エピローグ〜マネージャーと(元)アイドルの新婚旅行〜
「お〜い、あらっちゃ〜ん! 見ててね〜!」
トッポーン!!
「おお〜!」
ビキニ姿の果林は、プールサイドから俺に手を振ると、綺麗なフォームでプールへ飛び込んだ。
すい〜!!
そのまま、プールの端にいる俺の方へ泳いで来たので、俺は歓声を上げた。
「すげーな、果林〜!! 泳ぎそんな上手だったっけ?」
ザバッ!
「えへへ♡ 実は、最近スイミングスクール通ってて……」
「!!!!////」
水から上がった果林は、胸部を覆うべきものが何もなく、大きな美しい双丘が艶めかしくぷるんと揺れていた。
「ぶふーっ!(元)アイドルの水着ポロリ……!」
「えっ? キャーーーッ!/// やだ! 水着どこぉ?」
俺が鼻血を吹きそうになり、鼻を押さえると、果林も水着がない事に気付き、慌てて胸を隠した。
ふと見れば、プールサイドに、それらしき布が浮き沈みしている。
「ちょっと待ってろ!」
俺はひと泳ぎしてビキニの上を取って来ると、果林に渡してやった。
「うえ〜ん。ありがとう、あらっちゃぁん。 ウチらしかいないプライベートプールでよかったよぉ。せっかくのハワイだし、ビーチも行こうと思ってたけど、そこではもっと気を付けよう……」
果林はビキニの上を背中で結いながら、半泣きになっていた。
「ああ。もう一つ水着持って来てただろう。ビーチでは、ワンピースタイプのでいいんじゃないか?」
心配でついそう言うと、果林は見透かすような瞳で俺を見上げて来た。
「ふふっ。あらっちゃん、そんなに心配? そう言えば、この間も下着の宣伝の仕事断ったって、社長から聞いたよ〜? ウチのセクシーな姿、他の人に見せたくないんだ?」
「うっ……。い、いや、果林はお色気で売って行かなくても充分可愛いだろ。流石に、映画やドラマは断れないが、ラブシーンは必要最低限で……、いや、そういうシーン入った方が人気出るのは分かっているんだがっ……!」
男として果林を独占したい気持ちと、マネージャーとして果林を芸能界で活躍させたい気持ちが葛藤して頭を抱えていると、果林はいたずらっぽい笑みを浮かべた。
「うしし! 仕事の鬼のあらっちゃんが、そんな風に私情と葛藤してくれるの嬉しい! けど、もしかしたら、しばらく肌を晒すような仕事は物理的に出来なくなるかも……?」
「えっ?」
不穏な発言に俺が目を剥くと……。
「ただの勘だけど、昨日の仕込みでなんとなく出来たっぽい……かなって////」
「……!!!!////」
頬を赤らめ、お腹をさすっている果林の姿に衝撃を受け、大声で叫んでしまった。
「それは一大事じゃないか! 果林、お腹冷やしたらダメだろ! すぐ上がって部屋で安静にしなきゃ!!」
「ええ〜! 温水だし、大丈夫だよぉ。あらっちゃん。ちょっとぉ!」
俺は文句を言う果林の手を取り、部屋に連れ戻ると、着替えた果林をソファの席に座らせた。
「果林、寒くないか? 毛布あるから、お腹に掛けとけ? 妊娠初期は葉酸を取るといいらしい。 バナナやいちごあるぞ。たんと食べろ〜?」
「も〜。あらっちゃんたら、本当に出来てるかまだ分からないのにメッチャ過保護……!」
ネットで調べた知識を元に、あれこれ世話を焼く俺に果林はクスクス笑っていた。
「本当に子供が生まれて、その子がアイドルになりたいとか言い出したらあらっちゃんどうするの?」
俺は拳を握り、宣言した。
「そりゃあもう、全力でプロデュースするに決まってるだろう!!」
結婚直前に婚約破棄され、暗闇にいた俺にとって、育てたアイドルの果林は唯一の希望の光だった。
彼女の活躍と幸せを遠くから見守る事が俺の人生の生きがいだと思っていたのに……。
「新たな若年アイドルグループを起ち上げるのもよし! 果林との親子共演もよし! 何なら今から、アイドル養成学校の予約しとくか……!」
「生まれてもいないのにまだ気が早過ぎるよ、あらっちゃん!」
拾われ婚された今では、俺と彼女は共に歩み、まだ見ぬ未来を笑いながら語り合っている。
その事を不思議にも感じながら……。
「んふっ。取り敢えず、生まれてくる子供が幸せになるような仲の良いパパとママになろうね! あらっちゃん? んっ……♡」
「それはそうだな! 果林? んっ……♡」
今日も俺は幸せな気持ちで彼女と唇を重ね合わせるのだった……。
チャラッチャララ♪ チャラッチャララ♪
大文字社長からの電話を知らせるスマホの着信音にはしばらく気付かないフリをして……。
(完)
✽あとがき✽
本編最終話となります。
最後まで新と果林を見守って下さり、本当にありがとうございました✧(;_;)✧
感謝の気持ちを込めて、最終話をイメージしたAIイラストをみてみんに投稿していますので、よければご覧下さいね。
https://42432.mitemin.net/i1111269/
この後、時系列バラバラのおまけ話を数話投稿しまして本作品を完結とさせて頂きたいと思います。
よければ完結までお付き合い頂けると有難いです。




