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ファルクエン戦記  作者: 結城 からく


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第9話 使い捨ての仕事

 再び意識が浮上した時、俺は傭兵レニに担がれて荒野を移動中だった。

 俺の目覚めに気付いたレニが声をかけてくる。


「おはよう。よく眠れた?」


 答える前に俺は投げ落とされた。

 腰を強打して悶絶していると、背中を何度か蹴られる。


「さっさと歩いて。逃げたら殺すよ」


「あの……サグの仕事を俺が代わりにやるってこと……ですよね?」


「その通り。あたしに負けたんだから文句ないでしょ。まだやる気なら付き合うけど」


「大丈夫です……」


 レニには勝てる気がしない。

 殺すという発言も冗談ではないだろうから、ここは大人しく従うべきだろう。


 立ち上がろうとした俺は、そこで自分の左腕があることに気付く。

 正確には金属製の義手が装着されていた。

 俺の視線で察したレニが説明する。


「義手だよ。隻腕だと不便でしょ。祝福で加工されてるから、思い通りに動くよ」


「そんな高級品、貰っていいんですか?」


「無償じゃないよ。君の有り金を全部使わせてもらったから。足りない分は借金ね」


「え!?」


 驚いて鞄を漁るも、金がきれいに無くなっていた。

 それ以外の細々とした物品も消えている。

 義手代として強制的に奪われてしまったらしい。

 悲しいが文句を言える立場ではない。

 水と食糧、軟膏入りの瓶が残っているだけ感謝すべきだろう。


 肩を落としつつも、俺は歩き始めた。

 今さらだが、後ろには十数人の傭兵がついてきていた。

 一様に暗い表情で鎖付きの首輪で繋がれている。

 鎖の端はレニがしっかりと握っていた。


(俺だけ首輪無し……特別扱いされてるのか?)


 そう思った矢先、レニが俺に首輪を着ける。

 反応する間もない早業だった。

 首輪が外れないことを確認したレニは、何気ない口調で話し出す。


「サグってさ。馬鹿で金遣いが荒いし、祝福を過信して油断しがちなんだけど、別に弱くはないんだよね。あいつの硬化の祝福、めちゃくちゃ頑丈だし」


「はぁ……」


「それなのにアルフ君はサグを瞬殺した。あの場にいた連中に聞いたけど、ナイフで一撃だったらしいじゃん」


「殺さないと殺されると思ったので……」


「気合だけで勝てる相手じゃないんだよねぇ」


 レニがじろりと顔を覗き込んでくる。

 俺は臆せずに尋ねた。


「……何が言いたいんですか」


「君に期待してるってこと。だから今回の仕事もやれるって信じてる」


「どうせ断れないんですし、仕事内容を教えてください」


 俺がそう返すと、レニは顎を撫でつつ思案する。

 振り返って他の傭兵達を一瞥した後、彼女は答えた。


「アーデ軍に占拠された国境の砦の奪還。それが君達の任務さ」

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