表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ファルクエン戦記  作者: 結城 からく


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/12

第6話 傭兵酒場

 月明かりを頼りに荒野をひらすら進む。

 野宿は盗賊に襲われる恐れがある。

 だったら動いている方がいい。

 体力的には辛いものの、復讐心が身体を衝き動かしてくれた。


 移動中、俺は自分の能力について考える。

 祝福を奪う祝福……かもしれない力の効果を試すには、戦争に参加するのが手っ取り早い。


 ただし、正規の騎士や兵士は駄目だ。

 あれは試験で合格しなければならないし、国に忠誠を誓う必要もある。

 色々な義務も発生するから俺には向いていない。


 一方で傭兵は審査がなく、金を払えば誰でも認識票が貰える。

 傭兵になっても義務はない。

 仕事を受けるかどうかは個人の自由だ。

 求められるのは戦場での腕っ節だけというわけである。

 単純明快で俺にぴったりだろう。


 その後、俺は盗賊に遭遇することもなく街道を進み、明け方頃には街を見つけた。

 開放された門に近付いて兵士に話しかける。


「あ、あの」


「名前と用件を言え」


「アルフです。傭兵になりたくて来ました」


「その恰好を見るに戦争難民といったところか。隻腕でやれるほど傭兵は簡単ではないと思うがな」


 兵士は鼻で笑う。

 完全に馬鹿にされていた。

 しかし、警戒されていないのは好都合である。

 俺はついでに質問してみることにした。


「ちなみにここってどこですか?」


「頭でも打ったのか? ファルクエンの街、ルヅミだ。傭兵酒場は入ってすぐ左にある。剣と酒の看板が目印だ、分かるな?」


「すみません、大丈夫です。ありがとうございます」


 ずいぶんと心配されてしまった。

 俺は頭を下げてそそくさと街に入り、教えてもらった通りに傭兵酒場へ赴く。


 中に入ると酒と煙草の臭いが充満していた。

 テーブルを占拠する傭兵達が、一斉にこちらを見る。

 値踏みするような視線は、決して居心地の良いものではない。


 俺は足早に受付に行くと、制服を着た女性職員に告げた。


「えっと、傭兵になりたいんですけど……」


「登録料1000メニル」


 無愛想な職員は手を差し出してくる。

 俺は御者の鞄から数枚の硬貨を取り出して渡した。

 すると職員は意外そうに眉を曲げる。

 どうやら俺が払えないと予想していたらしい。

 硬貨を仕舞った職員は俺に尋ねる。


「名前は?」


「アルフです」


「へえ」


 職員は興味なさそうに頷きつつ、手元で何か作業をしていた。

 俺からは見えないが、何かを削る音がする。

 やがて顔を上げた職員が鎖付きの認識章を投げてくる。

 裏面にはナイフで荒々しく俺の名前が刻まれていた。


「依頼は掲示板に貼ってある。気になるのがあれば言って」


「わかりました」


 俺は首から認識票をかけて、掲示板に向かおうとする。

 ところが鎧を着た大男が行く手を阻んできた。

 そいつはニタニタと笑って見下ろしてくる。


「よう、坊主。ここはガキが来る所じゃねえぞ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ