第22話 一時の休息
シャディルトに案内された隣室も、ソシアがいた部屋と同じ調度品が同じ配置で並べられた部屋だった。
掛けられたカバーには埃一つ見当たらない。もしかすると毎日取り換えているのではないかと思うほどだ。
「では、私はそろそろ戻ってくる第二隊と集落からの難民受け入れのほうを手伝ってきますね。食事などは、この部屋に直接運んでもらうよう手配しましょう。それに困ったことがあれば、レンファ―スという者がじきに戻ってきますので、彼に遠慮なく仰ってください。彼が戻り次第、この部屋に向かわせます。よろしいですか?」
「わかりました」
ステルの答えにシャディルトが、では、と一礼してから部屋を後にした。
疲労が一気に押し寄せてきたように感じて、ステルは椅子になだれ込むように腰を下ろす。長く細い溜息をついて、一人思考を巡らせる。
彼女はこのジフィールで、何を得ることができるだろう。
「僕はザーナリダムで、人が扱うべきでないものを得てしまった…」
独り言を残して、ステルは窓から見える夕暮れの空を無表情に眺めた。燃えるような空。そのどこかで自然の守護に祭り上げられた生贄が、同じ贄を求めているのだろうか。
想いを寄せてみても、それが現実かは定かではない。
偉伸の想いが自分を突き動かす事実だけが、空虚な現実だ。
辿ってよい道か、果たして。
わからない。
静かに頭を振って、ステルは自分が疲れているだけだと己を諭す。
何を疑うというのだ。
自分の選んだ道?
いいや、自分の選ぶ道は疑うべきものではない。
信念をもって進もうと決めた道ではないか。
今度の溜息は深く短く、夕暮れの空に溶け込んでいく。
今は考えず、シャディルトさんの仰っていたレンファースさんでも待っていてみましょう。
レンファースさんが来るまでは、宮庁舎内をさまようことはしないほうがよさそうでしょうし。
宮庁舎内の構造を知るという好奇心をようやくの一心で押さえつけて、ステルはテーブルに頬杖をつく。
疲れていたこともあってか、知らず知らずのうちにうつらうつらし始める。
夢の世界は彼に何を見せようとしているのか。
知る者はいない。




