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神々の愛し子  作者: chima
現れた異世界の扉
2/32

何でもいいからトイレ貸してください。

初作品です。自己満作品で何かと至らない点も多いかと思いますが、お手柔らかにお願いいたします。のんびり進んでいきます。


段取り悪くて申し訳ありません。修正ちょくちょく挟んでいきます。


ヅドンと胸に走る衝撃が過ぎ去り息をついたのちのこと。


『……動くな!!』

「……‼」


中腰姿勢に目や口をぱっくりと開き胸を押え呆然とする姿は何と不審で間抜けな姿だろう。しかし、この状況なら無理もないだろう。



そう。非現実的な状況に立ち会えば誰もが間抜けになると思う。突きつけられた銀色の鋭く尖った刃物、包丁とは異なる刃物。まあ、日本で包丁向けられることも非現実的だろうが……。


ずばり、これは剣である。ドラマや映画でみるやつ。


どうしたものか。この非常時にトイレに行きたくなるとは自分でも驚く。じ一度いきたいと思えばあっという間に限界に近づく。



宮原みやはら 優月るな(15)


3月生まれ。高校1年生。身長147㎝ 腰まである黒髪にゆるく天然のウェーブがかかっている。少したれ目な控えめ二重。背と鼻が低いこと。小動物的な雰囲気をもつが…。趣味は土いじりから繋がるもの。最近はDIYに興味をもつ。両親が1歳頃に事故で亡くなった為、母方の祖母と暮らすことになる。しかし、3歳の頃に亡くなってしまう。



残されたのは、両親の遺してくれた遺言と保険金、慰謝料などがそのまま私の手元へ。祖母からも家や土地、そして維持できる程の資金が私へと譲られた。祖母の昔からの知り合いの税理士と弁護士の方が後ろ楯となり、あらゆる手続きから何までやってくれた。


祖母亡き後、父の兄である伯父家族が私を面倒見ると名乗り出たことで一緒に暮らす事になった。



夫婦には私の2つ上の男女の双子がいた。よくある話、私はこの家族とうまくいかなかった。そもそも、伯父夫妻とは交流も無かったようで実質私とは初対面だった。お金の価値もわからない3歳児へと多額のお金が流れた事を知りやってきたのだった。


父の会社を伯父が引き継いだが、亡くなって三年。その時間で無茶な事業を無理矢理進めた為か、早々に金銭に不安を感じはじめたよう。伯母は単純に自分の子供に英才教育を施したかったそう。


残念ながら、私に金銭管理ができるはずもなく祖母が亡くなる前から専門家に依頼していたため満足には流れなかった。旨味がまったくなかったと、私はめでたく厄介者でしかなかった。とはいえ、私の生活費やその後の学費などは貯金から支払われた。まったく迷惑をかけていないとはっきり主張できる。


後から聞いた話、私の養育費が全然足りていないと必要以上に税理士や弁護士に伯母は訴えていたらしい。何かと理由をつけてかなり持っていかれてしまっていたらしい。どんな人物であれ正式に保護者ということで仕方ないとしか言えなかった。中学に上がる前には私が理解できると判断され、弁護士の方から金銭のことを聞かされた。必要以上にお金が伯母たちにまわらないようにしてもらった。前から扱いは酷かったが、自分たちに落ちる金がないと知ったらあっさりと追い出された。そんなこんなで、中学に上がる前にひとり暮らしをはじめたのだ。名義上は、伯母が面倒を見ている事になっている。



あくまで外面は気にしているので、伯母友人からは“自分の子供でもない子を育てるなんて愛情深い人”と評判だった。とんだ仮面女である。




と、まあざっくりと主人公紹介が終わったところで話を戻しましょう。




⏩・・・・・・・ ▶️



PM4:55 “ガチャ……ドサッ”


「ただいまぁ~。」



何の変哲もない普段の日常。両親と祖母が残してくれたお金で高校に通い、帰り道に特売品を求めスーパーへ駆込み安い肉や調味料を買いだめする。他も必要なものを購入。帰宅してからは買ったものをしまうと急いで土いじり用の服に着替える。



「急がなきゃ。」


神無月も終盤に差し掛かるころ


この時期は、日が落ちるのも早くライト付きの帽子を被る。広い庭の先には体育館ほどの広さの畑がある。敷地面積が馬鹿デカイので手入れは休日返上で行うほど。秋の味覚は豊富だから山にも畑にも手が足りないほど。好きと若さでどうにかなっているのだ。



「ほうれん草と長葱と大根。買ってきた鳥もも肉」



さてなに作ろうかと蒟蒻と鶏肉を冷蔵庫へしまいながら呟く。


シャワーをして部屋着に着替えた所で現在PM6:00。



外は、もう闇夜となっているので急いで戸締まりを確認し、ようやく調理に取りかかる。




とはいえ、ひとりなので串に刺さないねぎま、ほうれん草の味噌汁、トマトをサラダ代わりに切る、手作りのぬかづけ。解凍した白米。以上!



大根はぬかに漬けておく。


「疲れた~。トイレトイレ~。」

行儀悪いけどトイレ!っと勢いよく駆け込む。


「ぅっ、、!?」


正確には入る瞬間のこと。



漏れる漏れるとドアを開けた瞬間に胸にズドンと痛みと衝撃が襲った。同時に視界が暗く遠退いた。それはほんの一瞬で収まった。そして、どこか感じたことの無いような……いや……どこか懐かしいような空気なのか感覚なのか不思議な感触を感じた。


まるで空気の薫りや味がパッと変わった。


問題はここから。瞬時に変化を察知することはできたはず。だが、日本で感じたことの無いような殺気も同時に察知した。安全な世界にいた者が冷静になれるわけもない。


まるでホラー映画の何かを感じ背後を振り向く時の気分。基本、そんなときは幽霊登場とくるんだよな…………


そんな事を考えていると『動くな!』と、そんな感じです。


・・・・・・・・▶



はい。冒頭まで戻ってきました。



米神に突きつけられた剣先に黒目は中央によってるだろうなあ、なんてこの非現実的な状況で考える私は夢でもみているのだろうか。現実逃避し続けたいところではあるが、尿意がそれを許してくれない。



顔だけは冷静な私は、表情とは裏腹に脳内はあらゆる感情が入り交じり言葉にならない声をだすしかできなかった。

『"=&^-+*+*#"?!』



「……ほえっ!!!」



そんな私をよそに、小さく聞き取れない程の声で男が何かを呟くと私の身体が強制的に整えられ正面を向かされる。




もちろん、剣は首もとになったがつきつけられたままだが、自分の意思ではない身体の動きに困惑する。宇宙人と遭遇した並の恐怖である。


であったはずなのだが、気になったのは彼の姿から美声、触り心地が良さそうな腰まで流れる艶やかな黒髪。整った形の良い眉と、きれいな二重の程よく切れ長の眼に紫色の瞳、控え目だが目尻にあるほくろ。まっすぐ通った鼻筋。薄い唇。ぽっこりでてる喉仏の色気と全てのパーツがバランスよく理想的に配置されている。


ただね、眉間のシワ半端ないです。冷たい眼差しも凍えそうです。たぶん、このふたつが改善されれば中性的な美しさだと思うのです。あー、でも男性的なセクシーさかもしれない。……女装したら美しいタイプだと思います。


もうひとつ。とても気になる所が背丈。ものっすごく高い。2mは軽くあるはず。スタイル良すぎる




17年生きてきてここまで整った顔の男性に出会ったことはない。色気駄々もれ。服装は、中華風ですね。中華風ファンタジーで王様が着てるあれ。ごちそうさまです!


極めつけが耳障りの良いテノールの声。この顔と声にうっとりときめかない女性はいないと思う。


ときめいてはいます。でも、残念なお知らせ。……もうね、漏れそうなのです。尿意の波が……。



『幼子がひとりでなにをしておる。名を名乗れ。どうやって潜り込んだ。』



『その』

はーい。突っ込みどころ満載でした。ちびですが幼子ではありませんし、そもそも幼児相手に威圧的過ぎないだろうか。


……トイレ行こうとしただけなのに……。少し拗ね気味になってきた、だけどあからさまにはしませんよ! 大人ですもん!ぷーん。(大人ではないです)


「あのですね!!私はトイレに行こうとしていただけ…………で、ででででも、それより、あ、あの、(むりだ!こえー!眼力こえー!ちびりそう。は!トイレ!!!) 『はっきり答えよ! 』ひっ、」



(うわっ、びびったぁ。チビる、まじ漏れる!もおーーー!本気で泣くよ)


『……ぁー、刺客ではなさそうだな……』


「ととととと、とりあえず!とりあえずトイレを貸してくださいーー!漏れちゃうぅ! 」



『……は……?』


バタバタバタバタ

『『『失礼いたします!!!』』』


『『『殿下お怪我は!!』』』



叫び声が外にまで響いていたのか、複数の足音が足早に近づいてくる。そして、入って来るなり顔険しく私に剣を向ける。


こわい事は確かだ。でも、17歳の乙女に粗相などという不名誉は何を差し置いても戴けない。でも、こんな複数の以上に背が高い男、男前だが剣を向けられたらこわい! だーけーどー、この嫌味な程に整った顔の男達の前で粗相もしたくない……。え?え?支離滅裂じゃね?



パニックに視界がじんわりと滲みはじめ、泣くな自分! と言い聞かせるが涙腺が決壊するのも時間の問題。



「ぅぅ~、ずびっ、ぅぅ"~」


目の前の美形を睨み付けるように唸ってみる。トイレをかえせ~。


『…フゥ』



『大丈夫だ。納めよ』


『『『はっ』』』


『それにしても、その身成はなんだ。随分と変わっているな……。』


溜息ひとつ脱力ぎみに周囲に剣を納めるよう指示を出してくれた。先程までとはうってかわり若干微笑む顔は見ていてドキドキして、思わず頬が赤くなる。空気が和らぎほっとした。だけど、尿意が尿意が。



(いっそのこと子どものふりして粗相してしまおうか……なんてね、ははは)


もこもこルームウェア(ミニワンピにショートパンツとニーハイソックス)のスカート裾を握りしめ、目に涙を溜めてもじもじとする姿は、まさしくトイレを我慢している子ども。



先程まで殺気だっていた騎士たちも子どもの見るような目でみてくる。


「……もれちゃう……ぐすん」





『フィー』


美形さんが呼びかけると品の良い黒猫がいつの間にか足元にいて私を見上げひと鳴きする。



『にゃっ』



『その者を御手洗(みたらい)まで』


『みゃー』

何時から居たのか。


驚いていると、着いてこいとでも言うのか時々振り返りながら歩いていく。急いで私も追いかけようと、一度頭を下げて扉へ向かう。






3/3 22:50編集しました

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