種族の差だ。人族が私に勝てるはずもない」
年下の竜族に押されるテンテン。
「本当に強いアルな竜族は…」
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ジェノケル王国へ向かう前、ブルガンリルム王国でテンテンはサヤの下で修行を重ねていた。
「竜族の【気】は【竜気】をまとうでござる」
【竜気】とは【気】の上位に位置する力で、テンテンやウェルが普段使う【気】とは異なる。
「聞いたことがアルね! 育てのじいちゃんは別の【気】を使っていたアルが…」
「恐らくそれは【仙気】かもしれぬ。テンテン殿からも少しばかり【仙気】を感じるでござる。もしかしてテンテン殿は人族の上位種【仙人族】でござるか?」
【シン】国には多種族が存在し、あまり知られていない上位種として【仙人族】がいる。
「アタシは物心ついた頃には両親はいなかったから、人族かどうかもわからないアル。そもそも仙人族と人族は見た目が同じだからわからないアル!」
テンテンの話をふむふむと聞くサヤ。
「ともあれ【仙気】を扱えるようになれば、更に技に磨きが増すでござる!」
こうしてテンテンはブルガンリルム王国の神殿や神殿クエスト、ナーシサス王国移動中など、合間を縫って修行を重ねていた。
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「…仙気解放!!」
テンテンから放たれた凄まじい【仙気】が、ブランを圧倒する。
「な、なんだこれは…人族…なのか…?」
ブランは先ほどとはまるで異なる力に息を呑む。
「八極気功拳 剛の型…」
テンテンは深く腰を落とし構えた。
「…どんな技であろうと【竜気】をまとった私に人族が敵うはずがない!」
しゅん
ブランが回り込もうとした瞬間、テンテンの足元に亀裂が走り、地面が割れた。
シュン!!
高速で移動中のブランを完全に捉え、テンテンは懐に飛び込む。
「【仙華崩拳】!!」
一瞬の走馬灯のように舞い散る華が幻想的に咲き乱れ、そして散る。
スドーーーン!!!!!!!!
テンテンは足から練り込んだ【仙気】を右手に集中させ、ブランの腹に向けて爆発させる。
「!?!?」
言葉を失う瞬間。ブランは壁に激突し、これまでにない破壊音が響く。
ガラガラガラ。
崩れた部屋の瓦礫が散乱し、戦場の空間が一気に広がった。
「礼を言うアル、サヤ。アタシはまだまだ強くなるアル!」
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