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134.超科学都市ラディソス

第8章完結です!

第9章は12/3からスタート!

ついに闇ギルドとクライマックス!!

追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!

 意識がゆっくりと浮上していく。

 どれくらい眠っていたのだろう。

 本当に今回は終わりかと思った。命が途切れる寸前、全てが暗転したあの瞬間の恐怖がまだ胸に残っている。


 ラプラスの悪魔、第一級使徒【ピエール】――あれは反則だった。

 あの強さ、桁外れだ。まるで人の域を超えた存在。どんな攻撃も通じず、俺たちはただ蹂躙されるだけだった。


 もし【深淵の闇魔法】が発動していなければ、全員あの場で死んでいただろう。

 それでも今こうして生きている。仲間たちも無事。奇跡だと思う。


 ……それにしても、妙に温もりがある。

 誰かが隣にいるような、そんな感触。


 誰だ? 添い寝してくれてるのか?

 エリスお嬢様? テンちゃん? リーズ? サヤ? ココさん? それとも――レナ?


 ……いや、なんか固い。

 女の子の身体ってこんなに筋肉質だっけ?


 ペタペタ。寝ぼけ眼のまま【それ】に触れた。


 なんだ、これ――?


「HAHAHA!!ウェルくんよ!目覚めたのだな!!」


「………え……?」


 目を開けた瞬間、そこにあったのは鋼鉄のような胸板。

 ……ミスター・Mの胸板だった。


 つまり、俺はいまマッチョ男のオッパイを触っていた。


「ぎゃああああああああああああぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


 天を突くような悲鳴が、部屋に響いた。

 なんで!? なんでミスター・Mが添い寝してんの!? 悪夢か!?


「HAHAHA!!恥ずかしがることはないぞウェルくん!男たるもの立派な胸筋に興味を持つことは当たり前のことだ!」


「いや!そうじゃないから!!」


 寝起きにマッチョの胸板とかトラウマレベルだ!

 こんなの夢でもお断りだ!


 ダッダッダッ!

 ガチャ!!


「どうしたアルか!?」


 テンちゃん、リーズ、サヤが俺の悲鳴に驚いて部屋へ飛び込んできた。


「HAHAHA!!心配いらぬぞ!!ウェルくんが私の鍛え上げられた胸を撫で回すように触っていただけだ!」


「いや、言い方!!!」


 やめてくれ! 変な誤解を生むから!!

 寝ぼけて触っただけで、そんなつもりじゃないのに!


 ドサッ。


「それは大変ですわ!!!」


 リーズが真っ青な顔でその場に座り込んだ。

 え、なに? なんでそんな反応?


「殿方の乳房を触ってしまったら、お二人の子どもが産まれてしまいますわ!!」


「いや、産まれないから!!!」


「なるほど。最近は男も子どもを産めるのでござるのか。時代は進んでいるでござるな」


「いや、産まれないから!!!!」


 寝起きからこのテンポのボケラッシュ。ツッコミが追いつかねぇ!


 ダッダッダッ!


「何事なのじゃ!?」


 ココさんとエリスお嬢様が遅れて登場。

 エリスお嬢様はいつものようにココさんの肩に乗っていた。


「ウェルとミスター・Mの子どもが産まれるアル!」


「テンちゃん!? 話聞いてた!?」


「……………オメデトウゴザイマス」


「エリスお嬢様!? めっちゃカタコト!? 普段と喋り方変わりすぎ!!」


「…ウェルくんがそっちを望むのでしたら【ラディソス】に行けば叶うかもしれませんよ?」


 ココさんが静かにそう言った。

 どこかの宗教の勧誘みたいに真顔で。


「いや、望んでないから!! あと、【ラディソス】って何!?」


 ツッコミのリソースが足りない!


「HAHAHA!なんの話はわからんが筋肉はマブダチの証だ!」


「ミスター・Mさん!!! もう喋らないで!!!!!」




 笑いと混乱の嵐の中、やっと話題が落ち着き、自然と【ラディソス】の話へと移っていった。




「超科学都市【ラディソス】。どこの国にも属さない都市で、今より五百から二千年先の技術を持っているそうです」


「五百から二千年先!? 近未来都市か…!」


 思わず身を乗り出す。胸が高鳴った。


「妾たちの屋敷に冷蔵庫があったじゃろ。あれはラディソスから購入したものじゃ」


 確かに、エリスお嬢様の屋敷以外で冷蔵庫なんて見たことがない。

 この世界では、氷の魔石や氷魔法で食料を保存するのが普通だ。


 しかし、冷蔵庫は雷の魔石と機械を組み合わせて冷気を生み出しているという。

 まさに魔法と科学の融合だ。


「あと、ギルドバトルの時に乗っていた【魔導車】もラディソスの発明です」


「【魔導車】……」


 それは、俺の前世で乗っていた普通車とほとんど変わらない姿だった。

 違うのは、燃料がガソリンではなく魔石だという点だけ。


「…なんか…すごいな…」


 原理は違えど、前世の世界に非常に近い。

 いずれ、落ち着いたら行ってみたい――心からそう思った。


「もしかして、ギルドバトルに使われていた【ダメージを代行する結界】もそうなの?」


「それに関しては【悪魔の頭脳】と呼ばれる天才発明家の自作だそうです」


「なにそれ!? チート!?」


 そういえば、実況の人がそんなことを言っていた気がする。


「まぁ、何にしても今はナハトとラプラスだ」


 今回の任務は闇ギルド【ナハト】の調査だった。

 だが、まさかその裏で【楽園の使徒】ラプラスと遭遇して、あんな死線をくぐるとは――誰が想像できただろう。


 そして、思い至る。


「もう一つの方の調査が、本命かもしれないってことか」


 闇ギルド【ナハト】の調査は二つの拠点を対象としていた。

 一つはジェノケル王国の【死の大森林】にある四つの神殿。

 もう一つは、砂漠の国【ナーシサス王国】。


 向こうの冒険者たちはすでにナーシサスの方を調査中らしい。

 まもなく結果が届くはずだ。



 ――その頃。



 砂漠の国【ナーシサス王国】。


「ナーシサス王!ジェノケル王国から派遣されたS級冒険者たちの姿が見えないのですが?」


「うむ。問題ない。彼らは【ピラミッド】の調査をしておる」


「そ、そうですか…失礼します」


 兵士が去ると、王の影がゆらめいた。


「……これで良いのか? ウォーカー」


 闇の中から、ナハトのNo.2――【ウォーカー】が姿を現す。


「あぁ、良いぞ。ここを嗅ぎつけるとは、なかなかやるではないか」


 闇ギルド【ナハト】の本拠地は、やはりこの国だった。


「ちなみに、この国のS級冒険者も、ここへ来たS級冒険者たちも全員始末した」


「…それは構わぬ。じゃが、どうするつもりじゃ? ジェノケル王国の冒険者が行方不明となれば、言い訳がきかんぞ! そうなったらワシとの契約はどうなる!?」


「安心するがいい。策は打ってある。いずれここへ冒険者がやってくるだろうが――問題ない」


 ウォーカーの口元が、静かに笑みを刻んだ。

 砂の向こうで、不吉な風が吹き抜けた。

「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


と思ったら


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