第33話 進む道は?
恒星ラヲが顔を出す前、幻惑の神サヌの時。
朝の早いジフィール中央都はまだ活動前。そこから出立する影が二つあった。
森が生み出す霧の中、ソシアとステルは旅路を進むことにしていた。
見送りは、とステルが気にかけたがソシアは、もうみんなの顔は見たから、と連れてきていたルゥに頬を寄せる。
さて。
進む道について、二人は地図を真ん中に頭を突き合わせていた。
「バンデに向かうのでしたよね?その行程についてなのですが…」
「うん、そうしてくれると助かる。こう行こうとしてた」
ソシアがつい、と地図を指でなぞる。
どうみても直線。
山あり谷ありで普通辿らないような道を。
「え。道なき道でどうたどり着こうというんですか」
「だって、真っすぐ行った方が早いじゃないか」
「いえ、それは地図での話で高低差や道の整備状態から考えて現実的ではありません」
「むぅ…。じゃあどうするんだよ」
膨れるソシアを前にしてステルは地図に目を落とす。
道は二つ。
草原を渡る道か、山側の道をたどるか。
「山裾にある道を使いましょう。何かあった時に身を隠せます」
草原側に対して、やや道は悪いが不測の事態に備えてステルはそう提案する。
「何かって?」
首を小さく傾げてソシア。
「いいですか?偉伸の神託を受け入れた以上、僕らは世の災いにすれば邪魔な存在になるんです。いつ襲ってくるかわからない状態なんですよ?」
「だから?」
「ソシアさん。あなた、世の災いも説得しようと思っていませんか?」
一つ息をついてステルが言うのにソシアは、おお、と目を見開く。
よくわかったね、というように。
「無理ですよ。彼らも信念のもと動いているのですから説得は通用しません」
「どうしてステルがそんなこと知ってるの?」
「レオド王宮の例を見たらそうだからです。レオドの王族は説得を試みました。ですが、消えてしまったでしょう」
確かにレオド王族の性質を考えると説得を試みそうではあるが。
「それに、自然の守護は四人揃わないと欠けているものがあると感じるんですよ。だから偉伸は四人揃った時にそれを知らせるものが現れると続けていました」
「確かにそうだけど…。うん、わかったよ。山裾の道を行こう」
ソシアの考えること逡巡。
辿る道は決まった。
そして辿ることになったのだが。
数刻後。
そこには魔杖に縋りつくようにソシアの後からついてくるステルの姿があった。
山道は慣れていないステルに、この道はつらかったんじゃないかな、とは口が裂けても言えないソシアは前方を偵察よろしく様子窺いして、引き返してステルの様子を窺って、また前方へ先へ進むと繰り返していた。
道は整備されてはいても所詮山道。
でこぼこ岩が出張っていて平坦なものではなかった。
「だ、大丈夫です…」
ソシアが戻ってくるたびステルは強がりにもとりやすい言葉をのたもうた。
途中、休憩するときは岩陰で寝転がるステル。
対して軽く偵察してるよ、と周りを窺いに出るソシア。
そんな役割がいつの間にか決まっていた。
4日ほど歩いただろうか。
山裾側の道のちょうど中間点付近に、ティメダの村が見えてきたのは。




