表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小言な勇者と魔法使い  作者: 地蔵
エルフ救出編
21/34

正しさとは。

一体、何が正しいのでしょうか。

 「ポイフ将軍」

 砦の図面を広げ、指示を出しているポイフに部下から声がかかる。

 「知ってるよ」

 ポイフはキセルで煙をふかす。腰に手を当て後ろに反らす。痛てて、と声を漏らす。

 「とりあえず、ティムとタムだけ残して他は帰還させろぉ」

 「あんまり動揺してないみたいやな」

 勇者の声にポイフがゆっくり振り返る。勇者は加えていた巻きたばこをポイフに勧める。ポイフは眉を少し上げるとそれを手に取り、ゆっくり味わう。背筋を伸ばして立っている兵士を手で追い払う。兵士は一礼し、その場から駆けていく。

 「馬鹿言え。これでも胸中穏やかじゃないんだぜ?」

 「戦況、悪そうやしな」

 勇者はポイフから煙草を受け取る。手慣れた手つきで口まで運ぶ。2人はいまだ土煙と怒号が聞こえる戦場の方へ目線を移す。

 「とりあえず小休憩だな。向こうもそこまで戦馬鹿じゃないと見た」

 「交渉としての戦をしてきよるな」

 「お、さすがだねぇ。分かってるねぇ。話が早いねぇ」

 ポイフは勇者の顔を見ながら顔を綻ばせる。

 「僕はもうちょっと後に出る方が良さそうやな…」

 「その方が助かる。あんたは優しいから。気持ちは分かるが、これは商売だ。食うか食われるかじゃない。流れを掴めばそれでいい」

 勇者はポイフの顔をちらりと見る。根元まで吸い切った煙草を靴の裏に圧し潰し、地面に投げつける。ポイフは「ごちそうさん」と勇者の顔をみずに言う。勇者はそれに返答することなくその場を後にする。ポイフはまた図面に目を向ける。砦は骨組みが出来上がろうとしている。


 「ビスケト…。くそ!!私が出陣していれば…!!」

 城内で水晶を通して戦況を見ていたカトレアがテーブルに拳を打ち付ける。ウエハも何も言わないが、表情は険しい。魔法使いは紅茶の入ったカップを傾ける。

 「とりあえず、一旦休憩になるかのぉ」

 「休憩?どういうことだ?」

 「このまま向こうが攻め立ててくると思とるんけ?」

 「違うのか?」

 「宮殿守護者統括が聞いて呆れるワ」

 カトレアは不服そうな顔をする。

 「戦なんてものは今や交渉の延長や。いたずらに戦うだけとちゃいまっせ」

 「ランジェット軍が一気に攻めずに、ゴブリンから出撃させたのはそういう理由?」

 ウエハが疑問をぶつける。魔法使いは頷く。

 「敵の戦力の把握、砦の建設の速度、軍を指揮する者の器、効果的な攻撃、まぁ色々あるけど、そういうのをあの2回の戦いで判断しとるはずや。もちろんあのハゲジジィもな」

 「まるで商売のようだな…」

 「その通りや。戦は商売や。いかに損せず勝つか。ビスケトの坊ちゃんはええ仕事しよった。あの得体も知れん魔物に何もさせへんかったんはデカい」

 「何もさせなかったって…。兵士が沢山殺されたのよ!?」

 「ウエハ!」

 「分かり切っとることで感情揺らすなアホンダラ。誰かが犠牲になるのは当然や。そんなもん覚悟の上やろがい。そこにイチイチ口出して、ええ子なフリして姦しいに言うたら言うだけ、死者への冒涜じゃい。しばくぞお前」

 「…」

 「魔法使い殿、あなたは何故そこまで冷静でいられるのだ…?」

 「そういう見方しかできへんからお前らは戦場に出られへんねん。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ