第17話 特別報酬
「さ、簒奪……」
「うん。かっこいいでしょ。ぴったりじゃないかな」
そう言ってレニが鍵を使って俺の首輪を外す。
彼女は腰に手を当てて周囲を見渡した。
「砦の奪還は成功した。後でファルクエンの軍が来るから、諸々の処理は任せれば大丈夫だよ。お疲れ様、君の仕事は完了だね」
「今回の仕事って金は出るんですか?」
「もちろん。サグの借金が発端だけど、ちゃんと払わせてもらう。それと特別報酬もね」
「何ですかそれ」
俺が尋ねると、レニはむっとした顔で頬を膨らませた。
「セイクを殺した時の特別報酬だよ。作戦前に約束してたじゃん」
「ああ……やる気を出させるための嘘だと思ってました」
「実際そのつもりだったんだけどね。本当にやり遂げたんだから話は別だよ」
「なるほど。それで特別報酬の内容は何ですか?」
レニは即答せず、意味深な表情で間を置く。
そして、堂々とした口ぶりで言った。
「あたしが所有する傭兵団に入れてあげる。それが特別報酬さ」
「傭兵団? レニさんって傭兵酒場の主人なんじゃないんですか」
「本業は傭兵団の団長で、酒場は副業なんだ。仕事の仲介とか斡旋をしつつ、有望な傭兵を探してるんだよね」
そんな仕組みになっていたのか、知らなかった。
まあ、レニが傭兵団の団長と言われても違和感はない。
これだけ強いのに書類仕事しかしていないと考える方がおかしいだろう。
「傭兵団はいいよー。正規の騎士団と比べて身軽だし、規定も緩いんだ。でも給料はしっかりと出すからね。ちゃんと働けばそれなりの暮らしができる。君の場合、簒奪の祝福の価値を考えたら、最初から幹部待遇が妥当かな」
「は、はぁ……」
「ファルクエンは色々と物騒だから、後ろ盾があると安心だよ。お試しで入団してみない? 合わなければ辞めてもいいよ」
レニが圧を込めて詰め寄ってくる。
俺は同じ分だけ後ろに下がりながら訊いた。
「ちょ、ちょっと待ってください。どうしてそんなに俺を勧誘するんですか?」
「君の可能性に魅力を感じたのさ。簒奪の祝福は前代未聞の能力だ。どんな祝福でも奪えるなんて最強じゃん。急速かつ無制限に成長するなんて、これほど有能な傭兵はいない。ファルクエンの正規軍に取られる前に引き込もうと考えるのは当然の判断だと思うけどね」
俺の祝福はだいぶ評価されているらしい。
レニの立場からすると、なんとしてでも手に入れたい戦力なのだろう。
「どうする? あたしの傭兵団に入る?」
「えっと……ぜひお願いします」
少し考えた末、俺は頭を下げて承諾した。




