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131.ピエールの正体

第8章完結まで連続投稿します!

追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!

 左手と左足を切り落とされ、全身に血を流すピエール。洞窟内の光が彼の姿を照らし、血の匂いが湿った空気に混ざる。


 それでも彼は、強気な声を響かせた。


「…………………褒美をつかわそう。更なる絶望という褒美をな」


 何を企んでいるのか、俺の身体は緊張で硬直した。


「【テレポート】!」


 身体が動かないまま、魔力を振り絞り、ピエールから瞬間移動で距離を取った。

 洞窟の壁をかすめる光の残像と、跳ね返る岩の破片が視界に残る。


 だが、ピエールから感じる異質な圧は弱まっていなかった。


「【黒き修復】」


 その瞬間、切り落とされた手足が肉を膨張させながら元に戻り、深く刻まれた傷も瞬く間に塞がる。


「そ、そんな…」


 これが、ピエールの与える絶望。どれだけ攻撃しても再生するというのか。


「に、人間じゃない…」


 俺は思わず声に出した。


「ふっふっふ、その通り。俺は魔物だ」


「魔物だと!?」


 身体能力、異質な圧、それらを除けば見た目は普通の人間。しかしこの強さの理由も、これで納得できた。


「人間の姿…意思疎通できる知能がある魔物…」


 前世で読んだマンガやアニメでは、人型で知能を持つ魔物や妖怪は、決まって危険な存在だった。

 この世界にも、そんなヤバい魔物が存在していたのか。


「滅魔流【魔空巣閃】!!」


 サヤが繰り出す【飛ぶ斬撃の乱れ打ち】が、洞窟内に響く轟音と共にピエールを襲う。


 ガガガガガガガガガガガ!!!!!!


 だが【黒き槍】で全てを防がれてしまった。


「おやおや、もうお終いか?」


「拙者の滅魔流がこうも防がれるとは…」


 余裕の笑みを浮かべるピエールに、焦るサヤ。


「滅魔流…聞いたことがあるな。竜族が扱う鎖ノ(サノクニ)の剣技。確か滅魔流の真髄は【魔を斬る悪魔となれ】だったな。

つまり、俺を斬ることがその剣の悲願ということか…。あるいは魔物ではなく…」


「御託はいいでござる。拙者はただ斬るだけでござる!!」


 ピエールが言いかけた言葉を、サヤは遮った。


「時間稼ぎありがとう~!! こっちは準備オッケーよ~!」


 ピエールの頭上に光が降り注ぐ。レナの仕業だ。


「ウェルは動けなくてもアタシは余裕~!

食らいなさい!!【ホーリーキャノン】!!!」


「わたくしも加勢しますわ!【ホーリーレスフリー】!!」


 光の上位聖霊、レナとアレクディアの光の猛攻が、洞窟の奥まで反射しながらピエールに襲いかかる。


 ズガガガガガガガ!!!!!!

 ズガーーーーーーーン!!!!!!


 しかし、ピエールは微動だにせず。


「こんなものか。ウェル・ベルクの攻撃に比べればなんということもない」


 再び【黒き盾】で光を受け止める。


 グサッグサッグサッグサッグサッグサッ。


「うぅ!!」


 ピエールの【黒き槍】が、レナとアレクディアを貫き、二人は光に包まれて消え去った。


「レナーーーーーーーーーーーー!!!!!!」


「アレクディア!!!」


 俺とリーズは呼びかけたが、レナもアレクディアも光に包まれて消えていった。


「そ、そんな…レナ…!!」


 落胆に胸が押し潰される。


「迅剣【疾風の太刀】!!」


 ココさんはこの隙を狙い、真正面から突っ込む。


「愚かな…血迷ったか?」


「後ろがガラ空きネ!」


 ココさんは囮だ。本命はテンちゃん。


「八極気功拳【超発勁】!!」


 ズガーーーーーーーン!!!!!!


 今度こそ決まったかと思いきや


「な…」


 ピエールはテンちゃんの【超発勁】を素手で受け止めていた。

 ショックのあまり顔を青ざめる。


「今のは少し痛かったぞ」


 ダメージを受けたはずだが、痛がる様子はない。


 ガキーーーン!!


 さらにもう片方の手でココの剣を砕き、ズガン!!と打ち込む。


 ドガ!!


 一瞬でテンちゃんの腹にもパンチ。二人は壁に叩きつけられる。


「うぉあああああああああああぁぁぁ!!!!」

「うぉおおおおおおおおお!!!!」


 サヤと俺も残りの力を振り絞り、立ち向かう。レナの仇を討つために。


 しかし10分後。


「随分と粘ったな人間ども…。だが、ここまでのようだな」


 洞窟にはピエール以外、誰一人立っていなかった。

 エリスお嬢様も魔法を使い続け力尽きる。


「さて、誰から殺してやろうか」


 ピエールは順番を決めようとしている。


「まずい…このままじゃ…」


 危険度Sランクをはるかに超える強敵。絶体絶命。

 かつてないほどの力の差。今まで戦った魔物が赤子のように思える。


「やはりお前から殺そうウェル・ベルク。この俺に傷一つつけた褒美に仲間が苦しむ姿を見ずに殺してやる」


「く、くそ…!」


 もうダメだ。殺される。

 エリスお嬢様との約束。リーズとの約束。

 守ると決めた人たちを、何も守れないのか。


「諦めるでないわ!!! それでもお主は妾の使用人か!!」


 エリスお嬢様が叫ぶ。


「エリスお嬢様…」


 でもどうすれば。


「ほぅ…この状況でなかなか生きがいいじゃないか。特別にお前から殺してやろう」


「な、なんだと!? さっきは俺からだと…」


「魔物は気まぐれに人間を弄ぶのだ。そして、人間の絶望こそが俺のご馳走だ。そこで見ているがいい」


「ま、待て!!!」


 何でもいい。俺はどうなってもいい。

 こいつを倒す力を。エリスお嬢様を守る力を。


「妾は諦めんぞ!!」


「それが愚かだというのだ人間よ」




 グサッ




 冷たく黒い槍が、エリスお嬢様を貫いた。


「うあああああああああああぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


 また守れなかった。


 無力な自分を憎みながら、目の前の光景に絶望が走る。





 ドクン




 ドクン




 ドクン






 ラーニングによる緊急発動。


 【深淵の闇魔法】解放。

 

 【黒き盾】【黒き槍】習得。

「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


と思ったら


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面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!


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