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出発の出来事
優には先にいってもらい廃電波塔の管理棟で身支度を簡単に整えてから、登校することになった。
なんだか、一緒に登校したがっていたがさすがにたった二か月で住処がばれるとしたいこともできなくなる。危険だしな。
コツコツと古い非常階段を使い一階の裏口に降りると果てしなく続く崩れた街がひろがっている。
五年前のこの場所はいったいどれだけにぎやかだったのだろう。首都は終戦後一年おきに首都を中心に安全な土地を拡大させていってるが、それもほんのわずかだ。
「早くいくよ~‼」
絶望。
まだ⋯いた、だと?
回れ右して声の聞こえた方を見ると、ツタの生えたガラス張りの壁から現れた彼女はむすっとしていて、時間を気にしていたのか片手に携帯電話をにぎったままだった。
軽率だった⋯何もかも⋯何でわざわざご飯食べてくるなんていったんだ。もっといい言い訳あったろうに。
さぞお待ちかねだったのか、呆然としてなかなか動こうとしない俺の手を引いて強引に歩き始めた。