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110.闇ギルドと楽園の使徒

第6章完結まで連続投稿します!

追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!

 ブルガンリルム王国の王都、石畳の広場を臨む円卓に、各ギルドマスターと冒険者たちが集った。

 窓から差し込む午前の光は淡く、集まった者たちの緊張感で空気はピリピリと張り詰めていた。


 今回の集会の目的は、闇ギルド【ナハト】と楽園の使徒【ラプラス】に関する情報交換だ。


 まずは楽園の使徒【ラプラス】について。


「俺たちはラプラスと何度も戦って来ました」


 俺とギルドマスターのゲルドさんが中心となり、これまでの経緯を説明する。


「これまでリザードの大量発生、オークロードを中心としたオークの大量発生、ヒュドラの使役などで人々を襲おうとしていました」


 ラプラスと何度も対峙してきた経験から、俺は戦場の光景を思い返す。


「ラプラスの一人【アザートス】という者から聞きました。ラプラスは多くの人を【現実からの解放】と称して大量の人間を殺戮しています」


 説明を聞いたS級冒険者レオンが、鋭い視線で手を上げた。


「なぜ現実からの解放のために大量の人間を殺す必要があるのかい?」


 確かに、正論だ。


「そいつはこう言いました。【現実から世界の楽園である夢へと誘うために多くの魂が必要】とのこと。さらにラプラスはこの大量殺戮を【魂の救済】とか【死ぬのではなく楽園に行く】とか言ってます」


 聞いているだけで胸がむかつく。


「なるほど、かなり狂ってるね」


 レオンさんや周囲の冒険者たちが頷く。


「では私からもラプラスについて情報を提供しよう。この前のジェネラルベヒーモスを中心に大量発生した魔物騒動だが、恐らくラプラスが絡んでいる」


「え!?」


 俺は思わず声を上げた。


 初めてラプラスと戦った後、ゲルドに詳しいことを尋ねたが、答えは【知らない】だった。ギルドマスターでさえ知らないのだ。


「極秘情報だから黙っていたのだが、あるクエストの帰りに怪しい男を見かけたんだ。その男のあとをついていったら危険度Sランクの魔物に話しかけていた」


 レオンさんの説明に、冒険者たちがざわめく。


「その者に声をかけたらラプラスの一人と名乗った…そして、Sランクの魔物を私に仕向けたが問題なく討伐した」


 さすがS級冒険者。


「なぜこんなことをするのか、捕縛して情報を聞き出そうとしたのだが舌を噛み切って自害してしまった」


 やはり、簡単にはいかないらしい。


「それでSランクの魔物を使役するのに使ったと思われるのがこれだ」


 コトッ


 レオンさんは漆黒の小石を円卓に置いた。


「それは…魔石…?」


 魔石。魔力を宿した石で、杖に組み込めば魔導士の補助として使える。生活や戦闘においても重要な道具だ。


「これをSランクの魔物に埋め込んで使役したみたいなんだ。しかし、こんな魔石見たことがない」


 ラプラスは未確認の魔石を操り、魔物を支配する力を持つらしい。


「それからラプラスについて調べたのだが、ほとんど情報が得られなかった。強いて言えば2つ。その1つは所在、目的が全く不明の過激宗教団体であることだ」


 それはつまり、よくわからないということだ。


「そして、もう1つ。これは王国図書館の古い文献で見つけたが、信憑性は高くない。いや、当たってほしくないと言いたい」


 レオンさんの顔が少し青ざめる。


「何を発見したのですか?」


 嫌な予感が胸をよぎる。


「…詳しくは省くが、その古い文献にラプラスは【文明を消滅させるほどの超災害級の魔物】と記されていた」


 【文明を消滅させるほどの超災害級の魔物】――。

 想像が追いつかないが、とんでもない脅威であることは理解できた。


「しかし名前が偶然同じということもある。楽園の使徒と名乗る者たちは神を信仰している。いくら頭のイカれたカルト集団といえど、魔物を神として崇めるとはさすがに思えない」


 結局、わかったことは少なく、謎は深まるばかりだった。



 これでラプラスの議題は終了。



 次は闇ギルド【ナハト】の話だ。


「私から説明しましょう」


 ココさんが立ち上がる。


「闇ギルド【ナハト】はかなり前から貴族の令嬢を暗殺しています」


 ここにいる被害者は、エリスお嬢様、リーズ、レナの3人。

 ココさんは慎重に、この情報は伏せて話す。誰が聞いているかわからないからだ。


「暗殺の目的は貴族のカギ【アリストクラキー】を使うこと。そして、そのカギを全て開いて世界を滅亡させることが目的です」


 世界滅亡――。冒険者たちはざわめく。


「誰がアリストクラキーを持っているかわからないので、適当に貴族の令嬢を暗殺しています。なので、今日からでも貴族の令嬢の警備を強化することを要望します」


 誰も異論はなく、頷く。


「…ここからが問題です…」


 ココさんの顔が急に変わる。


「ナハトには強大な後ろ盾がいます」


 俺は初耳だった。ナハトの後ろ盾――それは一体…。


「…ナハトは三大闇ギルドの一角【ノワ】の傘下に入っています」


「な、なんだと!?」


 冒険者ギルド全員がざわめく。


 三大闇ギルドの一角【ノワ】は、暗殺と破壊に特化した恐るべき組織だ。

 過去に討伐に挑んだS級冒険者数十人も全員命を落とした。

 さらにノワのギルドマスターは、一人で国を滅ぼせるほどの力を持つという。


 そんなノワの傘下に入っているということは。


「…ナハトを討伐するとノワにこの国が滅ぼされる可能性があるということです」


 闇ギルドにもメンツがある。自分の傘下を潰されたら黙っていない。徹底的に潰そうとするだろう。


 ナハト、ラプラス。どちらも絶望的な話になってしまった。


 暗い空気が広がる中、俺は手を上げた。


「はい! 俺に良い案があります!」

「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


と思ったら


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