Sランク冒険者パーティから追放された俺の隣に何故か幼馴染のパーティリーダーがいる
何も考えないで書いたので、頭を空っぽにして読んで貰えると嬉しいです。
「クライブ、お前は俺たちのパーティに相応しくない。お前を追放する!!」
そう俺に言ったのは、剣聖のカミュだった。
これはよくあるパーティ追放の一幕だった。
俺の所属するパーティはシースクリプトと呼ばれる、この冒険者の街カッカラでは知らない人はいないパーティである。
俺たちのパーティは、旅芸人である俺、剣聖カミュ、大魔導士イシュカ、性女ミクル、性帝アイク、そしてパーティリーダーである村人エーの5人パーティである。
そのパーティメンバーで夕飯を食べている時にいきなりカミュが俺を追放しようとしてきたのだ。
そもそもこのパーティはエーが作り上げたものだ。
15歳になったエーが何を思い立ったか、いきなり
「クライブ、ラーメンを食べに行こう。」
とか言い出しカッカラに来て、更には、
「ラーメンを食べるにはお金を稼ぐ必要がある。」
とかそんなことを言い、カッカラにある世界樹の迷宮に挑戦することになった。
それで集めたパーティが今のメンバーだ。
剣聖であるカミュが最前線で戦い、イシュカが魔法でそれを援護する。
戦いで傷付いたものがいればミクルが下半身を使って気持ちを回復してくれたし、性帝アイクは体を使って万年金欠で喘いでいた俺達のパーティで金稼ぎをしてくれた。
俺も旅芸人として味方のバフをかけ、カミュを抜いて後衛に襲い掛かってきた味方を助けていたはずだ。
俺達に連携は完璧だったはずだ。
それなのに何で……。
「カミュ、お前は俺が役立たずだから必要ないって言いたいのか!!」
周りの目を気にせずに俺は思わずカミュに詰め寄る。
「そうだ。このパーティにお前は必要ない。」
「他の皆も同じことを思っているのか?」
俺は皆を見渡しながらそう尋ねた。
しかし、イシュカは
「だって、パーティにいらない人いると報酬減るじゃない?」
などと言う。
「クライブさんはちょっと短小で気持ちよくないんです。」
そんなことを言ったのはミクルだ。
「その通りだ。クライブ、君はもっと大きな男になる必要がある。」
ミクルの意見に同意するアイク。
「お腹すいたし、ご飯食べよう。麺伸びちゃうし。」
エーはそう言って目の前のラーメンを食べ始めた。
クソ、誰もカミュの意見を否定しないのかよ!!
「わかった。なら、こんなパーティ出て行ってやるよ!!」
俺は酒場から飛び出した。
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気が付いたら宿屋にいて朝になっていた。
あの後のことはよく覚えていないが、どうにかして宿屋には帰ってきていたんだろう。
ベッドから起き上がると隣にエーがいた。
――えっ、なんで?
俺もしかして部屋の鍵かけないで寝てた?
布団をめくるとエーは裸だったし、俺も服を着ていなかった。
エーは端的に言えば美少女だった。
性格はマイペースで食に煩かったが、月の光のように透き通った腰まで伸びた銀髪はすれ違う人が思わず振り返る程であったし、出るところは出ず出なくていいところはイカ腹という幼児体形は一部の人たちに大人気であった。
幼馴染の贔屓目を差し引いてもこのカッカラの街で一番の美少女だといえるだろう。
そんな少女が何故俺の隣にいるのか?
取り敢えず、エーを起こしてみる。
「ん、おはようクライブ。」
エーは目を擦りながら体を起こす。
裸であることは一切気にしていなかった。
「なんでお前は俺の部屋にいて、俺の布団に一緒に居るんだ?」
「クライブ、昨日は激しかった。」
答えになっていないものが返ってきた。
俺は本当に昨日何をしてしまったんだ……。
「クライブ、安心して。」
「何がだよ?」
「昨日は危険日だった。わたしのお腹にはクライブとわたしの子供がいるはず。」
全然、安心できない。
本当に何を言っているんだ、こいつは?
「取り敢えず、お前がこの部屋に来るまでの経緯を教えてくれ?」
俺は溜息をつきながら尋ねる。
「カミュがクライブをパーティから追放した後、ご飯を食べて、わたしはギルドに行ってパーティを解散した。」
んっ?
「それからクライブが悲しそうだったから、クライブに会いに来たら布団で寝ていた。だから、これはチャンスと思って、クライブと子作りすることにした。それで疲れて寝てたみたい。」
エーは淡々と語ったが完全に意味が分からない。
「色々と聞きたいことがあるんだが、お前の行動が突飛すぎて全く理解できん。そもそも、パーティ解散してよかったのか?」
「ラーメンを食べるために作ったのに、最近は迷宮に潜ってる時間の方が長いから飽きてきてた。」
迷宮からとれる古代遺物や金銀財宝を求めている他のパーティに聞かせてやりたい御言葉だ。
「それにクライブがいないパーティに意味はない。」
エーはそんな嬉しいことを言ってくれた。
「それで部屋にはどうやって?」
「宿の女将さんに恋人ですって言ったら、普通に入れてくれた。」
宿の安全性に問題があったようだ。
「それでクライブはこれからどうするの?」
エーは俺にそう尋ねてくる。
「何も考えてない。お前はどうするんだよ?」
「わたしはクライブと一緒に居るよ。でもカッカラも飽きてきたから村に帰ろう?」
エーは俺と生まれ故郷に帰ろうとしてくれている様だ。
「そうだな。両親も心配しているだろうし、俺も責任取らないといけないしな。」
よし、故郷に帰ろう。
そもそも、ラーメンを食べるために出かけたのに2年近く村を空けていること自体がおかしいのだ。
それにエーの言うことが本当かどうかは分からんが、エーのお腹に俺の子がいるっていうんなら無茶は出来ないだろう。
故郷に帰れば、面倒を見てくれる人もいる。
「それじゃあ、荷造りして村に帰るぞ。」
俺がそう言うと、
エーは嬉しそうに
「わかった。」
そう言った。
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俺達は村に帰るとめちゃめちゃ怒られた。
当り前である。
2年も何も言わずに行方不明だったのだ。
そしてエーの父親から思いっ切り殴られた。
その後、二人の家を作り一緒に暮らしている。
カッカラの街では色々あったが、あれもいい経験だったのだろう。
今では良い思い出である。
エーは今でも俺と一緒に居る。
そろそろ家族も増えることだし、これからも頑張らないとな。
ちなみにエーに当時のことを聞くと、
「クライブは短小じゃない。むしろ、おっきくて裂けるかと思った。」
とかいうどうでも良いことを言ってくれた。
男としては嬉しいが、そういうことを聞きたいのではない。
「クライブは今幸せ?」
「当り前だろ。」
主人公達からしたらどうでも良いことなので描写はありませんが、他のパーティメンバーは解散後、違うパーティに入りました。
なお、エーはパーティの迷宮探索中は村人のスキルを使ってカッカラの街の入り口で「ここはカッカラ。冒険者の街だよ。」と新しく街を訪れた人たちに街の紹介をして小銭を稼いでいました。