13.リザードの大量発生
第一部完結まで連続投稿します!
追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!
俺とエリスお嬢様は、自分たちの力を試すためにウォーミングアップがてら、Cランクの仕事【リザードの群れ討伐】を受けることにした。
リザードは危険度Dで、Cランクなら20〜30体の群れだろうと予測していた。
森の湿った土の匂いが鼻をくすぐり、木々の枝葉が風でざわめく。鳥の鳴き声が微かに響く中、俺たちは森を抜けて村へと向かう。
しかし、実際の状況は異常だった。推定100体――いや、それ以上――のリザードの異常発生だ。
いくら危険度Dのリザードとはいえ、多勢に無勢。
100体もいれば危険度A級にも匹敵するだろう。
村長によれば、その数は村の高台から確認したとのことだ。
普段は数体程度なら村の男たちが退治してくれていたが、この100体は何故か村を襲わず、固まって何かをしていたという。
そして、突然姿を消したり現れたりを繰り返しているという。
なんじゃそら!?!?
ウォーミングアップのつもりが、完全にガチだ…。
「まだ子供だというのに、こんな危険なことを任せるのは…」
そういえば俺はまだ子供だったな。
中身は36歳のおっさんだからつい忘れる。まだ慣れない。
「大丈夫です! 村長さん! 俺はこう見えてもA級冒険者です!」
「そうなのじゃ! 妾たちに任せるのじゃ!」
そう、俺たちならなんとかなる。
「おおおおお!! こんなにまだ幼いというのに、なんと立派な!! ぜひお願いいたします!」
交渉はあっさり成立した。
日も傾き始め、森の影が長く伸びてきた。
「では、明日にリザード退治をするか」
さて、腹も減った…。
「村長さん、台所をお借りしてもよろしいでしょうか?」
飯でも作るか。
「なんと! 客人にそのようなことは…!」
「任せるのじゃ、村長よ! 妾のペットの料理は格別なのじゃ!」
エリスお嬢様……。初対面の人に“ペット”って呼ぶのはやめてくれ!誤解するから!
手持ちの食糧で俺は簡単なご馳走を作ることにした。
空間魔法【アイテムボックス】を取り出す。
時間が止まるこの魔法空間に、購入した食糧や途中で得た魔物の肉を収納しておいたのだ。
「さぁ! 召し上がれ!」
木製のテーブルには、香ばしい匂いを漂わせる肉料理やスープ、焼き野菜が並ぶ。
村人たちは目を丸くして、次々に口に運ぶ。
「なんと! こんなご馳走を…」
「こんなご馳走は何年ぶりだ!」
「美味しい! 美味しいよ!お母さん!」
子供たちの笑顔と笑い声が、夕暮れの柔らかい光に包まれる。
「慌てないで! 料理はまだたくさんあるから」
安定のエリスお嬢様は涼しい顔で座っている。
俺はこうして皆で食事をすることが、前世での孤独を埋めるかのように嬉しかった。
それにしても100体ものリザードか…。
どこから来たのか、そしてこの村はよく無事だったな…。
「お兄ちゃんもどうぞ!」
村の女の子が料理を手渡してくれた。
「ありがとう!」
俺は笑顔で返し、頭を優しく撫でた。
女の子はほほを赤く染め、恥ずかしそうに走っていった。
ん、どうしたんだろう?
まぁいい、俺はあの女の子も含め、この村を守らなければ!
「じとー…」
あれ?エリスお嬢様が俺に向かってジト目!?
だが悪くない!!!!!!!!
一方、その頃。
村から少し離れた洞窟。
黒いローブに全身を包み、フードで顔を隠した男が低く笑う。
「ふっふっふ…もう少し待っててね。可愛い可愛い私のリザードたち。すぐに暴れさせてあげるからね」
洞窟の奥から不気味な光が漏れ、壁に影が揺れる。
翌朝、地鳴りが森を揺るがす。
葉が震え、木の幹が振動する。
「ウェルさん! エリスさん! 大変です! リザードの大群がこちらに向かっています!」
ついに来たか…。
「皆さんはどこかへ避難してください!」
100体のリザードは骨が折れるが、倒せない数ではない。
俺は空を飛び、群れの様子を上空から確認した。
風魔法【エアウォーク】――空を滑るように飛ぶ魔法だ。
上空から見下ろした群れは…
「1000体はいるぞこれ!!!!!」
聞いていた数の10倍だ。
森の広がりにまで群れが覆い、尾が揺れるたびに木々がざわめく。
目を凝らすと、黒い影が無数に蠢いていた。
「まずは魔力消費を抑えるために剣術で数を減らすのじゃ!」
エリスお嬢様のアドバイス。
威力の高い魔法は魔力消費が激しいため、まずは剣術で数を減らす戦術だ。
土魔法【アイアンメイク】で作った剣を両手に握り、上空からリザードの群れに突っ込む。
ズドーン!!!!
勢いに驚くリザードたち。
ズババババーン!!
首、胴体、足――10体ほどが一瞬で斬り飛ばされる。
右手はココさんの剣術【迅剣】、左手はゲルドさんの剣術【剛剣】。
これが俺の新技、ラーニング二つ同時発動だ!
1000体のリザードと、二人の新人冒険者の戦いが始まった。
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