103.王国最強の冒険者VS闇ギルド幹部
第6章完結まで連続投稿します!
追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!
青白い魔力がほとばしる。レオンの剣が、氷の霊気を纏って唸りを上げた。
「氷剣【フリーズブレイド】!!」
冷気を纏った剣を振るい、放たれた氷の斬撃が一直線に走る。
空気が凍りつくような音が響き、地面に霜が広がっていく。
その冷気は観戦している者の肌にまで刺さるほどだった。
ピキーン!
凍結の音。
だが――ルビーだけが、まったく凍っていなかった。
「…遠距離ではラチがあかないか…」
レオンは息を整えながら、冷気の中で目を細めた。遠距離から氷漬けを狙ったが、効果はない。
魔法が無効化されたかのように、ルビーは微動だにしていない。
なぜ効かないのか、理解できないまま次の一手を考える。
「ならば…氷剣【アイシクルブレイド】!!」
空気中の水分が一瞬で凍り、剣に吸い込まれていく。刃はみるみるうちに巨大化し、青い光を放ちながら形を変えた。
氷剣【アイシクルブレイド】――
氷結の力を一点に集中させ、破壊力を極限まで高める技。
レオンがその巨大な氷の剣を振り下ろすと、
氷の斬撃が轟音とともに一直線にルビーを襲った。
だが――。
「なーにやってんだー? 当たってねーぞー?」
氷の斬撃がルビーの身体を通過した瞬間、まるで空間そのものが削られたように、氷が消滅していた。
当たった部分の氷が存在しない。いや、“当たる前に消えていた”。
「触れた魔法の無効化…? いや、脱力させているのか…」
レオンの目が鋭く光る。何かに気づいたように、氷の粒が剣先からこぼれ落ちる。
「ひゃははは!! その通りだ! 全身に魔力を覆っておけば触れた魔法も剣も人も全て脱力させるのだ! 魔法は魔力がなくなり俺に触れる瞬間消えるということだ! 地面に流した魔力は密度が低いから地面の氷は無効化できないがな!」
ルビーの声が闘技場に響き渡る。
つまり、触れた瞬間に魔力も力も消える。全ての攻撃を無力化する、究極の防御。
最初の【アブソリュート・ゼロ】がルビーに効かなかった理由も、これで説明がついた。
「…これはずいぶんと厄介な固有魔法だね」
レオンは氷の剣を構え直しながら、冷静に状況を分析した。
魔法を無効化されるなら、次の策を――
「万策つきたか? なら、こっちから行くぞ!」
それまで一歩も動かなかったルビーが、にやりと笑って地を踏みしめる。
その瞬間、重い気配が空間を圧し潰した。彼の一歩で、地面が軋む。
「くっ! 氷剣…」
「ムダだ!!」
レオンが氷の魔剣【カルト】を構えるが、その腕が止まった。
「な、剣が…動かない…!」
「あぁ…この剣の力を失わせているからな!」
ルビーが笑う。
レオンの腕から力が抜けていく。
筋肉が言うことをきかない。
まるで神経そのものを抜き取られるように、力が溶けていった。
さらにルビーはもう片方の手を伸ばし、レオンの首を掴む。
「ぐぉ…ち…力…が…」
「ひゃははは!! 触れた物全てだ! 間接的に脱力させられねぇなら直接触れれば良いだけだ!」
ルビーの手が締まるたびに、レオンの身体から魔力が霧のように抜けていく。
視界が白く染まり、耳鳴りがする。地面の感触も、遠のいていった。
「このままでは…」
魔力の、底が見えかけていた。
それでもレオンは、ルビーの目を睨み返す。
「はぁーつまんねぇな…。 この国で最強とか言われていた冒険者もこの程度か…。 やっぱこの国のレベルは低いなぁ!」
――このまま終わるのか。
「…な…なるほど…魔力や生体エネルギーを失わせることができても…寿命は無理みたいだな」
「?…それがどうした?」
氷のように冷たい瞳が、真っ直ぐにルビーを射抜く。
「…それなら…寿命を削って魔力に変換させよう…。 私ごと氷漬けになるがいい!!!」
「んなぁ! や…やめ!!」
「氷剣裏奥義【アブソリュート・カルディタス】!」
ピキピキ!!
氷が奔る音とともに、空気が一瞬で凍りつく。
レオンの身体から青白い光が爆発し、氷柱が天へと伸びる。
吹雪が渦を巻き、地面が凍結していく。
「レオンさーーん!!!」
ブレイブハートの冒険者たちの悲鳴が響く。
レオンはルビーを氷漬けにするため自らも氷に包まれていく。
そして、他の冒険者を巻き込まないよう、空高く巨大な氷柱を形成する。
カキーン!!
氷が完成した瞬間、
闘技場はまるで時間が止まったかのような静寂に包まれた。
「そ、そんな…レオンさん…」
「私たちを助けるために犠牲に…」
仲間たちは氷柱を見上げ、絶望の声を漏らした。
だが――。
ピキピキ……
バリーン!!
「あっぶなかったぜーー!」
氷柱が内側から砕け散り、破片が閃光のように飛び散る。
その中から現れたのは、ルビー。
「な、なんだと!?」
「…そんな…」
冒険者たちの顔が青ざめる。
「氷漬けになる直前に手を離して正解だったぜ! あとちょっと遅かったらヤバかった!」
ルビーの声が誇らしげに響く。
砕けた氷の中にレオンの姿が沈んでいた。
固有魔法【ウィークネス】――
それは全てを脱力させるが、“同時に二種類まで”という制限がある。
魔法を二系統抑えている間、物理は脱力できず、逆もまた然り。
そして属性が異なれば、干渉も不可能。
つまり、ルビーが地面に魔力を流して冒険者たちを弱らせていたのは、
あらかじめ制御枠を調整していたためだった。
だが――レオンが寿命を削って放った【アブソルータ・カルディタス】は、
その制限の外側にある“生の力”そのものだった。
「偶然なのか勘なのか俺の弱点をつきやがって…。 まぁ、少しは楽しめたがなぁ!」
ルビーは笑いながら氷片を蹴り飛ばす。闘技場には、もう戦える者はいなかった。
「ま、まずいアル! このままだと…!」
「なんとか…しないといけませんわ!」
リーズもテンテンも、
そして他の冒険者たちも全員、脱力して動けない。
「そんじゃ改めて一人一人このナイフで内蔵を引きずり出したり、目ん玉くり抜いたり、脳みそ取り出したりしようか!!」
ルビーの声が狂気を帯びる。
その手に握られたナイフが、陽光を鈍く反射した。
笑い声が乾いた風に溶けていく。
「た…助けてくださいまし…。 ウェルーーーーー!!!!!!」
リーズが涙混じりに叫ぶ。
その瞬間――
ズドーン!!!!!!!
天を突く衝撃音が会場を揺らした。
砂塵が巻き上がり、空気が振動する。
地面が抉れ、視界が白く霞む。
「…んなぁ? なんだ!?」
ルビーが目を細め、土煙の中を見つめた。
リーズとテンテンも同時に息を呑む。
その中に、見慣れたシルエットが立っていた。
「…ウェル!!」
彼の名を呼ぶ声が、震える。
土煙が晴れ、光が差し込む――。
ぶわぁ!!
風が吹き抜け、視界が開けた瞬間、
そこに立っていたのは確かにウェル・ベルクだった。
しかし――その姿は、どこか異様だった。
「…ウェル…? ですの…?」
普段は茶色の髪が、半分だけ黒に染まっている。
そして、両目の結膜が黒く塗り潰され、瞳からは獣のような赤い光が放たれていた。
その姿は確かにウェルだった。
だが、同時に“ウェルの形をした何か”でもあった。
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