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102.闇ギルドNo.2

第6章完結まで連続投稿します!

追放ざまぁが読めるのは10.11話と20〜30話です!


「く、くそ…なんてこった…」


 王国中から集結したギルドマスターたちが、全員で挑んだにもかかわらず、結果は惨敗。

 床に転がる彼らの武器が、虚しく冷たい光を反射している。


「まぁ、当然といえば当然なんだよね。冒険者ギルドよりも闇ギルドが強いのは世界の常識」


 闇ギルド【ナハト】のNo.2、ウォーカー。漆黒のコートを纏い、髪を指で弄びながら、冷笑を浮かべていた。


 ただ立っているだけで、周囲の温度が数度下がるような圧を放っている。


「現在、確認されている闇ギルドでも討伐が難しいものもある。それは単純に強いからだ」


 王国がかつて国家戦力を総動員しても討伐できなかった理由が、今ここで証明されようとしていた。

 過去に各国のS級冒険者を集め、闇ギルドのトップに挑んだが――結果は全滅。


「あぁ…自己紹介が遅れたね。私は【ナハト】のNo.2、ウォーカーさ」


 黒い笑みを浮かべながら、男は堂々と名乗った。

 その名が響いた瞬間、場の空気が凍りつく。


「な、No.2だと!?なんでそんなやつがこの大会にいるんだ!?」


 ルミネスゲートのギルドマスター、ゲルド・ダスティンが声を震わせた。


「ははは、理由? 大したことないよ。今、会場で暴れているルビーっていうウチのバカは殺人衝動が抑えられないヤツでね。定期的に人殺しさせてあげないと気が済まないんだよ。そんでその証拠隠滅を私がやるということさ」


 ウォーカーはまるで日常会話のように軽く言ってのけた。


「…た…たったそれだけ…たったそれだけで! ここにいる冒険者も一般人も皆殺しにするというのか!!!!」


 ゲルドが血の滲む声で怒鳴る。

 だが、ウォーカーの表情は一切揺るがない。


「あぁそうだよ? あと、ルビー以外は数合わせでね。暴れたいだけのヤツに参加させたんだ」


 ギルドバトルの参加条件は5人。

 そのためだけに命が消費される現実に、ゲルドは歯を食いしばった。


「ウチのギルドはナンバーの数字が1に近づけば近づくほど強くなる。そしてNo.5からの強さは異常だ」


 その言葉が終わると同時に、視界が切り替わる。



 ──会場。地鳴りと共に悲鳴が響き渡っていた。


「やっぱつまんねーな」


 瓦礫の中央で退屈そうに笑うルビー。

 彼の足元には、すでに挑んだ冒険者たちが何十人も倒れていた。


「…な…なんですの…?」

「…か…身体に…力が…入らないアル…」


 リーズ、リンも同様に地に伏していた。

 まるで糸を切られた人形のように、微動だにしない。


「どいつもこいつも張合いがねぇーなー!ひゃははは!!」


 笑うルビーの目は、快楽と狂気に染まっていた。


「くっそ!! いったいなんなんだ!!」

「やつの魔法だろうが仕掛けがわからない!」


 冒険者たちは次々と崩れ落ちる。

 わかっているのはただ二つ。


 【ルビーに挑んだら力が抜けて倒れる】

 【どんなに人数を増やしても通じない】


 それだけだ。


「さぁ、じっくりいたぶって楽しもうとするか」


 ルビーはナイフを取り出し、切っ先で光を遊ばせた。


「氷剣奥義【アブソリュート・ゼロ】」


 次の瞬間、会場全体が凍りついた。

 足元から広がる冷気が空気を震わせ、白い霜が壁を這う。

 音も光も、全てが凍結する。


「な、なんだなんだ!?」


 ルビーが戸惑いの声を上げる中、氷煙の中から一人の男が現れた。


「待たせたね。みんな」


 氷剣の貴公子――ブルガンリルム王国元最強の冒険者、レオン・スティーブ。

 彼の登場に、倒れていた冒険者たちの瞳に再び光が宿る。


「レオンさん!!!」

「気をつけてください!! やつの魔法は未知数だ!!」


 キーファの叫びに、レオンは微笑で応えた。


「大丈夫。安心して。回復と分析に時間がかかったが、もうこの魔法は私には効かない」


 氷の靄を踏みしめ、レオンはルビーの前に立つ。

 その身体には一切の異常が見られない。


「君は自分の魔力を地面に流して、その領域に入った者たちの力を奪うものだろう? 私がその地面を氷で覆ったから無効化されたはずだ」


「ほほう、よく分析してきたな。俺の固有魔法【ウィークネス】の応用だ。地面に魔力を流して俺のテリトリーを作り、俺に【殺気】を向けたものを全員脱力させるのだ」


 ルビーの声には、ほんのわずかな興奮が混じっていた。

 相手がただの冒険者ではないと悟ったからだ。


 【ウィークネス】――対象の力を奪う固有魔法。

 無機物を媒介とすることで、広範囲に効果を拡大することが可能。

 解除には回復アイテムか、時間経過による自然回復しかない。


「それにしても俺も凍らせればそれでおしまいなのになぜしなかった?」


 ルビーが挑発的に笑う。

 氷の剣を握るレオンは静かに答えない。

 沈黙が逆に緊張を増す。


「わかるぜ? 俺も凍らせようとしたんだろ? だができなかった!! さぁ、なんでかなぁ!?!?」


 ルビーの叫びが響く。

 氷の粒が空中で舞い、二人の間の空気が震える。


「そして、もうこの大技を使うほど魔力が残ってないんだろ?」


「……全てお見通しというわけか…」


 ウェルとの戦いで消耗した魔力は、回復薬で補ってもまだ完全ではなかった。

 それでも、退く理由にはならない。

 【アブソリュート・ゼロ】は数度しか使えぬ究極の技――それを承知の上で、レオンは前に出る。


「俺のタネがわかったからといって俺を倒せると思うなよ? ちょうどホネのあるやつがほしいと思っていたんだ。見せてやるぜ? 闇ギルド【ナハト】No.5の力を!」


 実力者同志の魔力が激突する。

 空気が裂け、地面がうねる。

 音のない衝撃が会場を揺らした。


 ブルガンリルム王国最強の冒険者が勝つのか。

 それとも、闇ギルド【ナハト】No.5――ルビーが勝つのか。


 運命の刃が、今、交わろうとしていた。

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