「初恋のあの人へ生告白♡」生放送中!〜アイドルである桃谷果林の告白!マネージャーである俺の答えは……?〜
「おおっ。あなたが果林ちゃんのマネージャー、小松崎新さん! いや、男前な方じゃないですか〜! 今のお気持ちはどうですか?」
司会の東丸に尋ねられ、俺は目をパチパチしながら思ったままを口にしてしまっていた。
「いや、何が何やら……、僕はサプライズで、果林に告白の励ましのメッセージを伝える為に呼ばれた筈だったんですが……」
「ハハハッ。告白相手として呼ばれるなんて思っておらず、小松崎さんにとってのサプライズになってしまいまったという事ですね〜?」
「ハッ、ハハッ! 本当にそうですね?」
東丸と俺のやり取りにスタジオ中にどっと笑いが起こった。
いやいや、笑い事じゃないんだって! ホントによ!
どうにかその場を取り繕おうと張り付いたような笑みをキープしていると、東丸がいつの間にか果林を俺の向かい合う位置へ誘導した。
「果林ちゃん。それでは、こちらへどうぞ!小松崎さんへ伝えたい事をお願いします」
「はいっ!」
果林はいつの間にか、ハート型の花束を手にしており、俺と向かい合うと照れ臭そうに微笑んだ。
「ふふふ……。なんか照れちゃうな……//」
「……!//」
その顔は、果林が情報がデリケートな扱いになっている告白相手の話をしている時と同じ乙女の顔になっていて、次に続く言葉を俺は緊張気味に待った。
果林は胸に手を当て深呼吸すると、キリッとした顔付きになってこちらを真っ直ぐに見据え、俺に呼びかける。
「あらっちゃん、いえ、小松崎新さん。
初めて会った時、あなたが私に「俺がお前を丸ごと引き受けてやる!」ってスカウトしてくれた時から、ずっと……ずっとあなたが好きでした……! 私の気持ち、どうか受け取って下さい!」
「果林……!」
青い瞳を潤ませた果林に熱烈な告白をされ、頭を下げハート型花束を差し出され、俺は大きく目を見開いた。
赤く染まった耳──。花束を差し出す震える手──。
それら全てが果林の想いが真剣である事を物語っていた。
果林、俺等が出会った9年も前から、想ってくれていたのか……?
衝撃、嬉しさ、戸惑い──。
そんな気持ちと共に果林と共に支え合って過ごした9年間の出来事が走馬灯のように頭の中を駆け巡っていた。
「花束を受け取ればお付き合い、小松崎さんの選択はどうでしょうか?」
「……」
東丸の説明が入る中、俺が戸惑い困ったように視線を彷徨わせると………。
!??
ふと、カメラの近くに数人のADが鬼気迫る表情で、赤字に集中線入りのカンペを指差しているのに気付いた。
『長年この業界に生きてんだろ? 何て返事すればいいか分かるよな?』
『炎上したくなければ、断るな!』
ひっ!? ||||||||
『視聴率上げろ!!』
『泣け! 感動の涙を流せ!』
何これ!? こんなカンペ初めて見たわ!
視聴率上げたい気持ちは分からないでもないけど、業界関係者相手だから、全く遠慮ねーな……!
いや、わかっていた。ウチの社長がこの企画を進めていたということは、事務所は俺と果林の交際を認める方針だという事。
俺が断れば、視聴率と果林の人気の低迷が懸念される上、スター生命をかけてまで俺を救おうとしてくれている果林の心意気を無にする事になる。
俺の答えは一択なのだ。
「っ……!」
純粋な気持ちだけでなく、打算や野心を含んだ孕んだ色んなものが込み上げて来て、ブワッと涙が吹き出した。
「果林、君がそんな風に想ってくれていたなんて! ううっ……。嬉しいよっ!僕とぜひ付き合って下さいっっ!!」
「あらっちゃん! 本当? ううっ、信じられない……。断られるとばかり思ってた……!」
俺は涙と鼻水を垂らしながら、果林の差し出す花束を受け取り「交際OK」の意思を表し、果林もそんな俺を真っ直ぐに見据え、頬に喜びの涙を流した。
やっべー! 俺、俳優になれるかもしんねぇ!!
あと果林! お前は流石女優だな!「断られるとばかり思ってた」って、さっき100%告白成功するっつってたろ! こんの確信犯が!
心の中に色んなものが渦巻きながら、俺と果林が泣きながら照れたように微笑み合うと……。
わああーっっ!!
「カップル成立〜〜!! 小松崎さん、果林ちゃんおめでとう〜〜っっ!!」
「「「おめでとうございます!!」」」
東丸、他のゲストに祝福され、スタジオは大いに沸いたのだった……。
✽あとがき✽
ちなみに、ADの表情はニコニコの笑顔に、カンペは、
『やれば出来るじゃねーか!』
『( ´∀`)bグッ!』
『瞬間視聴率期待できそう!』
『小松崎M、GJ!』
に変わっていましたとさ……。
まだまだ続く生放送番組の行方を見守って下さると嬉しいです。




