鏡の中へ
全部あんたのせいだ
こんな気持ちを知ったのも、
あいつが死んだのも
みんなあんたのせいだ
そうだ。
みんな、あんたが悪いんだ。
あんたさえいなければ、
こんな事にはならなかった。
あいつは死ななかった。
そうだ。
あんたさえ消えれば
あんたさえいなくなれば
あいつは
戻ってきてくれるかもしれない。
そうだ。
あんたを殺そう。
腕を伸ばし、照準を合わせ、引き金を引く。
ひび割れる、音がした。
視界に円上に亀裂が入った。
錆臭い、錆色の線ができた。
目の前のあいつが、後ろ向きに倒れていく。
音がした。
後頭部に、背に、足に、腕に、衝撃が伝わった。
倒れたのだ。
あいつが──鏡の向こうの、あいつが。
これで、あいつは、戻ってきて、くれるだろうか──……‥‥‥