命運が分かれる時……!
ビュオッ!
「あらっちゃん!! いやあぁっっ!!!」
「っ……!!!!||||||||」
果林が泣き叫ぶ中、男の持つナイフの切っ先が喉元に迫る。
帽子の下から僅かに覗く襲撃者の目には深い憎悪と明確な殺意があり、俺が死を覚悟した時……。
グラッ……!
突然家の壁が崩れるように揺らぎ、そこから人影が飛び出して来た。
「ハァーーーッ!!」
ガキン!!
「ぐわぁっ!!」
「「!?!」」
人影は、迫りくる刃物を蹴り飛ばし、襲撃者の男は手首を押さえてその場に蹲った。
「ぐふうっ……! ち、畜生っ……!」
帽子を取り落とした襲撃者は、少し窶れてはいたが、いけ好かないその顔はしっかりと判別出来た。
「「柏崎っ……!!」」
奴が俺を殺したいぐらい憎んでいるのは理解出来るが、警察に逮捕され、拘留されていた筈では……?
その疑問は、俺を救ってくれた人影が答えてくれた。
「面会者(元恋人)からの差し入れの道具を使って脱走したようです。目的は恐らくあなたを殺して恨みを晴らす事。
いや、しかし、間一髪でした! 小松崎様、灰谷様、犯人を煽るような外でのラブシーンは危のうございますよ?」
そう言う人影・目の前の作務衣姿の人物も、俺達のよく知っている人物だった。
「あ、あなたは……!?」
「は、服部サスケさんっ!?」
以前頼んだ凄腕のボディーガードの出現に驚いていると、逆に服部さんも目を剥いた。
「ええ! 何で、小松崎さんまで驚いてるんですか? 結婚式当日に外での警護を頼まれたの、小松崎様ですよね?」
「ハッ。そう言えばそうだった! あまりに気配がないから、すっかり忘れていました!」
「あらっちゃぁん! そういう事は、ちゃんと言っておいてよぅ! もう、ウチ死ぬ思いだったじゃん!!」
自分が失念していた事に自分で衝撃を受けていると、果林は半泣きで文句を言って来た。
「ハハ……。まぁ、気配に気付かず、リラックスして頂けたのは、褒め言葉と受け取って置きましょう。先回りして家の壁になっていた甲斐があったというものです」
地面には、彼が擬態していた跡と思われる、家の壁にそっくりの柄の布が落ちていた。
本当に忍者のような人だ。
「くっ……! あと少しだったのに……!」
ダッ!
「「あっ!」」
悔しさに顔を歪めた柏崎が道路へと逃げて行く。
「後を追います! 小松崎様、灰谷様は家の中に入っていて下さい!」
服部さんは、俺達にそう声をかけると、風のような速さで去って行った。
「大丈夫かな……?」
「まぁ、服部さんなら、心配はいらないだろう」
不安気な果林の肩を抱き、取り敢えず家で服部さんからの連絡を待つことにした。
そして、程なくして服部さんからスマホに連絡が入った。
『小松崎様、申し訳ございません。困った事になりました』
緊張の中、スピーカーをオンにして果林も会話の内容が聞こえるようにして応答する。
「どうしました? 柏崎を逃しましたか?」
俺が問うと、服部さんは言い辛そうに答える。
『いえ、そうではなく……。追跡中に柏崎が事故に遭いまして、大型トラックの下敷きに……』
「「!!」」
服部さんの報告に、俺と果林は、思わず息を呑んだのだった。
*あとがき*
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次話、柏崎視点の話になります。本編終了まで残すところあと2話。
最後までどうかよろしくお願いします。




