猫さん聞いてください
あれからフィーさんに案内で隣の部屋の御手洗いを貸して頂きました。間に合って良かった。ほろほろ
さてさて、御手洗いの内装をご紹介しましょう。
チャラ~ララララ~ララララ~♪
品の良い扉を開いた先には25平米(15畳)ほどの無駄に広い部屋。3つドアがありそのひとつのドアで続くのは5畳程の広々としたトイレ空間。剥き出しのトイレ事態は豪華な衝立により隠されているが、私には一畳ほどのトイレで十分な為そわそわする。トイレは洋式で日本のものと然程変化はない。素材は違うようで真珠や宝石のように輝いているが、臭いもなくとても清潔である。 紙に関しては、とっても肌に優しい肌触りの紙がティッシュのように取り付けられている。
手洗いの水が流れ排水溝に流れていく様を見ながら考える。最重要課題のトイレ問題が解決したは良い。本当に良かったの……だが、途端に今の状況へ困惑し、膝を抱え蹲る。
「……ここはどこなんだろう。……どうして、これからどうすれば……」
何が起きたか、今日の行動を振り返る。
「帰ってきてからお風呂入ってご飯、トイレ……」
いくら考えてもわからない。分かることは、ここが全く知らない場所であり、服装とか剣とか超能力とか、でも、そんなファンタジーな事はあり得るだろうか。ないでしょ。ドッキリ? いやいや。それにこんな部屋も確実に我が家ではない。まったくの別の場所……。わからん
『んにゃー』
ふと、部屋に入って衝立の外側にある窓から外を眺めていた猫さんの控えめな声が聞こえ顔をあげる。すると、植木ばちの影から猫さんがお耳ピーンお目々パチリと覗いていた。パチリと目が合うと首を傾げる姿が可愛くて、こんな状況でも癒される。
「猫さん。えと、フィーさんだよね、おいでー」
少し前に出てゆっくりしゃがみ驚かせないように待つと、ゆっくりと近寄り少し悩んだ素振りをみせ差し出した指先に鼻をつける。そして、すり寄ってくるフィーさんの耳の後ろを優しく撫でる。
「……あのね、私何でここにいるのかわからないの。ここが何処とかもわからないし。家にいたはずなのに気づいたらここで……」
もっと撫でろと言わんばかりに手の下に体を押し付けてくるフィーさんにメロメロになり畏まりましたと耳のうしろをカリカリ掻くと気持ち良さそうに目を細める姿が堪らない。
「これからどうしたらいいのかな。……逃げる?……いや、でもお金も何も持ってないし、それに何か日本とも違う雰囲気だよね……」
違うところとして、どうやってここに来たのか。一瞬暗くなったと思ったけど本当は違ったとか? 誘拐された? いやいやいや。
とりあえず、部屋着だしスマホも無くて家の戸締まりはしてあるし大丈夫だとして、食べ物は仕方ないか。さて何をどうしよう。
「とりあえず、くよくよしてるだけ無駄だよね! ポジティブシンキング!」
「お~よしよし、フィーさんはかわいいね~! 女の子かな?ちょっとごめんね」
ひょいっと持ち上げて特徴を拝見させて頂きます。ごめんね!
びっくり顔の猫さんは、またまたお目々まんまるで脚がぴーん!
「あら、フィーさん男の子かあ。確かにイケメンさんだね」
いつまでも抱っこは可哀想なので降ろす。急いで逃げるかと思いきや足元で丸まってしまう。眠いのかな?
暫くしたのち唐突に立ち上がったフィーさんは壁の何もないところをじっと見つめはじめた。え、幽霊でも見えてる?と一瞬びびったが、よく見たら耳を少し動かし鼻をぴくぴく。
『……』
「……?」
『にゃっ』
「うぉ?!なに?」
突然、短く鳴き私を見る。するとしゃがんでいる私の服の裾をくわえ引っ張リ、すぐ離して歩きだす
「着いてこいってこと?」
ご主人様の所に戻りたいのかな?まあ、トイレに行かせてもらっただけだもんね。戻らなきゃ。
フィーさんは振り返ったまま様子を伺っている様子。気持ちを切り替えても、やっぱりこの後の事を考えると自分がどうなってしまうのか。
手足が冷えて、頭からサーッと血が落ちていく感覚。だけど、いつまでも戻らないのも怪しいし、こうしてても何も良いことはない。優月、大丈夫大丈夫、心配ない。……よしっ!!!パンッ!
自分の頬に気合いをいれフィーさんのもとへ歩き出す。
「お待たせ!行こうか」
やっと2ページ目。
結構変えてしまいました__重ね重ねすみません。