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異世界稼業  作者: 海星
2/13

異世界剣術①

 人間は北へ北へとただ逃げるしかなかった。

 群馬も一時期、避難してきた人々で賑わった事もあった。

 しかしそれも一瞬だ。

 避難してきた人々、そして元々群馬に住んでいた人々・・・。

 みんなまとめて東北地方に避難する事になった。

 群馬はゴーストタウンになった。


 だけど何故か僕は群馬にとどまった。

 何故か?

 父さんが群馬で働いていたからだ。

 母さんも最近亡くなったが群馬で働いていた。

 僕は『中島(なかじま) (あきら)

 十一歳だ。

 平均以上に『読み書きそろばん』は出来る。

 両親は研究者なんで地頭は悪くないのかも知れない。

 何の研究をしているのかは知らない。

 わからないが「緊急性のある研究」という事は間違いない。

 何しろ異星人が侵略してきているのに群馬にとどまって研究を続けているのだから。


 このご時世だ、学校に通えてはいない。

 父さんが何を考えてここにとどまっているのかわからない。

 聞いても教えてくれるとは思えない。

 僕が知らないと言う事は「家族にも教えちゃいけない」という事で秘匿性が高いという事だろう。

 僕は勝手に「両親は異星人を倒す方法を研究しているんだ」と決めつけていた。


 僕は国営の『家族寮』に住んでいた。

 多くの人が避難する中で、『家族寮』に住み続ける人もいた。

 それが僕の幼馴染み『磯山 優雅』とその家族だった。

 『磯山 優雅』の母親『磯山 優子』で僕の母さんとは大学の同級生で、親友だったらしい。

 『磯山 優子』の亭主も研究者だったが、もう他界しているらしい。

 『磯山 優子』と母さんは同じ公務員だが同じ研究をやった事は無いどころか、同じ研究所で働いた事もなかったらしい。

 お互いの親が何をやっているのか子供だった僕には興味がなかった。

 優雅ちゃんと僕とは同年代の友達だ。


 「あまり家族寮から離れちゃダメだよ」互いの親は厳しく言っていた。

 家族寮はシェルターのようになっており、異星人の侵入を阻む仕掛けがいくつかあったのだ。

 だが「ダメ」と言われるとしたくなるのが子供という物だ。

 その日も僕は優雅ちゃんを連れゴーストタウンと化した群馬の街を探検するのだった。


 異星人の侵略ペースは遅い。

 異星人の攻撃性は低い。

 今のところ異星人は地球では繁殖していない。

 それどころか異星人の食事風景は今のところ確認されていない。

 異星人の喜怒哀楽の感情は今のところあるのかないのかわからない。

 異星人は時々、我々が壁にとまっている蚊やゴキブリを叩くように、目についた人間を攻撃する。

 それも「時々」だ。

 人間がいる事を把握しているはずなのに、全くノーリアクションな事も少なくない。

 なので僕は異星人の危険性を甘く考えていた。

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